第⑬話
夢小説設定
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しばらくすると小言を言う中尉と聞き流すロイが戻って来た。
「リーゼル大佐にくっつくのを禁止にしますよ!」
「それは嫌だな」
『お帰りなさい。
気分転換になりました?』
「ただいま」
『軍服、どうしたんですか?』
「引っ掻けてしまってな」
『ちょっと待ってくださいね。
これが終わったら縫いますから』
「ありがとう」
((…既に若妻だよな))
ハボックとブレダは羨ましくもあり、うんざりもする。
「リーゼル大佐…」
『はい、中尉は確認するだけね。
マスタング将軍はこちらにサインを。
この2枚は重要書類が混ざっていたので。
資料は持って来ましたから』
「ありがとう」
尽くし方でもこれだけ両極端だと凄いなと感心してしまう。
「そういえば、将軍。
ヒューズ中佐がこちらを置いて行きました」
「私の名前で借りて来た。
あの事件のことが興味あるみたいだったし」
『読んでいいんですか?
ありがとうございます』
(喜んでるし。
国家錬金術師の思考は分からん)
特にハボックは勉強が苦手だったので苦痛でしかないようだ。
「将軍、サインを頼みます」
「あぁ…ちょっと待て。
ん? ブレダ、手は空いてるか?」
「やり直しですね」
「おかしいな」
ハボックの計算間違いの修正はいつの間にかブレダの担当。
ロイ曰く、説明してやらせるよりも自分かブレダがした方が早いらしい。
だからと言ってロイは叱ることもバカにもしない。
ネタとしてからかうことはあるが、傷つけるようなことはない。
「ハボックにはこっちの書類だな。
こういう方が得意だろ?」
「…はい」
「どうした?」
ハボックの様子に気づき、ロイは顔を上げる。
「何で、なんですか。
将軍もリーゼル大佐も」
「ん…?」
『私?』
「こんなガキみたいな計算間違いしても怒鳴んないし、ブレダも苦笑いするだけでいつも面倒な修正してくれて」
「何か言われたか?」
「こんなことも出来ない部下を持つマスタング将軍は馬鹿だって。
すみません、俺のせいで…」
「まったく…図体はでかいくせにおまえは」
呆れたようにロイは小さく笑いながら俯いてるハボックの頭をくしゃっと撫でる。
「将軍…」
「なんて顔してるんだ、男が。
私は野郎を慰めるのは下手なんだぞ」
「ぐずっ…」
「あ~、もう…図体がでかい奴が泣くな。
人には得意なこと、不得意なことがあるんだ。
苦手なものを押し付けるよりも私は得意分野を伸ばしてやりたいんだよ。
その方がやり甲斐もあるだろ。
わざと傷つけて八つ当たりする上官もいるんだ。
そういう上官に当たってしまったんだな。
悪かったな、ハボック」
こういうことはロイと違ってハボックは慣れてなかった。
東方司令部は狭い訳ではないが、把握は出来ていて優しい人も多かったからこういう被害はなかったのだろう。
「将軍…のせい、じゃ…」
「その顔はどうにかしてくれ。
一服して気分を変えて来い。
ほら、煙草代」
「…ありがとうございます」
ロイは中尉に視線を送ると中尉が頷いて執務室から出た。
中尉にフォローを頼んでロイはため息をつく。
「私のせいでおまえ達にも…
すまないな」
「大丈夫ですよ」
「将軍や大佐ほどではありませんからね」
「ハボック少尉はちょっと当たった相手が悪かったんですな」
「…そうだな」
「将軍が上官になる前の直属の上官が問題あったみたいで。
本人に聞いた訳ではなくて人伝なんですが。
こんな計算も出来ないのかと怒鳴られて殴られて馬鹿にされて笑われていたと」
「なっ!
だから、アイツは…
馬鹿にしないと言ったのか」
「そうかと思います。
これだけはアイツ、喋りたがらなくて」
ハボックの過去にロイ達は切なくなった。
「…圧を掛けてたら解ける問題も出来ないだろうな。
私は間違っていたかもしれん」
「いえ、長所や得意分野を伸ばしてくれるなんて有り難いですよ」
「無駄だと言われていた僕の能力も将軍だけは凄いと言って認めてくれてこんな自分でも居ていいんだと思えました」
ロイだけはいつだって自分達を個人として見てくれていた。
「リーゼル大佐にくっつくのを禁止にしますよ!」
「それは嫌だな」
『お帰りなさい。
気分転換になりました?』
「ただいま」
『軍服、どうしたんですか?』
「引っ掻けてしまってな」
『ちょっと待ってくださいね。
これが終わったら縫いますから』
「ありがとう」
((…既に若妻だよな))
ハボックとブレダは羨ましくもあり、うんざりもする。
「リーゼル大佐…」
『はい、中尉は確認するだけね。
マスタング将軍はこちらにサインを。
この2枚は重要書類が混ざっていたので。
資料は持って来ましたから』
「ありがとう」
尽くし方でもこれだけ両極端だと凄いなと感心してしまう。
「そういえば、将軍。
ヒューズ中佐がこちらを置いて行きました」
「私の名前で借りて来た。
あの事件のことが興味あるみたいだったし」
『読んでいいんですか?
ありがとうございます』
(喜んでるし。
国家錬金術師の思考は分からん)
特にハボックは勉強が苦手だったので苦痛でしかないようだ。
「将軍、サインを頼みます」
「あぁ…ちょっと待て。
ん? ブレダ、手は空いてるか?」
「やり直しですね」
「おかしいな」
ハボックの計算間違いの修正はいつの間にかブレダの担当。
ロイ曰く、説明してやらせるよりも自分かブレダがした方が早いらしい。
だからと言ってロイは叱ることもバカにもしない。
ネタとしてからかうことはあるが、傷つけるようなことはない。
「ハボックにはこっちの書類だな。
こういう方が得意だろ?」
「…はい」
「どうした?」
ハボックの様子に気づき、ロイは顔を上げる。
「何で、なんですか。
将軍もリーゼル大佐も」
「ん…?」
『私?』
「こんなガキみたいな計算間違いしても怒鳴んないし、ブレダも苦笑いするだけでいつも面倒な修正してくれて」
「何か言われたか?」
「こんなことも出来ない部下を持つマスタング将軍は馬鹿だって。
すみません、俺のせいで…」
「まったく…図体はでかいくせにおまえは」
呆れたようにロイは小さく笑いながら俯いてるハボックの頭をくしゃっと撫でる。
「将軍…」
「なんて顔してるんだ、男が。
私は野郎を慰めるのは下手なんだぞ」
「ぐずっ…」
「あ~、もう…図体がでかい奴が泣くな。
人には得意なこと、不得意なことがあるんだ。
苦手なものを押し付けるよりも私は得意分野を伸ばしてやりたいんだよ。
その方がやり甲斐もあるだろ。
わざと傷つけて八つ当たりする上官もいるんだ。
そういう上官に当たってしまったんだな。
悪かったな、ハボック」
こういうことはロイと違ってハボックは慣れてなかった。
東方司令部は狭い訳ではないが、把握は出来ていて優しい人も多かったからこういう被害はなかったのだろう。
「将軍…のせい、じゃ…」
「その顔はどうにかしてくれ。
一服して気分を変えて来い。
ほら、煙草代」
「…ありがとうございます」
ロイは中尉に視線を送ると中尉が頷いて執務室から出た。
中尉にフォローを頼んでロイはため息をつく。
「私のせいでおまえ達にも…
すまないな」
「大丈夫ですよ」
「将軍や大佐ほどではありませんからね」
「ハボック少尉はちょっと当たった相手が悪かったんですな」
「…そうだな」
「将軍が上官になる前の直属の上官が問題あったみたいで。
本人に聞いた訳ではなくて人伝なんですが。
こんな計算も出来ないのかと怒鳴られて殴られて馬鹿にされて笑われていたと」
「なっ!
だから、アイツは…
馬鹿にしないと言ったのか」
「そうかと思います。
これだけはアイツ、喋りたがらなくて」
ハボックの過去にロイ達は切なくなった。
「…圧を掛けてたら解ける問題も出来ないだろうな。
私は間違っていたかもしれん」
「いえ、長所や得意分野を伸ばしてくれるなんて有り難いですよ」
「無駄だと言われていた僕の能力も将軍だけは凄いと言って認めてくれてこんな自分でも居ていいんだと思えました」
ロイだけはいつだって自分達を個人として見てくれていた。