第11話 銀行強盗
『なんとか子供たちは無事だったみたいですね』
安「あぁ。でもあの距離でも子供たちからは冷気を感じた…
そう少し遅くなっていたら危なかっただろう…」
『…で?お隣の工藤さんの家には、何か興味が?』
博士の家に顔を向けながら、視線は工藤邸に向いていたことに気づいていた
安「…あぁ…
お前、確かライと会ったことがあったよな?」
『…えぇ…ライとも…赤井秀一とも』
安「そうか」
その安室の様子から、察してしまった
『…もしかして、工藤邸に赤井がいると?』
安「!…お前は“死んだ”とは言わないんだな」
『FBI…シルバーブレット…そして何より頭が切れる彼が…ジンがどう出るかを予想できないとは考えにくいですし…
何より、江戸川コナンくんもいたようですしね?(ニヤリ)』
わざとらしく言えば、「ふ、そうだな」と笑ってくれた
そして次の日の夕方、高校の方の給料日だったからと銀行にお金を下しに来て、入口でたまたま学校帰りのコナンくんと哀ちゃんと会って…
色々詰めてもいいかな?と思ってお茶でもどうかと話していると、急に横に車が止まり覆面の男たちが下りてきた
マズイ!!と思った時にはもう遅く、ズカズカ歩きながらコナンくんと哀ちゃんが2人の男に抱きかかえられてしまった
「動くなあああぁあぁ!!!!」
「早くシャッターを閉めろ!!!!」
パンッ パンッ
「「「「きゃああーーーー!!!!」」」」
乾いた銃声に女性たちの悲鳴が鳴り響き、男性の息をのむ声も聞こえる
##NAME3##の位置はまだ入口前なので、逃げようと思えば逃げられる距離だが…
コナンくんと哀ちゃんを見捨てるワケにも、ここにいる人たちを見捨てるワケにはいかない
瞬時にそう判断した##NAME3##はシャッターが閉まる前に静かに中へと入りこんだ
相変わらずコナンと灰原へ銃を向けている犯人に、##NAME3##はどう動くか思考を巡らせる
その間にバックに手を突っ込み、降谷へメールを撃ち送信した
「〇〇銀行 強盗」
とだけ打って
そしてコナンと灰原は身体を縛られ、泣かれたら面倒だと口をタオルでふさがれる
他の、ここに居合わせた人たちや銀行員は全員“手首”を縛られる
『(指先が動くなら、隠してある刃のスイッチを押せるわね…)』
ヒールに仕込んである刃で縄は切れると判断し、ひとまず犯人のスキを伺うことにした
『(“眠りの小五郎”のタネと阿笠博士…きっと、何かしらの武器は持ているんでしょうけど…
それを使わないのは“パル”に見せないためか“対2人用”ではないのか…
その両方か…)』
考えていると、要求はこの銀行にある金全て、とのこと………………まて、私のお給料は?
余裕な表情を読み取ったのだろうか
銀行員が金を用意している間、たまたま目が合った犯人の1人に「てめぇ!何余裕ぶった顔してんだ!!」と言われた
…実際余裕だし
拳銃をこちらに向けるが、肘が曲がっていて構え方も悪い、手も震えて照準が定まっていない
…逆に危ないが、私の能力の真骨頂はこういう実践だ
ただの訓練でやる様な、殺気や切迫した緊張感のない状況よりはまだやりやすい。が…
コナンと灰原がいる…まぁ疑われているんだし、別に気を許してほしいワケじゃあない
なら隠す必要ないか…
銀行員は素直に動いてしまっているし、シャッターを閉めたと言うことは裏口か、屋上から逃げる手筈になっているだろう
幸い居合わせた人は怖くて四隅に固まっているし銀行員たちも固められている
…なんとかなりそうだな
そう結論付けて行動に移すことを決意し、ヒールに隠していた刃で縄を切り瞬時に目の前の男を制圧する
男「ぐっ!?」
『…ちょろいなぁ~』
立ち上がりながら、銃を奪い鳩尾に膝蹴りを決めて銃で後頭部を叩き気絶させた
それを見たもう1人の男がこちらへ拳銃を向ける
男「ひ、…く、来るなぁ…っ!」
『…あぁ、ダメですねぇ…』
コ灰「「!!」」
わざとパルの声で男に向き合い、殺気を飛ばす
『素人さんが片手で銃を構えるのは、良い考えではないですし…肘が曲がっている上に手が震えて照準が定まっていない
加えて脚は横に開いてしまっている…
それじゃあ銃の反動でよろけてスキができちゃいますよ?(ニコ)』
笑顔のまま、一歩一歩犯人へ近づく
男「う、うわぁぁあああ!!!」
パンッ
男の発砲により、再び女性たちの悲鳴が響き渡る
弾は##NAME3##の大腿部を打ち抜く
『っ……あ~あ、だから言ったじゃないですか…
心臓はもっと上…ですよ?』
脚の痛みに耐えながら笑顔で近づく
先程よりも手が大きく震えていた
指に軽く力が入った瞬間を見逃さずリボルバーのシリンダーを掴む
指に力を入れていた男は、撃てない銃に焦る
『無理ですよ
シリンダーを掴まれたら人間の力で引き金を引くのは不可能です
諦めて、おねんねしてください?(ニッコリ)』
微笑みかけ、鳩尾に拳を打ち込み気絶させる
直後、サイレンの音が近づいてきた
『コナンくん、哀ちゃん、大丈夫だった?』
コ「う…うん………………」
哀「…」
口に巻かれていたタオルを取ってやり、縄をほぞいていると、銀行員の誰かがシャッターを開けてくれた様で警察が入ってきた
犯人が倒れているので、最初はそれに驚いていた様だったが、すぐに人質になっていた人たちの縄を解いてやり一気に空気が緩んだ
コ「…##NAME3##先生って…」
『うん?』
その様子を立ってみていると、袖を引っ張られたのでしゃがみ込んだ
コ「なんで拳銃の事、そんなに詳しいの?」
『あぁ、それはね?昔アメリカにいた時にホームステイ先の人から教えてもらったんだ
ほら、あっちじゃあ銃を持ってるのは当たり前だから(ニコ)』
コ「そ、そうなんだ…だからあんなに強いんだね?」
『武術は昔から習ってたの
ま、蘭さんほどじゃないけどね(苦笑)
それより、怖かったでしょ…ごめんね。すぐに助けてあげられなくて…』
コナンと隣にいた哀ちゃんの頭に手を乗せ撫でてやる
…哀ちゃんは顔が真っ青だったが…
きっと、怖かったからというよりはパルが近くにいるからだろう
そう察して立ち上がったところで警察に声をかけられたので外へ出る
すると、目暮警部が指揮を執っていた様で話しかけられた
目「おぉ!君は確か…」
『帝丹高校で理科教師をしています##NAME3####NAME4##です(ニコ)』
目「そうだ##NAME3##先生だったな!
って君!!ケガをしているじゃないか!!」
『(あ…;)
あ~…実はさっき犯人に撃たれてしまって;』
目「呑気に言っている場合かね!!坂田君!止血を!高木くんは救急車を呼んでくれ!!」
坂高「はい!」
『すみません…;』
坂「いえ、当然ですよ(ニコ)」
初対面として接してくれる祐実み感謝しつつ包帯を巻いてもらっていると、「ついでに事情聴取しますね~」と隣に座った