第17話 パル
ベ「<パル、任務よ>」
『・・・久しぶりの電話の第一声が任務って・・・』
先日の事件から数日後、学校にいた##NAME2##は教師としての仕事が一段落した為、休憩がてら屋上から校庭を眺めていると、ベルモットからの着信を告げた
『ベルモットからの電話なんて久しぶりだなぁ』と思いながら電話に出ると、少し声の固いベルモットから告げられたのは“任務”という言葉だった
べ「ずいぶんご無沙汰になっているでしょう?
バーボンの手伝いはしてるみたいだけど・・・
本業が鈍ってたら困るのはあなたでしょう?」
『(と、いうことは暗殺・・・か・・・
私の本業はゼロだっての・・・)
・・・ま、ケガはしたくありませんからね
で?いつです?』
べ「<今日よ>」
『・・・・・・今日・・・』
べ「<えぇ。実業家なんだけど、組織の情報を掴んでいるらしくてね・・・>」
『つまり、その“掴んだ情報”が何なのか探りつつ息の根を止めよう、という魂胆なわけですか』
べ「<そういうこと
今日の18時から、彼が参加するパーティーがあるの
あなたはバーボンとパーティーに参加して、その後私とバーボンが一緒に行動しておくからその隙に・・・>」
『ハニトラ仕掛けて上の部屋で決行・・・というワケですね
バーボンが他の女性に目移りして取り残された女性を演じろと・・・
なんか複雑(ボソッ)』
べ「<ほんとあなたってバーボンにゾッコンよね(呆れ)>」
思わず本音を漏らすと、ベルモットから呆れたため息とともにそう言われた
・・・自分でもビックリなんだからしょうがないじゃないか・・・
『・・・好きなものはしょうがないでしょ?
それに、こういう愚痴が零れるのもベルモットだから・・・っていうのもありますし・・・』
べ「<まぁ個人的には微笑ましいんだけど・・・任務は任務よ、いいわね?>」
『わかってますよ・・・』
べ「<わかっているとは思うけど、念の為、ね・・・
じゃあ今夜、パーティーで会いましょう?>」
『了解』
そう言って電話を切り、体を反転させてフェンスへと背中を預ける
『・・・日本を守るため・・・か・・・
“自分の正義を貫くしかない”
・・・ですよね?諸伏先輩・・・』
心地よい風が、##NAME3##の体を優しく撫でた・・・
『と、言うわけで____となります
わかりましたか?』
教壇からそう声を掛ければ、生徒達は眉間に皺を寄せながらも頷いてくれた
『ちなみにここ、ミニテストする予定なので、今理解しておかないと後が大変ですよ~?』
「マジか!」
「##NAME3##先生の鬼!(泣)」
『鬼で結構
将来みんなが困るなら先生は今鬼になります(キリッ)』
「かっこいいけどね!!」
「先生のそういうとこ好きだけどね!!」
「むしろ嫌いになる理由ないけどね!!」
「「「テストが嫌い!!!」」」
『知ってる(さらり)
前も言ったけど、ミニテストは成績には反映しません
あくまでみんなの自己認知のためのテストのつもりなので
・・・それに・・・
ミニテストの内容から本番のテスト問題作りますからねー(コソッ)』
「「「マジか!!!」」」
『大きい声では言えないですけどね(苦笑)
だからミニテスト、頑張ってください♡』
そういえばみんな、目の色を輝かせていい返事をしてくれた
うん、いい子達だ。日本の未来は明るいなぁ
キーンコーンカーンコーン
『あ。時間ですね・・・
今日の授業はここまでにします』
そして日直が号令を掛け、##NAME3##は荷物をまとめて教室を出る
廊下を歩きながら、すれ違う生徒達と挨拶を交わす
『(平和だなぁ・・・)』
先程暗殺の任務を言い渡されたことが嘘のように、心は穏やかだ
それはきっと、この学校の生徒達の笑顔を間近で見て、感じられているからだろう
・・・新一も、本当はここにいたのよね・・・
きっと、あの日ジンに見つからなければ
薬を飲まされていなければ・・・ここで彼も笑っていたことだろう
義理とはいえ、“1年”と過ごした時間が短かったとはいえ、一度は工藤と名乗っていた
思い入れがないとはいえない
むしろ新一を含め、工藤家のことは大好きだ
だからこそ、これ以上巻き込みたくない
そして、日本国民の安全と秩序を守りたい
そのためにも
早く組織を壊滅させなければ・・・