第8話 ミステリートレイン
バ「このコードネーム、聞き覚えありませんか
君の御家族とは会ったことがあるんですが」
シェ「知ってるわ
お姉ちゃんの恋人の諸星大とライバル関係にあった組織の一員…」
バ「ええ、僕が睨んだ通りあの男はFBIの犬でね
組織を裏切った後、消されたっていうのがどうにも信じ難くて…
あの男に変装し、関係者の周りを暫く彷徨いて反応を見ていたんです
おかげであの男が、本当に死んでいることが分かりましたけどね
まあ、変装させてくれたのは今回、僕の代わりにあの男に化けてくれた仲間ですが・・・
君がここに現れたということは君に恐怖を与える効果は十分にあったようだ」
『バーボン、そろそろ時間よ』
バ「パルはせっかちですねぇ…
では、手をあげて移動しましょうか
8号車の後ろにある貨物車に」
チャキ、とバーボンとパルで脅しの拳銃を構える
シェリーは抗うつもりはない、とばかりに両手を挙げた
『聞いていたより素直で助かります
参りましょう』
バ「さ。その扉を開けて中へ…ご心配なく
僕は君を生きたまま組織に連れ戻すつもりですから
この爆弾で連結部分を破壊してその貨物車だけを切り離し、止まり次第僕の仲間が君を回収するという段取りです」
『まぁ少し気絶して頂きますが、扉から離しますし爆発には巻き込まれませんから』
シェ「大丈夫じゃないみたいよ?
この貨物車の中、爆弾だらけみたいだし」
バ「『!?』」
ベルモット…
是が非でもシェリーをここで殺すということか…
なら“公安”的に救出するしかない、か
シェ「どうやら、段取りに手違いがあったようね」
『…バーボン、こうなったら作戦を変更して私たちと一緒に…』
バ「…えぇ、そうですね」
シェ「悪いけど、断るわ」
そう言って扉を閉めるシェリーに、バーボンが不敵な笑みを浮かべながら「噂通りの困った娘だ…少々手荒くいかせてもらいますよ」
銃口を構え引き金を引いたと同時に、背後に気配を感じ瞬時に照準を変える
『…』
バ「ベルモットか?
悪いが彼女は僕が連れて…」
カンッ カンッ
言い終わる前に、何かが足元に転がった
手榴弾と認識したと同時にバーボンの腕を引き物陰に隠れる
これはベルモットの仕業ではない
だとしたら…
バ「誰だ!?」
立ち込める煙の中薄らと浮かび上がるシルエットは男性…ハット帽を被っていた
それは、死んだはずの“彼”によく似ていて…
バ「誰だお前!?」
いつも冷静沈着で自信に満ち溢れたバーボンだが、有り得ない出来事に珍しく取り乱し、降谷が見え隠れする
扉を閉められタと同時に背後で爆発する
シェリーは爆発した貨物車に取り残されたまま列車は切り離されぐんぐん遠ざかる
『クソッ…っ』