第17話 パル

※少し裏入ります。(微裏程度)
苦手な方は飛ばして下さい。

















ベルモットが一足先に会場へ行くと部屋を出て行った後、ひとまず座ろうとソファーへ足を運ぶ


すると後ろから衝撃が加わり、倒れ込むようにソファーへうつ伏せになった


倒れた、と認識したときには、背中に重みを感じ、バーボンに倒されたんだと理解した



『・・・バーボン?』


バ「・・・パル、僕、怒ってます」



いつものミステリアスなバーボンの雰囲気でもなく、声色から安室透でもない・・・


パル、バーボンと呼び合っているが、中身は完全に##NAME1##と降谷になっていた


そしていつもの彼からは滅多に感じない怒りを含んだ声が脳を支配した



『・・・わかってます
ごめんなさい・・・』


バ「・・・そう思うのなら、なぜ媚薬なんて飲んだんですか?」


『・・・それは・・・ひゃっ!?』


答えようと体を起こそうと力を込めると、バーボンの唇が項に落ちた


バ「それは・・・何です?」


『その・・・ハニトラするのはいいけど・・・バーボンがベルモットと一緒にいるって思ったら・・・
任務よりそっちが気になっちゃって・・・』


バ「・・・それで?快楽に溺れれば気が紛れると?」


『かい・・・っ!?
・・・いや・・・そういう意味じゃ・・・っふぁ・・・』


再び項に唇を落とすと、そのまま耳元へ移動し、背中をバーボンの手が移動する



・・・ちょっと待って・・・



『ぇ・・・チャック下ろしました!?;』



バ「・・・何のことです?」



惚けているが、絶対的にチャックを下ろさないと腰まで手が直接触れるはずがなく・・・


この流れはマズイ、と思い体を起こせばスルッと手が前へと移動する


『っぁ!?・・・まっ・・・バ、ァボンっ』


バ「・・・僕だって、あなたのその甘い声を他の男に聞かせるなんて・・・嫉妬で気が狂いそうなんですよ?」


やんわりと胸を触られながら、先へと指先が伸びる
と同時に、バーボンの唇は腰へと移動する



『ぁっ・・・っ、バーボンっ・・・透さん!』


バ「・・・今は、バーボンですよ」


『だっ、からっ・・・バーボン・・・っ
ちょ・・・ほんとにっ』



バ「いつものあなたなら、このくらい余裕でしょう?



・・・演技ならともかく、本当の声を聞かせるなんて・・・












どれだけ僕を狂わせたら気が済むんです?」




そこでようやく気がついた


なんでいつもの任務でこんなに彼が怒っているのか・・・


私も彼も、媚薬を飲まされるなんて珍しくもない


もちろん、仕込まれた、とわかっていればそれを口に含むことはないが・・・


キスと同時に、とか


こういった事に慣れている変態もいるわけで・・・




とにかく、珍しいことではないのだ




なのに、任務のために自分から服用したとはいえなぜこんなに彼が・・・バーボンの仮面から降谷零を覗かせてまで怒っているのかわからなかったが・・・




『(演技じゃない声を・・・演技じゃない本物の私の反応を引き出されるのが気に入らなかったから・・・?
え、何それ・・・そんなの・・・)


ズルイ・・・』



バ「はい?・・・・・・パル・・・?」



そこまで自分が思われていたことに恥ずかしくなり、嬉しくなり・・・思わず背中を丸めて両手で顔を覆い隠した


そもそもうつ伏せだから顔を見られる心配はないのだが・・・思わず・・・




自分ばかりが好きなんだと思っていた





自分ばかりが必死で、余裕なんてなくて






会えない日が続いて、久々に顔を見たのがベルモットと一緒





しかもいつも隣にいる梓さんの顔で・・・







腕を組んで隣に立って笑ってて・・・





怖くなった





彼が幸せならそれでいい、そう思った





けど・・・自分が隣にいたい





自分が隣に立って、彼を支えたい、側にいたい、その笑顔を私に向けてほしい




そんな欲ばかりが顔を出して・・・




愛されている自覚はある、けど、いざ直面すると黒い感情がグルグルと渦巻くのも確かで・・・




自分ばかりが必死で、少し悔しかった




だから今回の作戦内容を聞いて、しかもベルモットとバーボンが一緒にいて自分が取り残される・・・今の自分の渦巻く感情と状況が当てはまりすぎた




だから、自分の感情が表に出ることはわかっていた







だから、せめて自分の感覚でいっぱいいっぱいになれば、気も紛れると思ったのだ







なのに・・・






零さんも同じ気持ちになってるとか





余裕がなくなってる声とか、仕草とか・・・









零さんの全身が自分を求めてくれている錯覚に陥る





それを言葉にしてくれたことで、もう私はキャパオーバーだった




バ「・・・##NAME3##さん?」





『っ、今・・・##NAME3##って言わないで下さい・・・っ////』





バ「・・・(ボソッ)##NAME2##・・・」





『っ!!?///』




声にならない声を上げると、バーボン・・・いや、降谷の顔を覗かせて「っくっくっく」と声を殺して笑っている




・・・いやあんたのせいや・・・




クスクス
バ「少しは、僕の気持ちが伝わったようで何よりです」


『っ~~~///
今回は私が悪かったですけど!
ここまで追い込まなくてもいいじゃないですか!!///』



バ「おや?僕としては追い込むというより・・・“お仕置き”の方がしっくりきますが?(ニコッ)」



『っ・・・!・・・!!
もうっ!早く先に会場行ってて下さいっ!

それとウォッカ!!
聞き耳立てるなら盛大に入ってきて下さい!!』



バァァンッ

ウォ「っすいやせん!!」



バ「まぁまぁパル、ウォッカも僕に気を遣ったんでしょうから、そんなに怒らないで下さい





また可愛い顔が台無しですよ?」




起き上がって入ってきたウォッカに体を向けると、バーボンがなだめてくる


と同時に、髪を一束掬われてちゅっというリップ音が落とされた




『っ///』




バ「機嫌、直して下さい?」



『わ、わかりました!わかりましたから!!
着替えますから早く出て行って下さい!』







そう言ってウォッカとバーボンの背中を押し、部屋の外へと追い出した
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