第6Q
最後の最後に火神のダンクが決まった
誠凛 100-98 海常
勝ったのは
誠凛
「うわぁあぁあああ!!
誠凛が!?勝ったぁああ!!!」
I・H常連校に練習試合とはいえ、誠凛が勝ったことに体育館中が盛り上がる
ベンチではチームメートが互いに喜び、リコは安心したようにコート上の選手達を見る
しかし##NAME1##だけは、ただ1人を見つめていた…
日「嬉しい通り越して、信じらんねー」
日向達も試合が終わり、笑みが溢れる
火「うおっ……しゃあぁあーーー!!」
火神は”キセキの世代”のいるチームに勝てたことがよほど嬉しかったのか、雄叫びを上げる
常に無表情の黒子も黄瀬に勝利したことで薄く笑みを浮かべていた
反対に海常の選手達の雰囲気は沈んでいた
黄瀬は呆然と立つ
黄「負け……たんスか?」
生まれて……初めて……負…
黄「あれ?あれ?」
ポロポロと黄瀬の目から涙が流れる
帝光時代にはあり得なかった敗北の感覚に黄瀬は戸惑う
そんな黄瀬の様子に火神と黒子、そしてコート外から##NAME1##がジッと見ていた
##NAME1##だけは、少し、涙を浮かべていた
笠「っのボケ!
メソメソしてんじゃねーよ!!」
黄「いでっ!」
そんな黄瀬の背中に蹴りを入れる笠松
笠「つーか、今まで負けたことねーって方がナメてんだよ!!シバくぞ!!
そのスッカスカの辞書にちゃんと”リベンジ”って単語追加しとけ!」
コートに選手達が並ぶ
「整列!!
100対98で誠凛高校の勝ち!!」
「「ありがとうございました!!!」」
こうして誠凛高校は見事勝利を勝ち取り、帰る準備をし始めた
誠凛高校が帰る時間
海常の選手達が見送りに来る
だが、海常の監督は顰めっ面
反してリコは周りに花が咲いているのが見えるくらい見事な笑顔だった
最後に両キャプテンが握手を交わす
笠「地区違うから、次やるとしたら……
…I・H本番スね」
日「絶対行きます
全裸で告るのやだし」
笠「?」
日向の最後の言葉に笠松は疑問符が浮かべた
だが、帰る時に一人の人影が見えないことに黒子が気づく
黒「あの……黄瀬君は?」
笠「あぁ…どうしても顔見せらんないって謝って、どっか行った」
黒「そうですか…ありがとうございます」
火「つーか##NAME2##は?」
リ「##NAME1##ちゃんは後から来るわ」
笠「…優しいですね、彼女」
リ「そこが良い所ですから」
そうして誠凛高校バスケ部は海常を後にした
一方##NAME1##は黄瀬を探していた
体育館裏の水道場所に行くと、黄瀬が頭から水を被っていた
ショックが拭えず呆然としていた
そんな黄瀬にフワリとタオルが被せられた
『おつかれ、涼太』
黄「え……##NAME3##!?
え、な、なんでここに!?
誠凛帰ったんじゃないッスか!?」
帰ったと思った##NAME1##の姿に驚く黄瀬
『ほら、ちゃんと拭きなさい!』
そう言って##NAME1##はタオル越しに黄瀬の髪をガシガシと拭いてあげた
黄「オレが……心配だったっスか?」
まだ驚きつつ、悔しそうなの黄瀬に、##NAME1##はクスリと笑うと、水道の淵に腰をかけた
『まぁ…初めて負けたワケだしね…
多分…悔しくて、情けなくて、どうしたらいいかわからない…みたいなことになってるのかなぁと思って』
黄「……………」
静かに##NAME1##の言葉を聞き入れていく黄瀬
『ねぇ、涼太
今日初めて負けたワケだしど…
涼太自身、今どんな気持ち?』
黄「どんなって…
とにかく悔しいッス
今まで通用してた技もパワーも…
火神と黒子っちの前では全然通用しなくて
どうにかしたいけどどうにもできなくて…
無力感というか…ただ…今は無性に
バスケがしたい」
『!…いい目になった
けどまだ50点ってとこかな…』
黄「? 50点?」
『でも、これがいいキッカケになったと思うよ
…今度またやろう
”海常”と”誠凛”で』
黄瀬の目には純粋に”強くなりたい”
……そう決意したようにみえた
##NAME1##は黄瀬に近づき、そのまま黄瀬を抱きしめた
黄「!?
##NAME3##っ『涼太』…」
『帝光では”勝つことが至上”だったけど…
負けることで、そこから学んで、またさらに強くなることができる
それが普通なんだけど…涼太達は才能に恵まれすぎたから…
ここから、また強くなって
涼太なら絶対できる
信じてるよ!」
黄「…!
当然ッスよ!」