第17話 パル









そう思った矢先・・・









『・・・嘘だ・・・』


安「・・・嘘じゃないですよ、パル」



18時、某ホテルにてバーボンと一緒に会場へ入り、ターゲットを探しながらホールを歩いていると・・・


見慣れた集団を見つけてしまった


ちなみに距離はあったので、向こうはまだ気がついていない



そーっと壁際に避難し、ベルモットと繋がるインカムを意識しながら思考を巡らす



『(よりにもよって“パル”の仕事の時に・・・
いつかこの場面に出くわすだろうとは思っていたけれど・・・)

最悪・・・(ボソッ)』



バ「パル、可愛い顔が台無しですよ?」


『バーボンこそ、目が笑ってないですよ』


べ「<ちょっと!2人とも、しっかりしなさいよ>」


『・・・任務は遂行しますよ
・・・ただ、元々作戦に不満があるのにあの面々・・・ため息もつきたくなるでしょう・・・』


『はぁ』と本当にため息をつけば、インカムから「コラ」という声が聞こえる





だが正直に言おう




心は折れている








巻き込まないように組織を早く壊滅させなければ、と決意した数時間後に、その対象とパルとして対峙してしまったのだ



しかも今回はハニトラと暗殺・・・


ん?待てよ?




バ「・・・パルも気づきました?」


『・・・はい・・』


バ「さて、どうしましょうかね・・・」


『・・・ベルモット、一端上の部屋へ来れますか?』


べ「<いいけど・・・何か不都合でも?>」


『上で話します』


そう言ってインカムを切り、2人で扉から出ようとしたときだった



蘭「あれ!?##NAME4##先生と安室さん!?」


安『「<ビクッ>」』




・・・気づかれてしまった・・・




園「あ!本当だ!2人も来てたんですね!」




『・・・こんばんは、蘭さん、園子さん』


安「お2人がいるということは、毛利先生も一緒に?」



蘭「はい。父とコナン君も一緒です」



そう話していると、遅れて後ろから毛利とコナンがやってきた


コナンは2人の姿を見て目を見開き、驚いていた



・・・そりゃあそうだろう



なんせ2人は、黒を基調としたドレスコードをしているのだから


本職を知っているからと言って、=黒の組織の任務をしない、という事にはならないと理解しているはずだ


だからこそ、今の2人の姿を見て警戒するのも頷ける


5人で少し談笑した後、インカムからベルモットの声が聞こえたため、立ち去るための合図を送った



『・・・透さん・・・』


安「あぁ、すみません
彼女、人に酔ってしまったようで、少し外の空気を吸ってきますね(ニコッ)」



合図を察知してくれた安室の腕に手を添え、2人は会場からまっすぐエレベーターで上へと向かった


・・・扉から除く、小さな陰の気配を感じながら・・・







あぁ







最悪だ














エレベーターに乗り込むと、壁に身を預けるパル


そんなパルの頭にバーボンの手が乗る



降「大丈夫か?」



降谷さんに戻るほど・・・今の私は酷い顔をしているのだろうか・・・


ちなみにインカムは常に繋がっているわけではないので、ここで会話をしてもベルモットに聞かれる問題はない



『・・・正直、心乱れまくってます』



降「だろうな・・・」



『でも、今の私はパルですから・・・
大丈夫です・・・けど・・・




少し、このままで・・・』



降「あぁ」




部屋は最上階


エレベーターが運んでくれるまでの時間の間、降谷の肩に身を委ねながら、静かに眼を瞑った



チンッという音に目を開き、バーボンが手を差し出してエスコートする


無言のまま、ベルモットが待つ部屋に入ると、電話中のベルモットがいた


会話などから相手を予測し、検討が立った
・・・相手はジンだろう



「えぇ、それじゃあ」という言葉とともに、電話を切る



『・・・近くにジンがいるんですか?』



実は今回の任務、ベルモットが先に退室する予定だったため近くに公安を控えさせていた


3人の任務と聞いていたため公安で相手を連行できると踏んでいたのだが・・・




近くにジンがいるのなら話は別だ




べ「あぁ、今の電話は次の任務の話よ
情報がある程度集まったから、私にも情報共有してくれたの


・・・で?わざわざ作戦前に呼び出すなんて、どうしたの?」




『はぁ・・・あなたがご執心の蘭さんのことですよ・・・


表では、安室透と##NAME3####NAME4##は付き合っているんです


蘭さん達がいるとなると、今回の作戦を決行すれば面倒なことになる


まぁそれはこちらの都合なので、あとはケンカ中とか色々誤魔化しはきくけど・・・


あの名探偵君・・・たぶん、首を突っ込んでくることになる」



べ「・・・」


バ「そうなれば、一番困るのは貴方でしょう?


それに、こちらも貴方との約束がある


任務をこなしながら、彼を守るのは・・・さすがに難しいですし・・・」




べ「・・・となると、作戦をいちから考え直さないといけない、ということかしら・・・?」



『えぇ・・・でもいい案が浮かばないんですよねぇ・・・』



バ「そうですね・・・仮に暗殺ではなく毒殺なども可能ですが・・・


彼に見抜かれる可能性がありますし、僕らが撤退する前に警察が駆け込んでくる可能性がある」


『となると・・・私が変装してターゲットに近づき、バーボンとベルモットで周りに群がる虫を排除・・・が妥当ですかね・・・


・・・結局はバーボンが私以外と絡む他道がないみたいですけど・・・


致し方ないですね・・・はぁ・・・』



再びため息を漏らすと、バーボンが心配そうに視線を向けてくる


と同時に、ベルモットからも視線を感じ、顔を上げると声を掛けられた



べ「・・・パル」


『なんですか?』


べ「・・・あなた、薬でも飲んだ?」


バ「・・・」


『・・・バレました?(苦笑)』



降参、とばかりに両手を挙げると、今度はベルモットがため息を漏らす


そのまま視線はバーボンへと移る



べ「バーボン・・・あなた知ってたわね?」


バ「えぇ・・・ですが、どうも調子が上がらないようでして・・・

僕と合流したときには、既に・・・」


バーボンの答えに、ベルモットは眉間に皺を寄せて呆れたように、少しの怒気を含んで反しだした


べ「はぁ・・・わかってるわよね?
もし任務が失敗すれば、あなたが危険なのよ?」


『心配してくれてありがとうベルモット
けど、私もジンへの信頼には応えなくてはならない


今日は気持ちを切り替えられなかったから、強引に飲んだだけよ


それに軽い物だから、意識はこの通りしっかりしてるわ(ニコッ)』



いつもの笑みを浮かべる##NAME4##だが、その息はどこか苦しそうだった


そんな彼女に2人は再度ため息を漏らす



べ「時間もないわ

とりあえず、外で待機してるウォッカに替えのドレスとウィッグを持ってこさせるから、それに着替えて、任務開始よ」
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