第12話 緋色シリーズ








in杯戸中央病院のとある個室





『…で、なんで警察病院から杯戸中央病院に移したんです?

予定では今日退院なんですけど』





降「あぁ…楠田陸道について、な」




『…なるほど、最後のピースを埋めに来たワケですか』



降「あぁ。ま、お前はもうしばらくここで休んでろよ

…動いたら僕が足腰立たなくなるまで可愛がって差し上げますので覚悟して下さいね?(ニコ)」



『…突然のバーボンヤメテクダサイ;』



降「はは、じゃあ俺はそろそろ行くよ」



『下まで送ります』




降「だから動くなって『遅いです』…はぁ、わかった」



さっさと車椅子に乗り込んで近づいてくる##NAME2##を見て、ため息をこぼす降谷に得意げに笑ってみせた


ちなみに松葉杖でいいケガなのだが、あまりにも動き回るので車椅子に乗せて少しでも動かないように、と気を配ったあの先生には感謝しなければ…




降谷は腰を屈めて顔を近づけ、そのままキスを落とす



『っ////』



降「…動いたんだから、覚悟しろよ?(ニコ)」



『…』



降「?どうした?」



固まっている##NAME2##に首をかしげる降谷



『…お、お手柔らかに…お願いします///』



顔を赤らめ俯いている##NAME2##が遠慮がちに小声でつぶやいた降谷は口元を手で覆い「…まいったな…」と呟いたのを見逃さない


そして照れた表情をしたのも見逃さない


自分がこんな表情をさせているんだと思い嬉しくなって笑いをこぼす



それを見て何とも言えない表情をした降谷に再びキスを落とされ、今度こそ病室を出た









その途中、少し先に毛利とコナンをみつけた



安「あれ?毛利先生じゃないですか!

何してるんです?」



コ「(バ、バーボン!?

それに…パル!!)」




『どこかお身体の具合でも…?』



毛「ちょっと女房が…

##NAME3##先生は…昨日の事件のケガですか」



『えぇ…まぁ…でも大した傷ではありませんから(ニコ)』

学校をお休みする事になってしまったのは申し訳無いでけど;』



毛「いえ、今はお身体の心配をなさって下さい…

…こいつを助けて頂き、ありがとうございた」




そう言ってコナンの頭を掴み、一緒に頭を下げさせる毛利さんに、少し驚いてしまった



居候であるコナンに対してここまで礼を尽くすのかと…




はっ、と意識を戻し、慌てて毛利に声をかける




『か、顔をあげてくださいっ

再就任してからは非常勤講師になったので!

今日も授業がない日でしたし…(た、たぶん…汗)』





一方コナンはバーボンとパルがいることに驚きを隠せず、顔をあげてからもバーボンの顔を凝視していた




コ「(な、何で!?

黒づくめの奴らの仲間がなんでこの杯戸病院に!?


まさか…



まさか…









まさか…っ)」















毛「お前はなんでここに?」



安「##NAME4##さんのお見舞いと…知り合いが入院してるって聞いて見舞いに来たんですが…

いつの間にかいなくなったみたいで…


コナン君は前もここに来た事があるって看護師さんたちが言ってたけど…知ってるかな?



楠田陸道って男…」





『…』




安室がコナンに仕掛けたので静観する##NAME2##だが、その視線にも気づいているコナンが表情をかえずに普通に答える





コ「誰?それ…知らないよ?」



安「実はその男にお金を貸してて返してほしいんだけど…ホントに知らないかい?」



コ「うん!」





元気よくしらを切ったつもりのコナンだが、1つミスを犯した






『…(かかった…ご愁傷様)』



安「すごいね君は…」



コ「(え?)」



安「あのー、ちょっとすみません…


楠田陸道っていう入院患者知りませんか?」



通りがかった女性2人に突然話しかける安室


女性たちは“当然のごとく”



女「さぁ、どんな方? 年は?」


女「その人の写真とかあるかしら?」



安「あ!もういいです…」



『毛利さんなら、突然名前を聞かれて知ってるか?と聞かれたら…どうします?』



毛「そりゃーまぁ、今のオバサン達みたいに…」



安「そう…たいていの人は自分の記憶に絶対的な自信はないんです…


だから普通はNOと言う前にその尋ね人の名前以外の情報を知りたがる…


君はすごいよ!名前だけで知らない人だと確信できるんだから…」



コ「………………」




ここで自分のミスに初めて気がついたコナンは何も言えなくなってしまった


それで毛利さんからフォローが入る




毛「ガキの言うことを真に受けるなよ…

会ったことがあっても名前を知らない奴はザラるし…

アダ名とかでしか知らねぇ奴もいるからよ…」





「3! 2! 1! 


ゼローーーー!!」






安「!!」



あからさまに反応し、声の方へ振り返った安室を見てコナンと毛利が不思議に思う




コ「(え?)」



『っ安室さん「ん?どうかしたか?」』



慌ててフォローを入れようとしたが、毛利さんに遮られそれは叶わなかった



安「あ、いえ…僕のアダ名も“ゼロ”だったので呼ばれたのかと…」


毛「何でゼロ?
確か名前は透だったよな?」


安「透けてるって事は何もないって事…だからゼロ…

子供がつけるアダ名の法則なんて…そんなモンですよ…」



コ「………」



不審に思ってるコナンに何を言っても、もう誤魔化しきれないとわかった##NAME2##は人知れず小さなため息をこぼしていた



看護師「あ!いたいた!##NAME3##さん!」


『? はい』


看護師「先生が呼んでいらっしゃいますよ!」



『あ~…わかりました

すみません。私はここで…安室さん、お見舞いがとうございました』



安「いえいえ、次はどこか景色のいい所で食事でも…」


『えぇ、是非…毛利さん、コナンくんもまた…』



毛「えぇ!お大事になさってください!」



コ「…」




















『…で、何の用?ベルモット』



少し距離を取った所で呼んでくれた看護師にそう話しかける


するとすぐにベルモットの声に戻し「ふふ」と楽しそうに笑った



べ「よくわかったわね」



『私の主治医は今日お休みだし、他の先生といっても思い当たる人はいないですから…

で、本当に何の用です?』



べ「別に用はないわよ?しいて言うなら、あなたのお見舞いに…」



そう言って扉を開けると、何故かジンがいた




『(あっぶなー!!##NAME1##の物何も持ってこなくて正解だった!!!;)』



人知れず冷や汗を流していると、ジンが「生きてたか」と言ってきた



『生きてますよ…;
でも本当にどうしたんです?ジンまでこんなところに来て…』


ジ「…」


『………………?;』


元々無口な方であるジンだが、あまりにも喋らないので隣にいるベルモットを見上げると、クスクスと笑っていた



べ「ジン、あなたが撃たれてから気にしてたのよ?」



『…え「余計な事は喋るな。ベルモット」…(え~図星の反応じゃん…; ホントにどうした…;)』



ジ「…お前はまだ使い道があるからな

生きてるか確認しにきてやっただけだ」



『…ありがとうございます

明日には退院する予定ですから』


ジ「…バーボンにも言ったが、お前らは暫く任務はなしだ」



そう言いながら出口があるこちらへ近づいてくる


その前に言っている意味が分からず思わず聞き返そうとしたのだが…



『………………え<パシャンッ>…なんなんですか?あれ;』



そのまま病室から出てしまったので、再びベルモットに問いかける




べ「ふふ、照れてるのよ」



『…すみません。気持ち悪いです』



正直に言ってみればベルモットは声を上げて笑った



ベ「あなたはジンのお気に入りだからよ…

私も、あなたの事は気に入ってるんだから、あまり傷を増やさないでね


“約束”を守ってくれていることには感謝してるわよ」



『…さすが、耳が早いことで…』



きっと先日の銀行強盗での一件を聞いたのだろう



ベ「じゃあまた任務でね」



そういってベルモットも病室を出ていく



一応、盗聴盗撮器発見器を起動させるが、反応はなかった


…完全に、とはいかないがだいぶ信頼は回復できたようだ






『…はぁ。なんだかなぁ』





そう呟いてベッドに戻った時、女性の悲鳴が聞こえてきた





『…みんながんばれ』


小さなエールを送って、##NAME2##は眠りについた
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