第⑯話
夢小説設定
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セルシアが着ているドレスは露出度が少ない。
「リーゼル大佐、若いのだからもっと露出しては?
傷がある訳ではないんだろうから」
『私は露出するのは好きではないので』
「…露出しろと言っているように聞こえるのですが?」
「そんなことは言っておらん。
色気のない幼児体型には興味ないからな」
『よ、幼児体型。
胸は確かに小さいですが』
「自分で言って落ち込むな。
普段は色気あるとは言えないが、その方が私が安心だからいいけど。
身体がすべてじゃないよ」
微かに笑みを浮かべてロイは手を握ってセルシアの手にキスする。
『ロイさん以外に興味はないです』
「君はそれでいいよ」
『はい!』
嬉しそうにロイを見つめてセルシアは笑う。
「関わりのない君もお節介で言うべきではないな」
「マスタングさんが言うなら分かりますけどね。
若い女性にそんな発言をしたらセクハラになりますよ」
「…申し訳ないです」
閣下と奥様に忠告されては将軍も謝るしかない。
「君はお酒を飲まないのかね?」
『好んでは飲みませんね。
将軍、先程からマスタング将軍にばかりお酒を勧めていませんか?
将軍達もどうぞお飲みになってください』
ロイを閣下の前で酔い潰そうとする魂胆が丸見えだ。
にっこりと笑ってわざと将軍達に度数の高いお酒を飲ませる。
「悪酔するような失態はしてはならんからそれくらいにしなさい」
「…はい」
「伝え忘れていたことがある。
マスタング将軍」
「何でしょうか?」
「授与することになった」
「はい?」
「貴方、主語が足りませんよ」
「それは失礼。
マスタング将軍に勲章を授与することに決めたから授与式は明日だ」
「なっ!
勲章など将軍になってから日も浅いのでは?」
「早すぎはしませんか?」
「国民の間で今話題なのが“司令部から逃げ出した上官”と同時に“唯一の若き将軍は司令部に駆けつけて司令塔となり、自らも闘った英雄”と言われているらしいな」
「英雄だなんて…」
「確かに美談にはされているが、マスタング将軍がいなかったら司令部は破滅して多数の死者に国民にも危険が及んだ」
「私だけではありません」
「分かっておる。
そういう評価されている人に何もしないとなれば、軍の評価が下がり兼ねない。
君の功績として受け取りなさい」
「…はい」
閣下に諭されて頷きながらロイは将軍達からの強い視線を感じた。
今後は更に嫌味のオンパレードになるだろうと自覚する。
食事会がお開きになり、閣下と奥様を将軍達と見送った。
将軍達と店前で分かれて安堵から酔いが回ったのか、それとも余韻なのか足元がフラつく。
「待ちくたびれたぞ、ヒューズ」
「ロイ、おまえなぁ。
既婚者を夜中に呼び出すなよ。
酔っ払う度に…」
「それでも来てくれるじゃないか」
「放置したなんて知ったら俺はお前の副官から撃たれるわ」
「くくっ、かもな」
(普段は肩を組むなと拒否るくせに酔っ払うと絡むよな。
こいつ、意外に笑い上戸か?)
ケラケラと笑いながらロイはヒューズと肩を組む。
「嫌味のオンパレードでさ、閣下と遭遇したんだよ」
「はっ?
何でまたそんなことに…」
「嬉しいのに切ないのは何故なんだろうな、ヒューズ」
「話が飛び飛びだぞ、ロイ」
苦笑いしてヒューズにセルシアが説明する。
「やはり、私は自分だけ功績になるのは嫌なんだよ」
「ロイ…」
「上官で司令塔なのだから仕方ないと分かっていても。
みんなが認められてないみたいで」
「少なくても俺は分かってる。
今はまだ影にいるかもしれんが、いつかそういう日が来るさ。
ほら、立って車まで歩けよ。
明日は授与式なんだし。
おめでとう、ロイ」
ヒューズの言葉で少しだけ心が軽くなった気がした。
「英雄、か…」
「ロイ?」
「私は英雄なんかじゃない。
前だって今回も」
俯いてロイは唇を噛み締めて拳を握り締めた。
「リーゼル大佐、若いのだからもっと露出しては?
傷がある訳ではないんだろうから」
『私は露出するのは好きではないので』
「…露出しろと言っているように聞こえるのですが?」
「そんなことは言っておらん。
色気のない幼児体型には興味ないからな」
『よ、幼児体型。
胸は確かに小さいですが』
「自分で言って落ち込むな。
普段は色気あるとは言えないが、その方が私が安心だからいいけど。
身体がすべてじゃないよ」
微かに笑みを浮かべてロイは手を握ってセルシアの手にキスする。
『ロイさん以外に興味はないです』
「君はそれでいいよ」
『はい!』
嬉しそうにロイを見つめてセルシアは笑う。
「関わりのない君もお節介で言うべきではないな」
「マスタングさんが言うなら分かりますけどね。
若い女性にそんな発言をしたらセクハラになりますよ」
「…申し訳ないです」
閣下と奥様に忠告されては将軍も謝るしかない。
「君はお酒を飲まないのかね?」
『好んでは飲みませんね。
将軍、先程からマスタング将軍にばかりお酒を勧めていませんか?
将軍達もどうぞお飲みになってください』
ロイを閣下の前で酔い潰そうとする魂胆が丸見えだ。
にっこりと笑ってわざと将軍達に度数の高いお酒を飲ませる。
「悪酔するような失態はしてはならんからそれくらいにしなさい」
「…はい」
「伝え忘れていたことがある。
マスタング将軍」
「何でしょうか?」
「授与することになった」
「はい?」
「貴方、主語が足りませんよ」
「それは失礼。
マスタング将軍に勲章を授与することに決めたから授与式は明日だ」
「なっ!
勲章など将軍になってから日も浅いのでは?」
「早すぎはしませんか?」
「国民の間で今話題なのが“司令部から逃げ出した上官”と同時に“唯一の若き将軍は司令部に駆けつけて司令塔となり、自らも闘った英雄”と言われているらしいな」
「英雄だなんて…」
「確かに美談にはされているが、マスタング将軍がいなかったら司令部は破滅して多数の死者に国民にも危険が及んだ」
「私だけではありません」
「分かっておる。
そういう評価されている人に何もしないとなれば、軍の評価が下がり兼ねない。
君の功績として受け取りなさい」
「…はい」
閣下に諭されて頷きながらロイは将軍達からの強い視線を感じた。
今後は更に嫌味のオンパレードになるだろうと自覚する。
食事会がお開きになり、閣下と奥様を将軍達と見送った。
将軍達と店前で分かれて安堵から酔いが回ったのか、それとも余韻なのか足元がフラつく。
「待ちくたびれたぞ、ヒューズ」
「ロイ、おまえなぁ。
既婚者を夜中に呼び出すなよ。
酔っ払う度に…」
「それでも来てくれるじゃないか」
「放置したなんて知ったら俺はお前の副官から撃たれるわ」
「くくっ、かもな」
(普段は肩を組むなと拒否るくせに酔っ払うと絡むよな。
こいつ、意外に笑い上戸か?)
ケラケラと笑いながらロイはヒューズと肩を組む。
「嫌味のオンパレードでさ、閣下と遭遇したんだよ」
「はっ?
何でまたそんなことに…」
「嬉しいのに切ないのは何故なんだろうな、ヒューズ」
「話が飛び飛びだぞ、ロイ」
苦笑いしてヒューズにセルシアが説明する。
「やはり、私は自分だけ功績になるのは嫌なんだよ」
「ロイ…」
「上官で司令塔なのだから仕方ないと分かっていても。
みんなが認められてないみたいで」
「少なくても俺は分かってる。
今はまだ影にいるかもしれんが、いつかそういう日が来るさ。
ほら、立って車まで歩けよ。
明日は授与式なんだし。
おめでとう、ロイ」
ヒューズの言葉で少しだけ心が軽くなった気がした。
「英雄、か…」
「ロイ?」
「私は英雄なんかじゃない。
前だって今回も」
俯いてロイは唇を噛み締めて拳を握り締めた。