第7話 探偵隊の夜想曲







移動しようとしたところで、毛利さんも、と言い出したところで蘭さんとコナンくんもついてくることになった


蘭さんはコナンくんと誰かが自殺した事務所に残りたくなかったのだろう…




探偵事務所から降りてる途中、安室に話しかける



『…でも安室さんの車じゃ定員オーバーじゃ…;』


安「大丈夫ですよ!少し窮屈な思いをさせてしまいますがね(苦笑)」



『(…何が何でも送っていくらしい)』




助手席に樫塚圭、後部座席に##NAME3##、膝上にコナンくん、毛利さん、蘭さんを乗せた車はあっという間に樫塚圭の案内通りマンションについた



部屋まで送ると6階の部屋まで送り届ける



樫「あの、もうここで大丈夫ですよ。誰も待ち伏せしていない事は分かりましたし…」



蘭「じゃあ、私たちはここで…」



すると蘭に被せるように、コナンのわざとらしい声が廊下に響く


コ「あーーー!トイレ!トイレ行くの忘れてた!どうしよう、お…お姉さんトイレかして!我慢できないよぉお願い!」



コナンのその様子に、仕方ないと思ったのか樫塚圭は玄関を開けた


その瞬間、中から異臭が漂ってくる

コナンと安室も気づいた様だ




樫「トイレは入ってすぐ右側だから…」


安「あの~…すみません、実は自分も我慢してまして…」


毛「お、俺も…。」



コナンに続き、安室と小五郎も申し訳なさそうにそう言いだす


安室はわざとかもしれないが、探偵事務所のトイレであんなことがあり、その前にみんなでお茶していたので理由としては成り立っている


樫「なら、皆さん少し寄っていきます?お茶くらいしか出せませんけど…」



そう言ってくれた樫塚さんに甘え、運転手である安室が出てくるまで中にいようとお邪魔する



リビングに入ると、テーブルの上は食べ散らかしたもので溢れていた



大学時代の友人と宴会だったらしい




『(お兄さんが死んだばかりなのに…宴会?尾人さんを偲ぶ為だとしても“宴会”、とは言わないよね…?』



毛利探偵がテレビを点けると、既に事務所での拳銃自殺がニュースになっており、蘭ちゃんが別居しているお母さんに電話しようと携帯電話の電源を入れた直後に着信が入る



蘭「あ!も、もしもし?…せ、世良さん!?……ゴメンゴメン。事件でごたごたしてたから。……あ、ゴメン。何か声が途切れてて聞き取りづらいみたい…」



安「『!?』」


蘭ちゃんのその言葉に安室は蘭ちゃんの通話を無断で切った



安「しっ…##NAME4##さん」



『はい』


降谷は人差し指を口元に当てて声を出すなと制し、##NAME3##に盗聴器盗撮器発見器を出すよう要求した


そして安室へ手渡すと、樫塚さんへ声をかける


安「もしかしたら、この部屋、盗聴されているかもしれません…」


樫「ええ!?」



今から他の部屋を回ると言う安室に、「部屋を片付ける」とリビングを出た樫塚さん


戻ってこない樫塚を不審に思いながら、ひとまず盗聴器を取り除いていくことになった



安「…じゃあとりあえず、我々は盗聴器を探し始めましょう

蘭さんは部屋の中央で携帯の音楽を最大音量で流してください

その音を頼りに盗聴器を炙り出し、潰して行きますから…」




盗聴器は次々と見つかり、最後の部屋の扉を開けた瞬間、悪臭が強くなった



毛「うわっ!?何だ、この部屋!?かなり臭うぞ!!」


蘭「何なのこの臭い!?」



毛利さんなら元刑事だしこの臭いを嗅いだことはありそうだけど…これは間違いなく、死臭




安「この部屋にも盗聴器が仕掛けられているようですね」


蘭「っていうか、コナン君も圭さんも居ないんだけど…」


毛「放っとけ!今は盗聴器が先だ!」



『…』



おそらく樫塚さんについていったんだろうけど…仮にも殺人犯と一緒


心配ではあるが、彼女は無差別に殺すような人ではないはず


ひとまずコナンくんの安全は保障されている…今は、ね…



安室が部屋へ入ると盗聴器探知器が反応し、耳触りな音を立てた



安「盗聴器はベッドの下のようです」



毛「ん?でっけースーツケースが押し込まれてるな…」



『…蘭さん、こちらに』


蘭「え?」



蘭ちゃんの腕を掴み、部屋の外へと再び誘導する


蘭「ど、どうしたんですか?##NAME3##先生」


『…あのスーツケースの中身、おそらく死体が入っています…』


蘭「ひっ!?そ、そんな!?あの臭いって…!!」


『…とにかく、私たちは他の部屋の窓を開けましょう(ニコ)』


蘭「は、はい!」



遺体があった部屋以外の窓を全開にし終えた私たちは、蘭ちゃんをリビングに残し、先ほどの部屋へ戻る




毛「##NAME3##先生」


『はい?』


毛「蘭の事、ありがとうございます」



『! いえ、お安い御用です(ニコ)

ご遺体の方は何かわかりましたか?』



毛利にお礼を言われたが、こちらは当然のことをしたまで


お気になさらず、という意味も込めて言う


安「死因は撲殺、遺体の状態から見て、まだ硬直が残っているから死後1日強って所でしょう…」


毛「盗聴器もこの中に入ってたが…」


『圭さんに話を聞きたいところですが…』



安「彼女はもういないようですね。もしかしたら我々が盗聴器を探す為に部屋中を調べ回ったら、この死体が見つかってしまうと恐れて逃げた場合も考えられますしね…」


毛「じゃあ、この男を殺したのは圭さんだって言うのかよ!?」


安「それはまだ断定できませんが、コナン君の靴もなくなっていたのも少々気になりますね…」


『彼女と一緒に出かけたのかとも思ったけど、こうなると連れ去られた可能性も…』




慌てて携帯電話を取り出した蘭と毛利だったが、毛利の境内がメールの着信を告げる


メールの内容はコナン君を預かり、警察に通報したらコナン君の身の安全は保障しないとの事だった


毛「って事は、やっぱりこの男は圭さんが!?」


そこで安室が探偵事務所の男も彼女が…と言うと、毛利さんは彼女から発射残渣が出ていない、と…断定はできないがほぼ決まりだろう…



安「しかし弱りましたね…新たな死体を発見し、その犯人にコナン君を連れ去られたというのに朝まで手が出せないとは…」



毛「あのガキがこっそり居場所を教えてくれりゃあ…」


そこで蘭さんが声を上げる


蘭「そうだ!阿笠博士ならわかるかも!」


安「え?阿笠博士…?誰です?その人」



蘭「あ、コナン君の知り合いで

コナン君、いつも発信器付きの探偵バッジ持ってるんですけど、それを追跡できる眼鏡をその博士が作って持ってるんです」



安「ほぉー…そんなに便利な物があるなら、是非…」



安室が怪しく口角を上げる



に、しても阿笠博士、か…たしか哀ちゃんの保護者だったわね…


蘭さんは阿笠博士に電話をして現状を説明すると、途中でキャッチフォンが入り、今度は世良さんからだった


そしてその世良さんにも現状を説明していた




そのすきに盗聴器を探し回った時に気づいたことを安室へ報告する


同じ女性視点でなければわからないこともあるから…




『安室さん』


安「どうでした?」


『洗面台の周りには女性らしいものはなにもありませんでした
化粧品、ヘアブラシ、ヘアアイロン、歯ブラシも1つで夜用の着替えも…


トイレにも生理用品がないし、下駄箱にもヒールなど女性物はありませんでした

クローゼットの中にも男性物ばかりで…今日の圭さんからの服装からしてモード系を着るとは思えませんし…女性用スーツも、アクセサリーすらないのはおかしいです』


安「なるほど…と、なるとこの部屋は樫塚圭さんのものではなさそうですね…」



『はい。そう断定していいと思います』




部屋へと戻りその部屋の窓も開けると、悪臭はだいぶマシになった



そして毛利さんたちに先程の報告を再度する


毛「じゃあ、ここに住んでたのは圭さんの亡くなった兄だけだったって事か?」


安「それはまだわかりませんが…この部屋の住人が、先日起こったある事件にかなり注目していたのは確かですね」



安室の報告に全員でリビングへ向かい、テレビを点けて録画内容を見る


そこには、1週間前に起こった銀行強盗事件のニュースやワイドショーばかり編集までして録画されていた


録画映像を見ていると、犯人に射殺された銀行員の顔が映し出された



『っ、この人って…っ』


蘭「圭さんのお兄さん!?

でも、何で名字が違うの?」


毛「それに、変じゃねーか?

ここに住んでたのが圭さんの兄なら、今朝のニュースを編集できるわけねぇぞ!?」


安「まあ、住んでいたのが誰にせよ、こんなニュースやワイドショーをわざわざ録り溜めているという事は、よほどの犯罪マニアか…

犯人に復讐を目論む被害者遺族、もしくは強盗犯本人と考えるのが自然でしょうね…」



毛「た、確かに…」


安「とにかく、もう少しこの部屋を調べてみましょう

と言ってももう寝室にあったパソコンぐらいしか調べるところは残ってませんけど…」


リビングを後にしようとした私たちに、蘭さんがこっそりと近づき問いかけてきた


蘭「あ、あの…どうしてそんなに切れる探偵なのに、父の弟子なんですか?どう見てもあなたの方が…」



蘭さんはそこでチラリと後方の毛利探偵を見やる


それに安室は軽く笑い、毛利さんを立てる発言をして謙虚に自分の評価を下げた



安「僕なんて、まだまだですよ!」


そんな安室の笑い声を聞きながら、私は思わず笑いが零れた




『…いつから安室さんは嘘つきになったんですか?』


安「すべてが嘘というわけではないさ」


『ま、そうでしょうけど…』
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