第9話 密室にいるコナン






『有希子さん、1つお願いがありまして…』



有「?」





































その週末、安室は園子に誘われてテニスコーチとして外出中



一方##NAME2##は朝方のうちに溜まった書類と降谷が貯めていた書類でできる所まで終わらせてしまったので、休憩室でコーヒーを飲んでいた


現在7時40分



…さて何をしようか…



そう思いながらボーっとしていると、休憩室に先日苦手な人NO.1に輝いた人が入ってきた








加「やあ、##NAME2##くん」



『加美崎警視!?;』




警察庁にいる意味も分からないが、ここに顔を出す意味も分からなかった


ここは一応許可がある人しか入れないはずだが…




加「ちょっと理事官に呼ばれてね

ついでに##NAME2##くんがいると聞いたものだから(ニコ)」



『はぁ…?;』





なぜ私に会う必要がある?



加美崎警視は一歩一歩ゆっくりと歩いてきて、##NAME2##の頬に手を添えた




加「実は先日会った時も話そうとしていたんだが…邪魔が入ってしまったのでね」



『(ピクッ)』



加「…。##NAME2##くん、刑事部へ来ないか?」




『…はい?』




降谷を邪魔呼ばわりしたことに気を取られ、一瞬、何を言われたのか分からなかった




加「君は優秀だ

公安でなら、君の才能はとてもよく発揮できるだろう


だが、君もいち女性だ


私が気に入っている君が…自分の身体を酷使するのを見るのは気が引けてね」





『…(つまりは女のくせに公安でいい気になるな、ということか…)


ご心配、痛み入ります


ですが私は自分の…“日本を守る”という信念を曲げる気はありません


申し訳ありませんがそのお話は「降谷くんかい?」…どういう意味でしょうか』




加「君、降谷くんに惚れてるだろう?

その降谷くんと離れるのが嫌だから拒むのだろう?」




『…』









本当に、失礼極まりないやつだ…



私がただ好きな人と一緒の部署が良いから、という理由でいかないとでも思っているのだろうか




そして##NAME2##に顎に手を添え、親指で唇の輪郭をなぞる




加「君が刑事部に来れば、逆に降谷くんと結婚できる


公安には既婚者同士が所属することを禁じる暗黙のルールがある…例外もあるようだがね


だが君が刑事部に来てくれれば、結婚もできるし

君が刑事部として上へ行けば降谷くん“が”昇進する手助けにもなると思うが?」



















限界だ



















『…………………数々の助言、大変ありがたく存じますが…

1つ、忠告させていただきます』




グッ



加「っ!?」




ダンッ







まさか加美崎も、自分より背が低くか弱そうに見える女性に胸倉を捕まれ強制的に壁へ押し付けられることはないと思っていたのだろう


驚愕の表情一色で、戸惑った視線を向けてくる









『…失礼を承知で申し上げますが…






うちの降谷は私の助けがなくても上へ行きますのでご心配なく



私は昇進には興味ありませんし、現場で生き現場で死ぬ覚悟ですので結婚も考えていません


あと確かに私は降谷を好いてますが…


私、仕事とプライベートは分ける主義なんですよ


うちの上司は大変優秀ですし、私が彼を支えたいと思っているのも私の意思




その為ならこの命も捨てましょう





まぁこれは私のエゴで本人が聞けば“自分の心配をしろ”と言われると思いますが…




彼と、日本の為に死ねるなら本望です





…そういえば加美崎警視は潜入捜査は“できなかった”と伺ってますが…



それならわからないかもしれませんね?











こっちは毎日“生きるか死ぬか”“守り抜けるか殺されるか”“生かすか殺すか”



そんな状況下で、水面下でお互いに信頼し合って動いています




これは自意識過剰でもなんでもなく、はっきりと自信を持って言えます…


















私は彼に命を預けているし



彼も私に命を預けてくれている



















私達はお互いを絶対に裏切らないと信じていますので




加美崎警視がご心配するようなことは何もありません…ご安心を(ニコ)』












一思いに言いたいことを言い放ち、手を離してやる



少し殺気が混じってしまったせいか、加美崎警視はズルズルと座り込んでしまう



そのまま横の扉を開けようと一歩下がる##NAME2##だが、思い出したように『あぁ、それと…』と再び加美崎へ視線を下ろし、顔の横に蹴りを入れる



「ひっ!?」という悲鳴と同時に壁が陥没した




『私は、私自身へ向けられた批判や中傷に対しては結果で語るので気にしてませんが…





























うちの降谷や公安部に対して向けられたものは絶対に許しません












それなりの報復があると、覚えていて下さいね?(ニッコリ)』












威圧感満載で微笑んでやれば「う、うわぁぁあああ!!!」と叫びながら走り去っていってしまった




『はぁ;…あとで理事官に怒られるだろうなぁ…;』



そして公安に悪意のある圧力をかけられないといいが…


でもよく考えたら加美崎警視は警視庁


こっちは警察庁…


まぁ、なんとかなるだろう…















一気に疲れた…とソファにドッと倒れこむように座り込むと、扉の向こうから複数の気配を感じた




『…………………隠れてないで出てきたらどうです?(苦笑)』




そういうと、そろ~と扉からのぞき込む公安部+風見さん



『…さっきの、聞いてたんでしょう?』



そういうと、ようやくぞろぞろと中へ入ってきた



風「…盗み聞ぎしてしまったことは謝罪します」



『いいですよ。聞かれて困る様な事、言ってませんし』



「でもよかったのか?仮にも警視だろ?加美崎さん…」



『…その点に至っては“反省”してます;』





反省、というだけで後悔はしていない


それにみんなも気づいてくれて一気に笑いに代わった




風「やはり##NAME1##さんは凄いですね」



『…それはどういう意味で?;
(無鉄砲だとういうことだろうか…?)』



風「そりゃあ…」



「「「公開告白だろ!!!!」」」



『…え?;』





「だって“確かに私は降谷を好いてますが、仕事とプライベートは分ける主義なんです”とか!」



「“彼と、日本の為に死ねるなら本望です”とか!?」



「“私達はお互いを絶対に裏切らないと信じていますので”とかー!!」




「「「“愛してる”としか聞こえないだろ!!」」」





…頭に血が上っていたとはいえ、この人数の気配を察しできなかったどころか丸々聞かれてたなんて!!!


羞恥心で死にそうだ…



両手で顔を隠しソファに伏せると、携帯が鳴った





『はいっ////』



降「<今、平気か?>」



『っ、は、はいっ!!///』



まさかこのタイミングで降谷さん!?うそでしょ!?


慌てて出たために誰からか確認する余裕がなかった



後ろからひゅーひゅーという声も聞こえるが、気にしない



降「<…本当に大丈夫か?>」


いつもの##NAME2##と違う雰囲気を感じ取ったのか、聞き返す降谷に『大丈夫です!!』と思わず力んでしまった



不思議そうに「そうか?」と言いながらも話しを続けた


降「<今からメールで送ったところに来れるか?>」



『え~っと……ここって今降谷さんがいるテニスコートでは?』



降「<そうだ>」



『…………………了解しました』





色々言いたいことはあったが、ひとまず向かうことにした
1/5ページ
スキ