第12話 緋色シリーズ
赤「お前の…正体、だと…?」
コ「…(正体…?)」
ジョ「あんたは黒の組織の幹部、ジンとベルモットのお気に入りで暗殺・諜報に長けているパル
それ以外に何があるっていうの!?」
キャ「…」
『…コナン君も、その様子だと皆目見当もつきません、って感じね…?
でも、君がどこまで私の行動に注目してたのか…最後に聞かせてくれない?』
コ「##NAME3##先生…」
『なぁに?』
微笑みかける##NAME3##に、コナンは臆することもなく##NAME3##を見上げ、視線を交わす
コ「この間の銀行強盗で銃弾を受けた時、なんで“自分から撃たれに行った”の?」
ジョ「!? え!?」
コ「あの時犯人は手が震え、銃の照準はブレブレで…しかも、銃口は“下に”向いていた
あれなら、先生じゃなくても避けることは容易いのに…
自分から足を銃弾の前へ振りだしたよね?」
『…さぁ?何の事かしら』
シラをきる##NAME3##を見上げるコナンのメガネが照明に反射しキラリと光る
コ「わざわざ自分から銃弾に当たりに行った理由…
あの時、先生の後ろには男の子がいたよね?」
「「「!!」」」
キャ「じゃあ彼女は…」
コ「そう、その子供を庇ったんだよ…
でも、何で黒づくめの奴らの仲間である先生がそんなことをする必要があるの?」
『…たまたまよ
その数日前にも、組織の任務中に脇腹に銃弾を受けちゃったから、傷が痛んで反応が遅れただけ…』
コ「いや、反応が遅れたんだとしたら、脚は“後ろ”に引いたはず
なのに“前に振りだした”のは、その弾が被弾して男の子に当たると思ったから
それを防ぎたかった
だから自分から当たりにいって、せめて掠めて軌道を逸らしたかった…
それに…さっきからバーボンのことを先輩って言ってるけど…
“ただの組織の先輩”に自分の身を危険に晒してまで僕たちを始末しに来る?
やつらのやり口なら、こんな昼間に銃撃戦になる様な行動はしないし
パルの専門は“暗殺”であって“殺し”じゃない
なら、必然的に夜、赤井さんが1人になった所を狙うし、ジョディ捜査官とキャメル捜査官、僕に対しても1人か人気がないタイミングを狙うはず
ということは、今ここで始末する気はない
…違う?」
『…。
ふ、あはははは!!』
突然笑いだすパルに4人はチャンスか、と動こうとするが、気づく
コ「(すごいプレッシャーだ…っ)」
赤「(下手に動けば、撃たれるな…)」
赤井はそれでも動き出そうとするジョディとキャメルを目で制する
『ははは、はーぁ…
賢明な判断ですね…
凄いね、コナン君
さすがは“シルバーブレット”…
あと、“昨日”のあの言葉は…そっくりそのまま返しますよ
赤井さん』
赤「…? 昨日…?」
コ「………………っ!!!
ま、まさか…っ…」
『ま、こうも髪も顔も違ければ気づかなくて当然ではあるケド…』
赤「………………そういうことか…」
ジョ「え、…えぇ!? ちょっとどういうことよ!?」
キャ「昨日って…バーボンが仕掛けてきた…!?」
4人が困惑している中、予めポケットに入れていたメイク落としシートでメイクを落とし、『あ~暑かったぁ~!』と言いながらウィッグを外し、内ポケットから警察手帳を取り出してあいさつをする
『…改めて、はじめまして
警察庁警備局警備企画課所属
通称“ゼロ”の公安警察官
##NAME1####NAME2##と申します
昨夜はうちの上司ともども失礼いたしました(ニコ)』
4人は呆然としていた
はっっと一番先に意識が戻ったコナンくんが手を震わせながら##NAME2##を指さす
コ「…##NAME2##…姉さん…?」
クスッ
『正解よ、“コナンくん”♡』
コ「(はっ!…っていうか今の反応…俺が工藤新一だってことにも気づいてるのか…)
…って、だったら最初から…というか昨日のうちに言っててほしかった…;」
『パルは最近幹部になったばかりで、この間もNOCだと疑われてて大変だったのよ;
それでジンを庇って脇腹に一発食らうことになっちゃって…
でも、無事でよかったです。赤井さん』
赤「…あぁ。“久しぶりだな”」
赤井も以前から##NAME2##と知り合いだという事実に3人から驚きの声が上がる
が、赤井は今の今まで忘れていて、昨日は暗かったせいもあって##NAME1####NAME2##だと気づかなかったらしい
『薄情ですね;
ライとはよく任務で一緒だったはずなんですけどねぇ~?
赤井さんとしては・・・パルとして任務でアメリカにいた時に、うちの上層部から“赤井秀一から情報を受け取ってこい”と言われて、そこで公安警察として初めて会ったんだけど…
銃の話になって盛り上がっちゃったんですよね~』
赤「まさか、昨日の現場指揮官をしていた君がジンからの信頼の厚いパルだとは…」
『私はライ=赤井さんということには気づいてましたが…
こちらも命を懸けている身なので、身分を明かす必要はないと判断しました
…でも、私の身分を明かしていれば、今回の様な騒動にはならなかったかもしれませんね…
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした』
深々と頭を下げる##NAME2##に、赤井から「顔を上げてくれ」と言われ顔を上げた
赤「…君の上司は優秀だ
だからこそ、君を含め敵に回したくないと思っている
…君もそう思ったから、ここに来て身分まで明かしてくれたのでは?」
そこまで察している赤井に、##NAME2##は苦笑を漏らしながら観念したように両手を上げた
『…さすが、の一言に尽きますね…
ただ、これは公安部所属の##NAME1####NAME2##としてではなく、##NAME1####NAME2##個人の願いです
と、その前に、うちの上司の忘れ物を回収させてもらいますね』
赤「忘れ物?」
コ「まさかっ盗聴器!?」
『あぁ、違う違う;
むしろこれは私の…あぁ、あったあった』
そういって扉の後ろを除き、拾い上げる
それはこの前コナンにみせた盗聴器の受信機の方だった
コ「…それって…」
『降谷さんから、昨日私に盗聴器を仕掛けるって言われててね
その受信機であるイヤリングを昨日貸してたんだけど…帰ってそろそろ寝る…っていう時にガバッって起き上がって
…なくした
なんだもん; もうどんだけ赤井さんと喋って興奮してたのよ~;』
「「「…」」」
3人の汚いものを見る目が赤井に刺さる
赤「…俺はバーボンに好かれた覚えはないぞ」
『私も彼氏を寝取られた覚えはあっても奪われた覚えはありません!!』
少しの怒りを交えながら言えば、下からコナン君が「え…」と声を漏らす
コ「##NAME2##姉さんと安室さんって…付き合ってるの?」
『うん。まぁ付き合い始めたのはついこの間なんだけどね~
数年前から両思いだったみたい』
コ「だったみたいって…;」
『…まぁ、もうこんな無茶は最初で最後だと思ってますし…
今組織内はNOCの疑い祭りなので…この機会に元NOCである赤井さんを…と思ったみたいです
…ご迷惑をかけておいてなんですが、彼も日本を守るために必死なんです…許してやってください(苦笑)』
赤「…あぁ。その覚悟の強さはわかっているつもりだ」
『ありがとうございます(苦笑)
ま、今回は流石にやりすぎたので…しばらく謹慎という名の公安の方はお休みなので
なにかご協力できることがあれば、お声がけください
今日は、それを伝えるために来たんです』
赤「にしては、派手なパフォーマンスだったな?」
『いや~普通にご挨拶しても良かったんですけど…
うちの上司をコケにされて黙っていられるほど、私の心は広くありませんから(ニコ)』
そういえば、4人は今度こそ肩の力を抜いて大きなため息を零した
『まぁ、これから忙しくなるでしょうから…
よろしくお願いしますね♡』