第⑯話
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視察の帰りにロイはマダムの店に向かった。
「やあ、マダム」
「…来たのかい」
「約束したからね」
「マスタングさん!
お久しぶりです」
「中央司令部勤務になったんですよね。
おめでとうございます」
「昇格したんですか。
おめでとうございます!」
「…ありがとう」
「今日は珍しく軍服なんですね」
「あぁ、ちょっとね」
店の女性達が寄って来るが、ロイは自然と距離を保つ。
(おや…珍しい。
あの子の為なんだろうな)
マダムの脳裏には先日会ったばかりのセルシアが浮かぶ。
「何をお飲みに?」
「いや、今日は顔を見に来ただけだから。
時間もないし。
また今度来る時にね」
「「え~?」」
「ほら、あんた達。
さっさと戻りな!」
ロイがお金を持ってるから寄って来る女性達も多い。
マダムの言葉に女性達は少し不満顔で戻って行く。
「マダム、着替えさせてもらってもいい?」
「ロイ坊…
店は更衣室じゃないんだが。
着替えてくればよかっただろ?」
「視察があったんだよ」
「まったく」
文句を言いながらもマダムは着替えさせてくれる。
「マダム、ネクタイある?」
「…ある訳ないだろ」
「参ったな、司令部に忘れて来た。
途中で買って行くか」
「失礼します。
将軍、忘れ物を届けに来ました」
「中尉、ありがとう」
「軍服は持って帰っておきますよ」
「…嫌だな」
「しっかりしてください」
「どうせ、自慢話を聞かされるだけだぞ」
ネクタイを結びながらロイは面倒だと中尉に愚痴った。
ロイはため息をついて中尉に渡された上着を着る。
「同行しますか?」
「まさか。
あんな汚い言葉を君は聞かんでいい。
セクハラされて嫌な気分にさせるだけだ」
「ですが…」
「大丈夫だ、こんなのは私だけで十分だ。
また色々と嫌味を言われるんだろうがな。
そんな顔をするな、慣れてる」
微かに笑みを浮かべてロイは中尉の頭を撫でた。
「将軍、行ってらっしゃいませ」
「…あぁ。
何かあれば連絡してくれ。
電話番号、渡したか?」
「頂いておりません」
「これがホテルの電話番号だ。
とは言っても客室ではなくて個室のレストランだから。
レストランの名前はこれだ」
「承知しました」
「こんな食事会ならパーティーの方がマシだよ」
「いいから行ってください」
「…逃げたい」
「そう言わずに。
遅刻したら印象悪いですよ」
「そう、なんだけどな」
「発火布は持ちましたか?
何を仕込まれているか分かりませんからね。
先回りして調べましたし、問題ないかと思いますが。
それも100%ではありませんから」
「ありがとう。
では、行って来るよ」
「お気をつけて」
「マダム、また来るよ」
「無茶するんじゃないよ」
「マダムもな」
「マスタングさん、またね」
「今度はゆっくり出来る時に来てくださいね」
「…ありがとう」
ロイは店から出ようとしてピタリと足を止める。
隠れながらロイはドアの隙間から見つめ、中尉に合図で身を屈ませる。
「…将軍」
「大丈夫だ、バレてない。
さすがに軍服で来るのはリスクが高過ぎたかな。
中尉、裏口から行け」
「はっ!」
「大丈夫だとは思うが。
念の為にな」
「将軍は?」
「私のことなら大丈夫だ」
中尉は少し不安に思いながらもロイを信じてバレないように裏口から出て戻って行く。
「大丈夫かい?」
「さて、どうしたもんか」
「…ロイ坊。
策がなかったのかい?」
「この格好では無茶が出来ないんだよ。
だが、遅刻する訳にはいかんな。
後片付けをよろしくな」
「あまり汚されたくはないんだが」
「店内は大丈夫だよ、多分な」
小声でマダムと話してロイは指をパチンッと鳴らす。
ボンッと音と共に白い煙が外に漂い、ロイは走って行く。
「その格好では無茶しないんじゃなかったのかい、ロイ坊。
煙が店の中まで入ってるんだが」
「大丈夫ですかね?」
「あのくらいでやられる子じゃないよ」
まったく心配していないのも信頼の証だろう。
(ロイさん、大丈夫かな。
将軍達と食事会だからかなり飲まされて帰って来るだろうし)
定時に帰れて家事をしながら心配に思い、帰りを待っていた。
(…無駄に話が長いな。
いつになったら終わるんだ。
嫌味も自慢話もオンパレードだし、この自慢話も何年前のことなんだか)
表情に出さずに周りの軍人のようにロイは媚びない。
「やあ、マダム」
「…来たのかい」
「約束したからね」
「マスタングさん!
お久しぶりです」
「中央司令部勤務になったんですよね。
おめでとうございます」
「昇格したんですか。
おめでとうございます!」
「…ありがとう」
「今日は珍しく軍服なんですね」
「あぁ、ちょっとね」
店の女性達が寄って来るが、ロイは自然と距離を保つ。
(おや…珍しい。
あの子の為なんだろうな)
マダムの脳裏には先日会ったばかりのセルシアが浮かぶ。
「何をお飲みに?」
「いや、今日は顔を見に来ただけだから。
時間もないし。
また今度来る時にね」
「「え~?」」
「ほら、あんた達。
さっさと戻りな!」
ロイがお金を持ってるから寄って来る女性達も多い。
マダムの言葉に女性達は少し不満顔で戻って行く。
「マダム、着替えさせてもらってもいい?」
「ロイ坊…
店は更衣室じゃないんだが。
着替えてくればよかっただろ?」
「視察があったんだよ」
「まったく」
文句を言いながらもマダムは着替えさせてくれる。
「マダム、ネクタイある?」
「…ある訳ないだろ」
「参ったな、司令部に忘れて来た。
途中で買って行くか」
「失礼します。
将軍、忘れ物を届けに来ました」
「中尉、ありがとう」
「軍服は持って帰っておきますよ」
「…嫌だな」
「しっかりしてください」
「どうせ、自慢話を聞かされるだけだぞ」
ネクタイを結びながらロイは面倒だと中尉に愚痴った。
ロイはため息をついて中尉に渡された上着を着る。
「同行しますか?」
「まさか。
あんな汚い言葉を君は聞かんでいい。
セクハラされて嫌な気分にさせるだけだ」
「ですが…」
「大丈夫だ、こんなのは私だけで十分だ。
また色々と嫌味を言われるんだろうがな。
そんな顔をするな、慣れてる」
微かに笑みを浮かべてロイは中尉の頭を撫でた。
「将軍、行ってらっしゃいませ」
「…あぁ。
何かあれば連絡してくれ。
電話番号、渡したか?」
「頂いておりません」
「これがホテルの電話番号だ。
とは言っても客室ではなくて個室のレストランだから。
レストランの名前はこれだ」
「承知しました」
「こんな食事会ならパーティーの方がマシだよ」
「いいから行ってください」
「…逃げたい」
「そう言わずに。
遅刻したら印象悪いですよ」
「そう、なんだけどな」
「発火布は持ちましたか?
何を仕込まれているか分かりませんからね。
先回りして調べましたし、問題ないかと思いますが。
それも100%ではありませんから」
「ありがとう。
では、行って来るよ」
「お気をつけて」
「マダム、また来るよ」
「無茶するんじゃないよ」
「マダムもな」
「マスタングさん、またね」
「今度はゆっくり出来る時に来てくださいね」
「…ありがとう」
ロイは店から出ようとしてピタリと足を止める。
隠れながらロイはドアの隙間から見つめ、中尉に合図で身を屈ませる。
「…将軍」
「大丈夫だ、バレてない。
さすがに軍服で来るのはリスクが高過ぎたかな。
中尉、裏口から行け」
「はっ!」
「大丈夫だとは思うが。
念の為にな」
「将軍は?」
「私のことなら大丈夫だ」
中尉は少し不安に思いながらもロイを信じてバレないように裏口から出て戻って行く。
「大丈夫かい?」
「さて、どうしたもんか」
「…ロイ坊。
策がなかったのかい?」
「この格好では無茶が出来ないんだよ。
だが、遅刻する訳にはいかんな。
後片付けをよろしくな」
「あまり汚されたくはないんだが」
「店内は大丈夫だよ、多分な」
小声でマダムと話してロイは指をパチンッと鳴らす。
ボンッと音と共に白い煙が外に漂い、ロイは走って行く。
「その格好では無茶しないんじゃなかったのかい、ロイ坊。
煙が店の中まで入ってるんだが」
「大丈夫ですかね?」
「あのくらいでやられる子じゃないよ」
まったく心配していないのも信頼の証だろう。
(ロイさん、大丈夫かな。
将軍達と食事会だからかなり飲まされて帰って来るだろうし)
定時に帰れて家事をしながら心配に思い、帰りを待っていた。
(…無駄に話が長いな。
いつになったら終わるんだ。
嫌味も自慢話もオンパレードだし、この自慢話も何年前のことなんだか)
表情に出さずに周りの軍人のようにロイは媚びない。