第⑭話
夢小説設定
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ロイの報告書とロイをエドは交互に見つめる。
「何だ?」
「いや、男なのに綺麗な字を書くんだなって。
汚い字のイメージはなかったけど」
「ホントだ。
兄さんの字とは比べ物にならない」
「うっせぇよ」
呆気に取られていたロイだが、苦笑いを浮かべる。
「まさか君からそんなことを言われるとはね。
環境的なものかな」
「女性副官?」
「違う違う。
家の手伝いで字を書くことが多かったし、字で苦労した人だから男でも綺麗な字を書けと教育されてたんだよ。
そういえば、色々と習い事も習わせられてたな」
「へぇ…」
今思うとマダムは自分のようにロイには苦労をして欲しくなかったのかもしれない。
(義母で片親だからこそ、私がバカにされないように一生懸命だったんだろうな)
嫌とは言わずに幼いロイは言われた通りに通ってた。
「役立ってるのは字くらいだな。
あの人の涙なんて見たこと…
一度だけあるか」
「あの人が?」
「習い事でいつもより帰りが遅くなって酔っ払いに絡まれてな。
意味もなく殴られた。
こんな理不尽な大人がいるんだなと抵抗せずに殴られてた」
「そこは抵抗しろよ!」
「逃げられないし、抵抗して怒らすより殴られて痛いのが短い方がいいと思ってな」
「…恐ろしく冷めた子供だな」
習い事を習わせていたのもマダムは子供らしさをロイに取り戻させたかったのかもしれない。
気がついたら病院のベットで普段は泣いたりしないマダムが泣いて謝り、幼いロイを驚かせた。
“ロイ坊、すまなかった。
痛かっただろう?”
“これからは必ず迎えに行くから待っているんだよ”
文句を言いながらもマダムはその約束通りにどんなに忙しくても迎えに来てくれた。
「そいつは捕まったのか?」
「半殺しにされてたと大人になってからマダムの知人に聞かされたよ」
「はぁ?」
「人の子に何してやがる!って殴るわ蹴るわ、大変だったらしいな」
(…おまえの体術は血筋かもな)
あのマダムならしそうだとヒューズは苦笑い。
「どんな人か想像つかない」
「弱音は吐かずに自分よりも他人の為に動いて愛情深い。
豪快に笑うし、厳しい」
「…余計に分かんねぇし。
恐ろしい人が浮かぶんだけど!?」
「恐ろしい人ではあるよ。
でも、同時に凄く優しい人。
絶対に認めないけど」
エドは想像がつかずに混乱していて、その様子に苦笑い。
(何だかんだ言いながらも似た者同士だよな、ロイとマダムは。
自分よりも他人を優先するとこなんか特にな)
それを言うと文句を言われるから黙っておく。
「大佐、いいとこない?
ヒントになるものとかさぁ…」
「そう言われてもな」
「だよな。
簡単にあったら苦労しないか」
「ん?
待て、確か研究者で…
国家錬金術師ではないが、錬成を研究していると」
「それ、紹介してくれ!」
「私も会ったことはないが…」
資料を開きながらロイはエドに見せた。
探しているものではなくてもヒントは得られるかもしれない。
「じゃあ、行って来る!」
「待ちなさい。
人の話は最後まで聞きなさい」
「何だよ!」
「子供の君が行ったところで国家錬金術師だろうと軍関係者でもないから追い出されるのがオチだ」
「そ、それは…
どうにか説得するさ!」
「子供の君の話を?」
「どうすればいいんだよ!」
「だから、待ちなさいと言ってる。
私が紹介状を書いてやる」
「へっ?」
「私の紹介状があれば、少なくても話は聞いてもらえるはずだ」
「そうなのか?」
「軍関係者ではないが、軍から研究費は出している。
そう説明しようとしたのに君は飛び出して行こうとするんだから」
「兄がすみません。
お願いします」
「あぁ、今書くから。
紹介状があるからと言って研究内容を教えてくれるとは限らない」
「分かってるよ。
そこから先は説得するなり、自分達でやるさ」
「紹介状と研究室の地図だ」
「大佐、助かる!」
「ありがとうございます」
「報告書を忘れるなよ。
それから…、って行ってしまったか。
本当に話を聞かないな」
ヒューズの視線にロイは微かに笑みを浮かべる。
「わざと教えなかったのか?
堅物なのも。
親切過ぎて怪しいな」
「堅物同士でいいではないか。
秘密を見つけ出すのは鋼のは得意だからな」
「…やはりか。
あまり利用してやるなよ」
「人聞き悪いな」
ロイの策を知ったらエドは怒鳴って来そうだ。
「何だ?」
「いや、男なのに綺麗な字を書くんだなって。
汚い字のイメージはなかったけど」
「ホントだ。
兄さんの字とは比べ物にならない」
「うっせぇよ」
呆気に取られていたロイだが、苦笑いを浮かべる。
「まさか君からそんなことを言われるとはね。
環境的なものかな」
「女性副官?」
「違う違う。
家の手伝いで字を書くことが多かったし、字で苦労した人だから男でも綺麗な字を書けと教育されてたんだよ。
そういえば、色々と習い事も習わせられてたな」
「へぇ…」
今思うとマダムは自分のようにロイには苦労をして欲しくなかったのかもしれない。
(義母で片親だからこそ、私がバカにされないように一生懸命だったんだろうな)
嫌とは言わずに幼いロイは言われた通りに通ってた。
「役立ってるのは字くらいだな。
あの人の涙なんて見たこと…
一度だけあるか」
「あの人が?」
「習い事でいつもより帰りが遅くなって酔っ払いに絡まれてな。
意味もなく殴られた。
こんな理不尽な大人がいるんだなと抵抗せずに殴られてた」
「そこは抵抗しろよ!」
「逃げられないし、抵抗して怒らすより殴られて痛いのが短い方がいいと思ってな」
「…恐ろしく冷めた子供だな」
習い事を習わせていたのもマダムは子供らしさをロイに取り戻させたかったのかもしれない。
気がついたら病院のベットで普段は泣いたりしないマダムが泣いて謝り、幼いロイを驚かせた。
“ロイ坊、すまなかった。
痛かっただろう?”
“これからは必ず迎えに行くから待っているんだよ”
文句を言いながらもマダムはその約束通りにどんなに忙しくても迎えに来てくれた。
「そいつは捕まったのか?」
「半殺しにされてたと大人になってからマダムの知人に聞かされたよ」
「はぁ?」
「人の子に何してやがる!って殴るわ蹴るわ、大変だったらしいな」
(…おまえの体術は血筋かもな)
あのマダムならしそうだとヒューズは苦笑い。
「どんな人か想像つかない」
「弱音は吐かずに自分よりも他人の為に動いて愛情深い。
豪快に笑うし、厳しい」
「…余計に分かんねぇし。
恐ろしい人が浮かぶんだけど!?」
「恐ろしい人ではあるよ。
でも、同時に凄く優しい人。
絶対に認めないけど」
エドは想像がつかずに混乱していて、その様子に苦笑い。
(何だかんだ言いながらも似た者同士だよな、ロイとマダムは。
自分よりも他人を優先するとこなんか特にな)
それを言うと文句を言われるから黙っておく。
「大佐、いいとこない?
ヒントになるものとかさぁ…」
「そう言われてもな」
「だよな。
簡単にあったら苦労しないか」
「ん?
待て、確か研究者で…
国家錬金術師ではないが、錬成を研究していると」
「それ、紹介してくれ!」
「私も会ったことはないが…」
資料を開きながらロイはエドに見せた。
探しているものではなくてもヒントは得られるかもしれない。
「じゃあ、行って来る!」
「待ちなさい。
人の話は最後まで聞きなさい」
「何だよ!」
「子供の君が行ったところで国家錬金術師だろうと軍関係者でもないから追い出されるのがオチだ」
「そ、それは…
どうにか説得するさ!」
「子供の君の話を?」
「どうすればいいんだよ!」
「だから、待ちなさいと言ってる。
私が紹介状を書いてやる」
「へっ?」
「私の紹介状があれば、少なくても話は聞いてもらえるはずだ」
「そうなのか?」
「軍関係者ではないが、軍から研究費は出している。
そう説明しようとしたのに君は飛び出して行こうとするんだから」
「兄がすみません。
お願いします」
「あぁ、今書くから。
紹介状があるからと言って研究内容を教えてくれるとは限らない」
「分かってるよ。
そこから先は説得するなり、自分達でやるさ」
「紹介状と研究室の地図だ」
「大佐、助かる!」
「ありがとうございます」
「報告書を忘れるなよ。
それから…、って行ってしまったか。
本当に話を聞かないな」
ヒューズの視線にロイは微かに笑みを浮かべる。
「わざと教えなかったのか?
堅物なのも。
親切過ぎて怪しいな」
「堅物同士でいいではないか。
秘密を見つけ出すのは鋼のは得意だからな」
「…やはりか。
あまり利用してやるなよ」
「人聞き悪いな」
ロイの策を知ったらエドは怒鳴って来そうだ。