第10話 私と降谷さん
夜、パルとベルモットは招待客として
バーボンはウェイターとしてパーティーに潜りこんだ
『ふふふ、鈴木様ったら…おだてても何もでませんよ?』
「いやいや、私は正直に申し上げたまでですよ」
この鈴木という男が組織に入り込んだネズミの飼い主らしい
都合よくパルを気に入ってくれたようなので、このまま上の部屋で尋問かなぁと今後の計画を立てていると、ベルモットが近づいてきた
べ「…パル」
『!? ちょ…っ』
今この男の前でコードネームで呼ぶのはどう考えてもマズイでしょう!?
私がジンに怒られる!!
と文句を言おうとしたが、ベルモットの顔が険しいことに気がついた
べ「残念だけど、今回はジンも騙されたようよ」
『…?』
バ「この会場にいる方たちは全員、この鈴木という男の手下のようですし…ね」
ウェイター役であるバーボンも近づいてきたので、本当の事なのだと確信し、鈴木へ鋭い視線を向ける
『…あら、そうなの?鈴木さん』
そういうことか、と胸に隠していた小さな銃を目の前にいる鈴木に向ける
だが男は余裕の表情で笑って見せた
「はは、君の事を気に入ったのは本当の事だよ
さすが、組織の暗殺・諜報を担っているだけの事はある」
『…(そこまで漏れていたか…)』
「そちらの美しい女性も、ベルモットさんですかね?
変装術が得意な」
べ「…」
「そちらの男性は、探り屋のバーボン
私の部下から報告は受けてますよ」
バ「…そこまで組織の情報を知っているのはなぜです?
いくらあたなの部下が潜りこんだと言っても、まだコードネームを与えられていないのに…
…まさか…」
べ「どうやら、本当にジンも気づいてなかった様ね」
『まぁ、まさか“コードネームを与えられている者が、下のやつの犯行に見せかけて組織の情報を流している”とは思わないでしょう…』
ならば次はそのコードネームを与えられた幹部を見つけ出さなければいけないな…
その前に
『…まずは、今日は失礼させていただきましょうかね…』
そういい鈴木の横を通り過ぎようとしたが、周りん男たちから拳銃を向けられる
「そうさせてあげたいのは山々なのですが…
組織の幹部が3人もお見えになって下さったんだ
もう少し、お話ししませんか?」
『…残念ですが、私達も暇じゃないので…
強行突破させていただきます』
それを合図に鈴木さんの腕を掴み、一本背負いで床へ倒しうつぶせにさせて後ろで腕を拘束し、後頭部へ銃をつきつける
『全員、武器を捨てなさい』
これで制圧できた…と思ったのだが、一向に武器を降ろす気配がない
バ「…よく教育されている様ですね?」
「ふん、俺を殺せばジンという男が欲しがってる情報が『だから?』…なに?」
『ジンが欲しい情報を持って帰れるかそうでないかはお前が決める事じゃない
私達の心配をするなら自分の心配をしたら?』
冷めた目で殺気を交えながら言い放てば、鈴木は息を詰まらせた
ゴリッと拳銃を押し付けた時、バンッと扉が開いた
そこに立っていたのは
ジ「…随分と舐めたマネしてくれたなぁ」
ウォ「…」
『ジン…』
「! お前が…っ、“あいつ”を…!!!」
バ「『!』」
ベ「なるほどね
過去に、あなたの知人がジンにやられた恨み、ってところかしら」
ジ「…パル」
『何?』
ジ「殺せ」
バ「…」
『…了解…』
「い、いいのか!?俺を殺せばどうやって組織に潜入させたのかも!裏切り者が誰なのかもわからなくなる上に!!
この場で全員死ぬことになるぞ!!!?」
ジ「はっ、俺がここに…死にに来たとでも思ってんのか?」
「なに…っ」
ジ「…パル、変更だ
こいつら全員殺してからあの世へ送ってやれ」
『…はぁ、了解』
鈴木を無理矢理立たせ、ウォッカと役割を交代する
周りの男たちも撃たずに待機している
どうやら私が鈴木を撃たないとわかった上での行動だったらしく、撃つかもしれないとわかってからは撃てば鈴木がどうなるかわからないと思っているんだろう
…案外優秀だな…部下も、鈴木も…
『じゃ
やりましょうか』