第2Q
=体育館=
本日は雨、ロードワークがなくなり、すっかり時間が余ってしまった部活動
日「ロード削った分、練習時間余るな…
どーする?カントク」
リコはうーんと悩んだ
リ「(一年生の実力も見たかったし……)
ちょうどいいかもね
##NAME1##ちゃーん!!」
『はい!』
リ「得点盤の準備してもらっていい?
5対5のミニゲームをやろう!
1年対2年で」
そうして急遽準備されたコート
1年と2年、それぞれビブスを着て軽く体を動かす
「センパイと試合って…!」
「覚えてるか、入部説明の時言ってた去年の成績……」
去年、1年だけで決勝リーグまで行ってるって……!!
『(へー1年だけでか…そんなに凄いんだ……)』
1年生の話を聞いていた##NAME1##は少し驚く
隣で審判をするリコはワクワクとした目で彼らを見ていた
リ「(……さ~て、ルーキー達はどこまでやれるかな?)」
さらにそれを横目で見ていた##NAME1##はリコに答える様に思っていた
『(テツヤがいる限り…結構なとこまで行くと思うよ?)』
火「ビビるとこじゃねー
相手は弱いより強い方がいいに決まってんだろ!
行くぞ!!」
逆に話を聞いて燃えていた人物が1人
試合開始のホイッスルと同時にジャンプボールでボールを奪った火神
ガツン!!
そのままの勢いで火神はダンクを決め、先制点は1年生に入った
「おおっ!!」
「うわぁ!マジか、今のダンク!!」
「スゲェ!!!」
「…………!!」
火神の迫力のあるダンクに皆が驚いた
『(この感じ…この人…まだまだ強くなる…!!)』
リ「(想像以上だわ……!!
あんな荒削りなセンスまかせのプレイでこの破壊力……!!)」
日「とんでもねーな、オイ……」
同じように試合に出ていた二年生も火神の迫力に嬉しそうな悔しそうな顔をした
日「(即戦力どころか、マジで化物だ……!!)」
1年 11-08 2年
それから火神の勢いのみで得点は1年生が先行する
だが、そんな火神も試合の間ずっとイライラしていた
火「(んなことより……クソッッ!!
神経逆なでされてしょーがねー……!!)」
その視線の先には黒子
パスで回ってきたボールを取るが、
バチッ!
「スティール!?またアイツだ!」
「しっかりしろー!!」
すぐに相手チームにボールを弾かれ、取られてしまう
『(んー…テツヤが上手く機能してない…
まぁテツヤのスタイル自体見たことないだろうししょうがないんだけど…さて、どうするか…)』
「3人!?」
「…………!!」
ボールを持っていた火神のマークが三人になり、上手くゴールに近づけない
「そこまでして火神を……!」
「しかも…ボールを持ってなくても2人……!!
ボールに触れさせもしない気だ!」
1年生の得点はほとんど火神が入れていた為、得点が伸びず、2年生と倍の得点差になっていた
1年 15-31 2年
「やっぱり強い……」
「てゆーか勝てるわけなかったし…」
「もういいよ……」
他の一年生が諦めかけたその様子に火神のイライラが爆発する
火「………もういいって…なんだそれ、オイ!」
他の一年生の首襟を鷲掴み、怒鳴った
コンッ!
黒「落ち着いてください」
そんな火神に後ろから気配を消して膝カックンを食らわした黒子
黒子の行動に他の一年生が顔を青くする
火「テメ……!」
火神が黒子の膝カックンに完全にキレ、そんな火神を他の一年生が必死で止めていた
「なんかモメてんぞ」
「黒子か……そういやいたな~」
そんな様子を2年生は他人事のように眺める
リ「審判の私も途中から忘れてた………………んん!?」
クスッ…
『どうしたんですか?』
リ「………黒子君、いつからいたっけ?」
『最初っからですよ(ニコッ)』
リコに向いていた##NAME1##の視線は再びコートに戻る
『…監督。ちょっと行ってきます』
リ「え?…えぇ?!;」
##NAME1##はモメている黒子と火神のもとへと向かった
そして2人の口論はヒートアップし、火神が右手を振り上げた時
パシッ
『はーいストーップ』
「「「!?」」」
日「か、火神のパンチを…」
伊「止めた…?」
リ「##NAME1##ちゃんが!?;」
火「…チッ、んだよ」
『暴力は良くないよ?
まぁテツヤを見てイライラするやつは…今までいーっぱいいたからわかるけど…
私…自分が認めた人を馬鹿にされるの、嫌いなんだよねー』
##NAME1##はそう言いながら火神を睨む
火「…てめーに何が分かんだよ
試合に出れねーヤツに口出しされる筋合いねーんだよ!
”女が男子バスケで勝てるワケねーだろ!”」
黒「あ。火神くん。それ地雷です」
火「あ″?」
『…カントク』
リ「ん?どうしたの?##NAME1##ちゃ…」
『ちょっと試合出させてもらっていいですか?
ほんの1分でいいので』
…そこには後ろに般若を纏った##NAME1##がいた…
「「「「(こえぇぇぇ!!!;)」」」」
リ「い、いいけど##NAME1##ちゃんバスケできるの?;
筋肉からみてできるとは思うけど…男子とよ?」
『全く問題ありません(ニコッ)
先輩方も1分だけお付き合い頂いてよろしいでしょうか?』
日「あ、あぁ…俺たちは構わないが…」
『あぁよかった
では1分だけ下がっててもらえるかな火神くん?
私が…”女が男子バスケで勝てるかどうか”ご自身の目で確かめてください(ニコッ)』
##NAME1##はそういうと、髪をポニーテールに結び、はめていたリストバンドを握り、コートへを立った
残り3分
『よし、テツヤ、”いつも通りで行こう”』
黒「了解です
…1分間は##NAME2##さんに全部回していいですか?」
『無論だよ』
黒「すいません、適当にパスもらえませんか」
降「は?」
『ごめんね。1分間だけ私が点とるから、私かテツヤにパス回してもらっていい?』
降「お、おう!わかった!」
残り時間も少なく、点差は変わらない
降「(てか、もらっても何ができんだよ?
せめてボールとられんなよ~)」
同チームのパスがしょうがなく黒子に渡る
その瞬間、ボールはゴール前にいた##NAME1##の下へと移動した
そしてそのままシュートを決める
「……え」
「……な」
「入っ……ええ!?
今どーやってパス通った!?」
「わかんねぇ、見逃した!!」
『(ニヤリ)』
いつの間にか得点を奪われてしまった2年生は騒ぐ
それは試合を見ていたリコも戸惑っていた
リ「(この違和感は何……?
もしかして……何かとんでもないことが起きてる…!?)」
たった一人、##NAME1##は楽しくてしょうがなかった
帝光時代…まだみんなが楽しく、必死にバスケをしていた頃を思い出した
そして、1年生の攻撃は止まらない
次々に点差を縮めていった
「どーなってんだ、一体!!?」
「気がつくというパスが通って決まってる!?」
そこでやっとリコがその仕組みに気づいた
リ「(存在感のなさを利用してパスの中継役に!?
しかも、ボールに触ってる時間が極端に短い!!
……じゃ彼はまさか……元のカゲの薄さを…もっと薄めたってこと~!?)」
“ミスディレクション”
手品などに使われる、人の意識を誘導するテクニック
ミスディレクションによって自分ではなく、ボールや他のプレイヤーなどに相手の意識を誘導する
つまり…
彼は試合中、”カゲが薄い”と言うよりもっと正確に表現すると
自分”以外”を見るよう仕向けている
火「(これが黒子の……!!)」
黒子の見えないパスに火神も驚いていた
リ「元帝光中のレギュラーでパス回しに特化した見えない選手……!
噂は知ってたけど、実在するなんて……!!」
『…さて、テツヤの事を知ってもらえたところで…私も動くか』
黒「やっぱりそれで大人しかったんですか
…相変わらずお人よしですね」
『そりゃ、これから一緒にプレーしていくのはテツヤだからね~
でも、ちょっと本気出してみよーか
残り18秒か…』
黒「20じゃないですか?」
『…勝手に…;
まぁ…
イケるか』
そして1年ボールから始まり
黒子がボール出し、##NAME1##が受け取った
一瞬だった
ストンッ…
「え?」
誰かもわからない
声にもならない声が微かに聞こえた
リ「うそ…(見えなかった…)」
『ほらテツヤボール出し!』
黒「##NAME2##さん早すぎです
僕まだコートの半分までしか来れてません」
『…まだ3分の1ほどの位置にいるのは私の目の錯覚かな?』
黒「錯覚です
眼科行った方がいいですよ」
『酷っ!!?;』
体育館にいる全員が、何が起こったか分からなかった
ただ気づいたら、##NAME1##は相手のゴール下にいて
気づいたらボールが入っていた
審判であるリコすら入ったのかどうかわからず、揺れるゴールネットとその下ではずむボール
その状況で、点が入ったと理解した
『さ、あと16秒ちょい…目標あと18点
行くよテツヤ』
黒「わかってます」
残り10秒
2年は##NAME1##と止めることに全力を注いでいた
##NAME1##は黒子と2人で18点取った
2年生が決して弱い訳じゃない
それ以上に##NAME1##は強かった
日「(なんだコレ…全然読めねぇ動きをされる)」
伊「(動く方向がわかっても、それ以上のスピードで追い抜かれる)」
小「(女子とは思えないパワーでボールを取られる)」
リ「(なんなのこの子っ!!)」
##NAME1##が向かい、シュートモーションに入った
いや、入ろうとした
『!日向先輩に伊月先輩…ならっ』
##NAME1##はシュートモーションに入るのを止め、抜こうとした
が、伊月が先を読み道を阻んだ
しかし、それでも突っ込んで行く
伊「!?」
ボールは伊月の足の間でバウンドした
そして抜かれるかと思われたが、ボールは元の位置へと戻った
伊日「「んな!?」」
『ごめんなさい。せーんぱい♡』
そして##NAME1##も元の位置に戻り、再びシュートを放った
綺麗な弧を描き、ボールはゴールへと吸い込まれていった
残り2秒
『…テツヤ、最後”アレ”やるからいい感じに上げてくれる?』
黒「! 久しぶりじゃないですか?」
『ふふっなんかね、そーゆー気分になった』
黒「(ご機嫌ですね)」
そして##NAME1##は中間付近で立ち止まり、黒子はボールを放った
日「!マズイ戻れ!」
『(ニッ)遅いですよ』
##NAME1##はそのままゴールへと走り、飛んだ
伊「!」
日「まさか…っ!!
(女子で…できんのか!?)」
『あぁっ!!』
そのままダンクを決めた
ピーーーーーッ
リ「そこまで!選手交代!」
『お。1分経ったか…
どうだった?火神くん…』
火「…今度、1on1してぇ」
『! えへへっいいよ!
あと、テツヤをよろしくね~』
火「おう!」
そういって##NAME1##はさっさとベンチへと戻った
日「##NAME1##ちゃんすげーな!!」
伊「ほんと、驚かされたよ」
小「ボール使いもだけど最後のダンク!!
女子高生してんの初めてみた!!!」
『ありがとうございます
でも…先輩達、そこまで本気で止めにこなかったでしょ?』
日「…いや、最後数秒は本気だったよ」
『ふふっそうですか
…このまま1年生に勝ちを譲る…?』
小「……わけにはいかねーなー」
日「そろそろ大人しくしてもらおうか!」
ここから二年生の反撃開始だった