episode3 能力
『説明するには、私の生い立ちを話した方が早そうですね』
船長室にて、ソファに座りローを向かい合って、ローが入れてくれたコーヒーを飲みながら##NAME1##が口を開く
『まず、キャプテンはご存じのようでしたが…
私たち##NAME2##一族は1つ特殊能力を持っています』
ロ「"輪廻転生"…
前世の記憶を持って生まれてくる、だろ?」
答え合わせをするローに満足そうに微笑みながら話を続ける
『えぇ
まぁ前世の記憶といっても1つ前の"私の記憶"と言った方がしっくりきますね
名前も代々同じ名前で育つのが習わしですし…』
そう、前世の記憶は生まれた時から存在する
ただし、3歳になるまでは記憶力や身体の発達の関係で"思い出せない"らしい
3歳の誕生日を迎えると走馬灯の様に思い出し、そこで初めて自分の名前を知り、親からもその名前で呼ばれるのだ
ロ「前世では、お前は何をやっていたんだ?」
『ロジャー海賊団の団員です』
ロ「………………何?」
『ロジャー海賊団の団員です』
ロ「繰り返すな。そういうことを言ってんじゃねェ
…つまりお前は、海賊王のクルーの一員だったってことか?」
『正確に言えば、ロジャー船長が海賊王になる前に私は死んだので"今世"の私から言えばそうなりますね』
ロ「そうか…」
ローの視線が下へ向いたことに気がつき、苦笑しながらもフォローを入れる
『あぁ、気を遣わせてしまったらすみません
ですが、気に病む必要はありませんよ
前世の私は、仲間を守るために命を賭けた
結果、仲間の命を守れた
それだけで、私は満足してますから(ニコ)』
そう
前世の私は仲間…正確には見習いの子を庇って心臓を貫かれた
意識が遠のく中、私の名前を必死に叫びながら泣き崩れる仲間達の顔が忘れられない
でも、私は笑って最期を迎えた
大好きな皆に囲まれて旅立った
それだけで、満足だ
胸を張って“満足だった”と言える##NAME1##に、ローは興味を持ったような声を出した
ロ「ヘェ…?
なら俺も、お前が飛びださねェ様に見張っててやらねぇとな」
『あはは!こればっかりは私の性ですからね~(クスクスクス)
けど…是非、今度こそ私を海賊王のクルーだと自慢させて下さいね(ニコッ)』
ロ「ふ、当然だ」
『…こんな稀有な能力を持つ一族です
当然、迫害を受けたこともありますし、政府に狙われ続けてきました
それでも私たち一族はログがとれず、常に動き続ける島のおかげで逃げ延びることができていた
…"あの時"までは』
『お母さん、今日の魚はどう調理するの?』
「そうねぇ…##NAME1##が頑張って取ってきてくれたものだから…お刺身にしちゃう?」
『母さんが前世にいたワノ国の料理だっけ?
私割とワノ国の料理好きだなぁ…』
「素材の味を生かしているからね
あ。父さんが帰ってきたわ」
『お帰り~父さん』
「おう。ただいま
森でイノシシを捕まえてな
みんなで山分けしたんだが、それでも大分量が多いぞ!」
『…3日分の食料になりそうだね;』
「じゃあ冷凍しておこうかしら」
「我々は"世界政府"の命により!正義の名の下、貴様らを捕らえる!!!!」
『なんでっここが!?』
「##NAME1##!!!あなたは逃げなさい!!」
『嫌よ!私も戦うわ!!』
「まだ身体が小さいお前では無理だ!!
いいから早く!!この島を出るんだ!!
生き延びることだけを考えろ!!!」
『っ…!!!
絶対っ追ってきてよ!?』
「「当たり前よ/だ!!!!」」
『…突然でした…世界政府が##NAME2##一族を脅威と判定を下し…
バスターコールが発令された』
ロ「!」
『前世の記憶のおかげで、戦闘の知識はありました
けど、当時10歳の私の身体では海軍に勝てるワケもなく…両親の指示で島を出ようとしました
その途中、異変に気がつきました』
『…はぁっ、はぁっ、はぁっ…っ
…私の身体が…っ、もっと…大きければ…っ』
森に入り、1人肩で早い呼吸を繰り返しながら落ち着きを取り戻していると、戦っている大人達の声が雄叫びから悲鳴に変わっていることに気がついた
『…な、なに…?』
##NAME2##一族は輪廻転生を繰り返す一族
自分の人生を容姿や家族関係が変わりつつも繰り返すことができる
だから、##NAME2##一族の者達は死を恐れない
のに…
「逃げろぉぉぉぉおおお!!!!」
「ダメだっなんで、うあああぁぁぁあ!!!!!」
「逃げろぉぉぉ!!!
赤犬だぁあぁぁぁっ!!!!」
『…私達は輪廻転生を繰り返す…
だから普通に死んでもまた生まれ変わってまたこの世に生を受ける
けど、大将赤犬の"マグマグの実"
あれは私達の魂まで焼き尽くす…
そして私達一族は…私だけが生き残った…』