第13話 動き出す影










そしてあっという間に金曜日を迎えた



「##NAME3##先生!おはようございます!」



『おはよ~

あ!廊下は走っちゃダメよ!』



「##NAME4##ちゃん大目に見てよ~!」



『先生を名前でちゃん付で呼ばない!;』







高校の方は順調だ


生徒との関係も良好


非常勤講師にしては生徒から相談や勉強の質問に来られるので、少しは信頼してくれている様で嬉しい




『(あぁ、夕方から登庁しないと…)』



























「お疲れ様です##NAME1##さん」



『お疲れ様です…あ。そういえばこの間の件は終わったんですか?』


「はい!報告書、乗せておいたので確認お願いします!」


『…はい…』


「あ。##NAME1##さん、この件なんですけど…」


『あぁ…これなら警視庁の担当課に回してよさそうですね…あ。ココの資料だけもう少し詳しくお願いします』


「はい。ありがとうございます。」














『…さて…やるか…』




そう呟き、理事官に申請してやっと手に入った新品のノートパソコンを片手に個室に入る




扉の前に“使用中”と札を下げて…





『…森田の大学は…ここか…ってことはここのパスワードを解除して………………ここもか………………お。イケそうかな…?』





何を隠そうハッキングだ



森田の所属する大学へ丁寧にパスワードを解除していき、個人パソコンへ侵入できた








ビーーーーっ      ビーーーーっ






『…あぁ。こっちの知識も豊富だったか…
随分神経質なのね~こんな罠だらけなのにここで侵入保護プログラムか………………


これ以上は侵入したことがバレるな…』



そう判断しすぐさま痕跡を消しながら撤退する


まぁ思わぬ収穫もできた事だしよしとしよう


パソコンを閉じ軽く伸びをしてから部屋を出るため立ち上がる


扉を開けると、自分の席でものすごい勢いで書類の山を片付けている降谷さんがいた





『……………………お疲れ様です』



降「お疲れ…俺の分、少し片づけていてくれたんだな…助かる」



『いえ、今は私の方が時間があるので…』




そう言いながら自分の席に戻り、バンクから森田の情報を引っ張る


本来ならバンクを見るパソコンは決まっているのだが…警察庁公安部では許可さえもらっていれば自分のパソコンから引っ張れる


まぁ、何時何分どういう理由で開いたのかを明記してからじゃないとみられないし、勝手に記録されるのだが…




降「…##NAME2##…最近、どうだ?」




視線は変えずに、親指で唇を触りながら##NAME2##へ問いかける


『!…落ち着いてますよ?

まぁ西川たちが中々口を割ってくれないので進展がない、とも言えますが…』


人差し指で鼻先を触りながら困った顔で答える



降「そうか…

あぁ、さっき理事官に会ったよ

相変わらず忙しそうだ」



降谷も頭を2回人差し指で叩いて言う


##NAME2##は『あの人は毎日忙しいじゃないですか~』と言いながら立ち上がり、降谷へコーヒーでも、と給湯室へ向かう



降「…」








しばらくしてコーヒーを片手に戻ってきた##NAME2##に短く礼を言い

コースターからコップを持ち上げる


『すみません。私今日はこれで…あ。明日少し風間さんお借りしますね』





降「あぁ。わかった…








無茶するなよ」










『降谷さんも…あまり無茶されない事を祈ってます…』










そう言い残し、##NAME2##は警察庁を後にする



『(嘘、と作戦のサイン…さぁ潜入捜査官として培ってきた腕の見せ所だ



なんせ…













身内を騙さないといけないのだから)』
















##NAME2##の背を見送った降谷は、##NAME2##が置いたコースターをめくり、凝視した




降「(森田達は黒、_____も黒…しかも別人か…



ようやくここまできた…



これで終わらせる





これ以上関係のない人々を…日本を好きにはさせない








『無茶』、か…


お前が言うな…)」




そう思いながら、窓の外を眺めた降谷


その表情はどこか心配しているような…


この先起こるであろうことを想像してか…



どこか儚げであった…
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