第⑭話
夢小説設定
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確かに焦りはあったが、無茶はお互い様だろうと思いながらもロイは口には しない。
『将軍、大丈夫ですか?』
「…大丈夫だよ。
あいつはいつもそうなんだ。
無茶してたのも焦りも否定は出来ないけど」
苦笑いしてロイはセルシアを抱き締める。
『将軍、くすぐったいです』
「…少しだけ。
私は我儘なんだな。
みんなも君も手に入れて守りたくて離したくなくて」
『我儘じゃないです。
それが人間の本能です。
大切な人達を失いたくないのも守りたいのも。
でも、少しくらい私達にも分けてください』
「…そうだな」
苦笑いしてロイはセルシアの肩に顔を埋める。
ロイの髪が首元に当たってくすぐったそうにセルシアは笑う。
(まずは将軍を目指していたはずなのに。
現実でそうなると私がみんなから離れたようで寂しくなる。
いや、いつかは優秀な人材として信頼の出来る者に預けたい。
私の側は危険だ。
私と違って家族がいるんだ。
そんなことを思っていると知ったらマダムは怒るかな。
おまえらしいと笑うだろうか。
セルシアも中尉も親戚はいるんだから)
ロイは離れてセルシアの頭を撫でて執務室から出ようとする。
「将軍、どちらへ?」
「…ちょっとな。
すぐに戻る」
それ以上は中尉は聞かずに静かに見送った。
空を見上げてロイは白い息を吐き、苦笑いする。
「…煙草なんて珍しいな。
リーゼル大佐が嫌がるんじゃないか?」
「私なら煙草もいいんだと」
「ははっ、らしい言葉だ。
昔からおまえは変わらないな。
悩みがあると考えをまとめたくて屋上に来る。
1人になろうとする」
ロイは屋上の床に座りながら柵に寄りかかり、煙草を吸っていた。
「…それなのにおまえはいつも来るよな」
「土足で上がり込めるのは俺くらいだからな。
女性相手に愚痴れないだろ。
それとも、リーゼル大佐は別か?」
「そんなこと…っ」
ロイはこの前のことを思い出して赤面して顔を隠す。
セルシアの胸で泣いた自分は今でも恥ずかしいようだ。
「おっ?
何だ、何があったんだ」
「うるさい!」
「見逃してやるか。
ははっ、珍しいこともあるな」
「…ヒューズ」
まだ微かに赤い顔を上げてロイは見つめる。
「どうした?」
「おまえみたいに土足で上がり込めたなら楽なのにな。
以前より仲間も増えた。
なのに、上に上がる度に遠くなる」
「遠い?」
「私が離れるのかな。
見えない距離感を感じるんだ。
おまえみたいにどうしたと笑顔で言えたら楽だろうな」
ロイは寝転んで空を見上げ、空中で手を握る。
ヒューズは小さなため息をついてロイから煙草を奪う。
「おまえさんには煙草は似合わん」
「自分でもそう思う」
「…ロイ。
離れてるなんてない。
俺も離れると思うか?」
「離れたいのか?
無理に私と居なくていいんだぞ」
「バカ、違うって!
今日のおまえは何なんだ」
「…さぁな」
(精神的に辛いものがあるか。
距離が離れてない分、直接も言われて余裕もなくなってるのかもな)
それでも八つ当たりしないのはロイの性格なのだろう。
「他人同士なんだから言わないと分からないこともあるし、不安になっても誰も笑わん」
「…おまえは絶対に後々になって言うんだ。
絶対に笑ってネタにする」
「おまえさんは俺を何だと思ってんだよ」
「誰とでも仲良くなれる親バカ?」
「あのなぁ。
確かに親バカではあるけど。
俺だって相手を選ぶさ。
何の為に俺がみんなと仲良くしてると思ってんだ。
まぁ、嫌ではないし。
実際にお節介だからな」
「えっ?」
ロイは瞬きして不思議そうにヒューズを見つめる。
「言わないつもりだったのにな。
おまえの為に決まってんだろ。
人付き合いが得意じゃないおまえの為に仲間を、情報を掴んでるんだ。
それなのにおまえさんは将軍になった途端に不安になるし!
あいつらは離れてなんかない。
寂しいこと言うなよ」
「ヒューズ…すまない」
「だから、謝るな。
こっちまで調子が狂う!」
ロイの頭を乱暴にグシャグシャと撫でてヒューズは文句も無視した。
『将軍、大丈夫ですか?』
「…大丈夫だよ。
あいつはいつもそうなんだ。
無茶してたのも焦りも否定は出来ないけど」
苦笑いしてロイはセルシアを抱き締める。
『将軍、くすぐったいです』
「…少しだけ。
私は我儘なんだな。
みんなも君も手に入れて守りたくて離したくなくて」
『我儘じゃないです。
それが人間の本能です。
大切な人達を失いたくないのも守りたいのも。
でも、少しくらい私達にも分けてください』
「…そうだな」
苦笑いしてロイはセルシアの肩に顔を埋める。
ロイの髪が首元に当たってくすぐったそうにセルシアは笑う。
(まずは将軍を目指していたはずなのに。
現実でそうなると私がみんなから離れたようで寂しくなる。
いや、いつかは優秀な人材として信頼の出来る者に預けたい。
私の側は危険だ。
私と違って家族がいるんだ。
そんなことを思っていると知ったらマダムは怒るかな。
おまえらしいと笑うだろうか。
セルシアも中尉も親戚はいるんだから)
ロイは離れてセルシアの頭を撫でて執務室から出ようとする。
「将軍、どちらへ?」
「…ちょっとな。
すぐに戻る」
それ以上は中尉は聞かずに静かに見送った。
空を見上げてロイは白い息を吐き、苦笑いする。
「…煙草なんて珍しいな。
リーゼル大佐が嫌がるんじゃないか?」
「私なら煙草もいいんだと」
「ははっ、らしい言葉だ。
昔からおまえは変わらないな。
悩みがあると考えをまとめたくて屋上に来る。
1人になろうとする」
ロイは屋上の床に座りながら柵に寄りかかり、煙草を吸っていた。
「…それなのにおまえはいつも来るよな」
「土足で上がり込めるのは俺くらいだからな。
女性相手に愚痴れないだろ。
それとも、リーゼル大佐は別か?」
「そんなこと…っ」
ロイはこの前のことを思い出して赤面して顔を隠す。
セルシアの胸で泣いた自分は今でも恥ずかしいようだ。
「おっ?
何だ、何があったんだ」
「うるさい!」
「見逃してやるか。
ははっ、珍しいこともあるな」
「…ヒューズ」
まだ微かに赤い顔を上げてロイは見つめる。
「どうした?」
「おまえみたいに土足で上がり込めたなら楽なのにな。
以前より仲間も増えた。
なのに、上に上がる度に遠くなる」
「遠い?」
「私が離れるのかな。
見えない距離感を感じるんだ。
おまえみたいにどうしたと笑顔で言えたら楽だろうな」
ロイは寝転んで空を見上げ、空中で手を握る。
ヒューズは小さなため息をついてロイから煙草を奪う。
「おまえさんには煙草は似合わん」
「自分でもそう思う」
「…ロイ。
離れてるなんてない。
俺も離れると思うか?」
「離れたいのか?
無理に私と居なくていいんだぞ」
「バカ、違うって!
今日のおまえは何なんだ」
「…さぁな」
(精神的に辛いものがあるか。
距離が離れてない分、直接も言われて余裕もなくなってるのかもな)
それでも八つ当たりしないのはロイの性格なのだろう。
「他人同士なんだから言わないと分からないこともあるし、不安になっても誰も笑わん」
「…おまえは絶対に後々になって言うんだ。
絶対に笑ってネタにする」
「おまえさんは俺を何だと思ってんだよ」
「誰とでも仲良くなれる親バカ?」
「あのなぁ。
確かに親バカではあるけど。
俺だって相手を選ぶさ。
何の為に俺がみんなと仲良くしてると思ってんだ。
まぁ、嫌ではないし。
実際にお節介だからな」
「えっ?」
ロイは瞬きして不思議そうにヒューズを見つめる。
「言わないつもりだったのにな。
おまえの為に決まってんだろ。
人付き合いが得意じゃないおまえの為に仲間を、情報を掴んでるんだ。
それなのにおまえさんは将軍になった途端に不安になるし!
あいつらは離れてなんかない。
寂しいこと言うなよ」
「ヒューズ…すまない」
「だから、謝るな。
こっちまで調子が狂う!」
ロイの頭を乱暴にグシャグシャと撫でてヒューズは文句も無視した。