第14話 敵対
警察病院
降谷は搬送後、適切な処置のおかげで痛みも少なく、今はベッドの上で安静にしていた
降「(まぁ、すぐ動くことになるだろう…
今は大人しく、体力回復に努めるか…)」
そう思い天井を見つめる降谷だったが、脳裏に移るのは自分が撃った弾を受け、苦しそうな表情を見せる##NAME2##の顔…
降谷は自分の額に手を当て、拳と握りギリッと口をつぐんだ
すると、突如扉を開けて扉の外で待機していた風見が制止するにもかかわらず、ズカズカと入室してくる男がいた
降「…何か僕に用ですか?加美崎警視…」
加「えぇ…あなたの傷の具合が気になりまして…」
降「…随分早いですね…僕が撃たれたのは、ほんの40分ほど前…
僕が上司に報告したのは、ほんの10分ほど前だというのに…」
鋭い眼光が加美崎警視に突き刺さる
が、加美崎はどこ吹く風と涼しげな顔で降谷の言葉を流していた
加「いえ、そのあとすぐに僕の所へ話が回ってきまして…
それにしても酷いですね…
さすが、国際的犯罪組織・黒の組織の幹部といった所でしょうか?」
降「…調べたんですね…」
加「えぇ、あなたの今の潜入先であることも、彼女とあなたが恋仲であると言うことも、ね…」
降「…それも、上から聞いたんですか?」
加「いえ、これは私個人で…ね
拳銃を所持している可能性は考えていましたが、まさか発砲してくるとは…」
降「組織では“普通”の事ですよ
…それはそうと、彼女はなぜまたあの倉庫に現れたんでしょうね?」
加「…と、いうと?」
降「いえ…彼女はかなり頭がキレるタイプで…組織の力ある幹部たちにもかなり信頼されています…
そんな彼女が、最初に目撃された米花駅からあの倉庫まで“わざわざ”警察と追いかけっこしてでも向かった理由
…もしかするとわざとあの倉庫に赴き、2度向かったのだからもうあそこには現れないだろうという警察の心理を利用して……」
加「再びあの倉庫に現れる、と…?」
降「その可能性は高いかと…」
加「…わかりました
貴重なご意見感謝いたします
では我々は彼女を追いますので…これで」
降「わざわざ、ありがとうございました(ニコ)」
降谷は人当たりのいい笑みを浮かべ、加美崎を見送る
それと入れ替わる様に風見が入室してくる
降「(…そろそろ仕上げ、か…)」
風「降谷さん…##NAME2##さんは…本当に…」
降「…ほんと、部下に慕われているな##NAME2##は(クスクスクス)」
風「…は…?」
降谷にまた、「放っておけ」と言われると思っていた風見だったが、降谷がいつも通りの笑顔で笑っており、困惑する
風「ふ、降谷さん…?」
降「…やっと、あいつを休ませてやれる…」
風「…?」
降「風見、公安部全員集めろ」
夜、##NAME2##は再び倉庫へと赴いていた
作戦通りに道が開かれているのなら…必ずここに、今日、アイツは1人で来る
何もない倉庫の中央で腕を組みたたずんでいた
そこに、足音が響く
重く、間隔がある…
長身の男性であるとわかる音
『…やっといらして下さったようですね…
加美崎警視』