第4Q





=誠凛ベンチ=



TOでベンチに戻った選手たちの身体からは
汗が大量に吹き出し、息も荒く、明らかに疲労している


リ「(みんな、まだ5分とは思えないほど疲れてる……
  ムリもないわ
  攻守が替わるスピードが尋常じゃない!)」









=海常ベンチ=



「なんだこのていたらくは!お前ら!!
 何点取られりゃ気がすむんだ!!
 DF、寝てんのか!?オイ!」


海常の選手達は監督に喝を入れられていた

笠松はフゥーと息を吐き、黄瀬に向く


笠「つっても、あの一年コンビはヤベーぞ実際
  10番(火神)はオマエが抑えてるからいいとして……
  なんなんだ、あの異常にウッスい透明少年は…」


笠松が黒子に興味を持ったことに黄瀬は嬉しそうに笑う


黄「でしょ?黒子っちは実は……」


笠「なんで嬉しそうなんだテメー」


黄瀬の笑顔にイラついたのか、笠松はゴツンと叩いた


黄「イテッ!だ、大丈夫っスよ、たぶん
  すぐにこの均衡は崩れますよ




  ………なぜなら__」








=誠凛ベンチ=



リ「とにかくまずは黄瀬君ね。」


小「火神でも抑えられないなんて……」


日「もう一人つけるか?」


火「なっ……!」


そんな先輩達の意見に火神が異議を唱える


火「ちょっと待ってくれ…ださい!!」


『ださい……?』


ちぐはぐな火神の敬語に先輩たちは疑問符が浮かぶが、そこへ黒子が口を挟む


黒「……いや、活路はあります。



彼には弱点がある」



「「「「弱点……!?」」」」



黒子の発言にチームが黒子に注目した


日「なんだよ、そんなのあんなら早く…」


黒「いや……正直、弱点と言えるほどじゃないんですけど……」


『それよりテツヤ、もう気づいてるでしょ?』


黒「…はい」


リ「え?」


それまで黙っていた##NAME1##爆弾を落とす


『予想外のハイペースで、もうテツヤが効力を失い始めてます』


「「「「……!?」」」」







=海常ベンチ=



黄「………なぜなら、彼には弱点がある」


笠「弱点……!?」


黄「彼のミスディレクションは40分フルには発動できないんス」


笠「ミスディ……何!?」


黄「11番(黒子っち)のカゲの薄さは別に魔法とか使ってるわけじゃなくて……
  ザックリ言えば、他に気をそらしてるだけ
  一瞬ならオレでもできます」


黄瀬は転がっていたボールを拾った


「”オレを”見ててください」


そう言って黄瀬は笠松が自分を見ているのを確認すると、ボールを軽く投げた

笠松はその”動いたボール”に視線が動く


黄「ホラ、もう見てない」


ポンとボールをキャッチする黄瀬に笠松はあっ!とばかりに気づく


黄「黒子っちは並外れた観察眼でこれと同じことを連続で行って
  消えたと錯覚するほど自分をウスめてパスの中継役になる」


  まぁ、やんなくても元からカゲはウスいんスけど……

  使いすぎれば慣れられて、効果はどんどん薄まっていくんス」








=誠凛ベンチ=



黒「……………!!」


そんな##NAME1##の話を聞いたリコはベンチに座っていた黒子の首を絞める


リ「そーゆー大事なことは最初に言わんかーーー!!」


黒「すいません、聞かれなかったんで…」


リ「聞かな、なんもしゃべらんのかおのれはーーー!!」


『すみません。テツヤのやつ言ってるかと思ったら…;』


リ「##NAME1##ちゃんはいいのよ?
  全ては黒子くんが悪いんだから(ニッコリ)」


メキメキと黒子の首を絞めながら、リコは謝る##NAME1##に対して笑顔で応えた


…同族みつけたかも…とちょっと嬉しくなった


リ「(でも私もウカツだったーー!!
こんなトンデモ技がノーリスクでやれるって方が甘いわ……!!)」


「TO終了です!!」


ピーッと笛が鳴り、再び選手達がコートに戻り始める


リ「黒子君シバいて終わっちゃったーーー!!」


『ふっ!
 カ、カントク…面白すぎです…っ』


リ「笑いこっちゃないのよ##NAME1##ちゃん!!」



『す、すみませ…っ』


未だ笑いが収まらない##NAME1##を見ながら、リコが涙を浮かべていると火神がコートに戻りながら言う


火「このままマーク続けさせてくれ…ださい
  もうちょいでなんか掴めそうなんス」


リ「あっ、ちょ待っ……火神君!もう!」


次々に戻っていく選手達にリコは素早く指示を与え始めた


リ「……とにかく、DFマンツーからゾーンにチェンジ!
中固めて、黄瀬君が来たらヘルプ早めに!

黄瀬阻止最優先!!」


「「「おう!」」」


リ「あと黒子君はちょっとペースダウン
  思いきり点差引き離されない程度に、できる?」


黒「やってみます」


ハァと溜め息をつきながらリコはベンチに座った


『…指示出しきれなかったですね…;』


リ「あーもー、いきなりズッコけたわ~~。
まだ第1Q途中で2コ目のTO使うなんてバカすぎてできないし……」



黄「お?」



黄瀬が攻めようとすると、リコの指示通り、選手達が中を固めていた

ボールを持っていた笠松がその陣型を確認する



笠「(てかほぼボックスワンだな)」



笠「(10番(火神)をみんなでフォローして、とにかく黄瀬を止めようってカンジか)


  ……やんなるぜ、まったく」


笠松はその場所からゴールに向かってシュートを打った

そのままボールはリング入り、3Pが決まる

体育館は笠松のシュートに歓声が上がった



笠「海常レギュラーナメてんのか?
  ヌリぃにも程があるぜ」




リ「(さすが全国レベル……!
  黄瀬君だけが強い訳じゃない!!)」


『…』


リコが##NAME1##の方も見ると、どうやら同じように思っていたらしく顔をしかめていた


火「くっ………!」


火神が再び攻め、黒子にパスを出す

しかし取ろうとした黒子の前に海常の選手がそれを防いだ


「なるほど……少しずつ慣れてきたかも……」
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