第六話 また潜入










ベ「Hi、パル」



『お疲れ様です。ベルモット』






何とか愛車のハーレーをかっとばし、ベルモットとの待ち合わせ時間ぴったりに到着した




ベ「珍しいじゃない?あなたが時間ぴったりに来るなんて

ま、遅れないところはさすがだけど」



『…ちょっとトラブルに会いまして…;』






あれは本当にトラブルだった…




そして冷静になった状態で運転中に先程の出来事を思い返して自分の気持ちに一番戸惑っている




…正直暗殺どころではない…




ベ「? なぁに?もしかして、男関係…かしら?」



『!? な、なな…っ!?////
(そんなわかりやすかった!?///)』



ベ「…本当にどうしたの?
…その話はあとでじっくり聞いてあげるから


今は任務に集中しなさい


ジンに殺されたくなければ、ね」




『…………………OK』






























ターゲットはホテルの一室にいて、その前に警備がいる


その警備をベルモットが誘導しているスキに部屋へ潜入し殺す


というものだった


ちなみに監視カメラはベルモットがハッキング済みだ



そして作戦通りに決行した


ベルモットが部屋の前にいた男を誘導し、別の部屋で殺していることだろう



そして私は部屋の扉をそっと開け、一気に中へ侵入した







のに




















『(中にまで警備がいるとか聞いてないっ!!!)』





中には10人ほど屈強な男たちがいた


ターゲットは余裕な笑みを浮かべて「来たな」と言った


その一言で全て察する




『(ジンのやつ……っ!!!)』




情報をターゲット側に流したな!!?








試しているのだ


NOCなら、この警備している男たちは一般人だから殺さない


逆に殺せば疑いが晴れる



…もっと言えば、“パル”ならこのぐらいできて当然


と思われているのだろう

















『ふぅ~……』



「なんだ?諦めたか?」



『…冗談』







私は今##NAME1####NAME2##じゃない






##NAME3####NAME4##じゃない







公安警察でもない…

































無慈悲に、綺麗に、静かに殺す









パルだ









































べ「ちょっと!どうしたのよパ…っ


!?」




作戦より時間がだいぶかかってしまってベルモットが様子を見に来てくれた様だ





『あぁ…すみません…ちょっと、手こずりました(ニコッ)』



顔や服に返り血を浴びてニッコリといつもの笑みを浮かべるパル


その足元は血の海となっていた




思わず目を見開いたベルモットだったが、説明を求めようと口を開いたと同時に、パルの携帯が鳴る


『失礼』と断りを入れディスプレイを見れば、予想通りの人物からだった




『…いつからそんな悪趣味になったんですか?

覗き見なんて、私のヌードは今回は拝めませんよ?








ジン』







ジ「<てめぇの身体に興味はねぇ

俺が監視していたといつわかった?>」




『部屋に入った瞬間からですよ

自分の額に終始赤いレーザーが照射されてれば誰だって気がつきます』




ジ「<フン、さすがだな>」




『で?私の疑いは晴れたんですか?』




ジ「<今回は、な…>」




『そうですか

まぁ監視をつけるなりなんなりして頂いて構いませんけど…


あまりにウザくてついうっかり…なんておいたをしても許してくださいね?♡』




ジ「<…また連絡する>」




そういって一方的に切られてしまった


ベルモットに視線を向ければ、どうやらウォッカと話しているようだ





ベ「…えぇ、わかったわ」




そしてベルモットも電話を終える





ベ「悪かったわね、パル」



『…いえ、ベルモットも知らなかったようですし…』



ベ「えぇ…あなたが10分経っても戻ってこなかったから何かあったのかと思って…

あと、ジンから伝言よ」



『…今さっき私と話してたのに…伝言?;』



なら電話の時言えばいいのに…




ベ「あなたがあまりにも鮮やかに任務を終えたものだから、バツが悪いんじゃない?」



『………ジンがですか?;』



べ「まぁ許してあげて

“監視はつけない。これがどういう意味かはてめぇで考えろ”


だそうよ」




『…了解です…
(とりあえずは信用してくれみたいだな…)』




べ「一先ず、ここを出ましょう


他の客に見つかると厄介だわ」




『はい』






そのまま階段を駆け下りて(返り血を浴びると思っていなくて何も準備がない為、人気のない階段で)


それぞれ愛車に乗り、走らせた



しばらく走って、人気のない公園の横で並んで止まる




ベ「じゃあ、ここで解散よ

報告は私がしておくわ」



『助かります』



これで解散だーと伸びをすると、「ところで」と話を持ち掛けてきた



べ「任務前に言ってた男の話しはどうなの?」



『っ!(忘れてたのに…っ////)』



ヘルメットは取らずにハンドルに肘をついてこちらに顔を向けるベルモット


…絶対ニヤニヤしてる…



『っ…いや、大した話ではないんですけど…;』



べ「大丈夫よ
あなたのプライベートは、誰にも話したりしないわ」



『…そこは信頼してますけど;』



案外ベルモットは良心的で、色々な話をする


前にバーボンの印象を聞いてみた時は「顔は綺麗だけど、中身はまだおこさまね」というセリフには笑ってしまった


本人には言ってないが




『…尊敬している人がいて、追いつきたくて必死にもがいてきたんです

けど、その人に抱きしめられたり手を掴まれたり…触れられただけで…緊張して…

でもっ憧れてる人に触れられたからだと思ってて…









これが恋だってさっき気づいて…;』













恥ずかしくてヘルメットをかぶっているのに、両手で顔を覆い隠した


ちらり、とベルモットを見れば目元だけ見えるようにしてくれていたのだが…ポカーンとしていると目の色でわかる



べ「…あなた鈍感だったのね…」


信じられないものを見る目でこちらを見やるベルモットに思わず「どういう意味だ」と問いかけたくなった



べ「…ま、頑張りなさい

というか…(その男もパルに気があるみたいだけど…)」



『? というか…なんです?』



ベ「なんでもないわ

ほら、早く寝ないと美容に悪いわよ」



美人代表のベルモットが言うかと言いたくなったが、さすがに時間も時間だったのでその言葉は飲み込んだ


『…では、ここで』



べ「えぇ、またね」



ヘルメットの上から頭を撫でられ、そのまま走っていってしまった
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