第六話 また潜入








『…(やっぱり終わらなかった…;)』




書類は夕方より1/3にに減ったが、肝心の報告書がまだだった



だがもう準備を始めないと間に合わない…ベルモットに叱られてしまう




『はぁ』と1つため息をついて立ち上がる




5時間ほど動かなかった##NAME2##が立ち上がったことにより、降谷が顔を上げる




降「? 出るのか?」



『はい…これから任務で…』



降「!…俺の思い過ごしかもしれないが…

最近多くないか?」




『…』





























実は前回の呼び出しの時、ジンから牽制された





ジ「パル」



『? はい』



ジ「…最近組織にネズミが入り込んでる

…用心しろ」



『…珍しいですね?私の心配ですか?(クス)』



ジ「あぁ、心配さ






…てめぇの頭に風穴が空かないことをな」






『!! …まさか、私はネズミ…NOCだとでも?』








ジ「フン…どうだかな…」




『…』


























けど、まだ疑われてもいない段階…





本当に忠告のつもりなのだろう



意外にもジンに気に入られてるみたいだし(ベルモット談)




降谷さんには忠告してある




まだ、大丈夫だ












『…きっと嫌がらせですよ(苦笑)

大丈夫です。行ってきます』



降「…。あぁ、気をつけろよ」



『はい(ニコ)』











更衣室で上下黒のパンツとYシャツ、ジャケットを着て地下駐車場へと向かう



地下駐車場へ着いた時、わずかに気配を感じる








『…私に何か用ですか?』







呼びかけるが出てくる気配はない






警察関係者か…はたまた組織からの監視役か…さてどうするか…と考えていると、右前にある柱から男が出てくる





『! 加美崎(かみざき)警視…』




ニコニコと人のいい笑みを浮かべて出てきたのは、警視である加美崎警視




ひとまず組織の人間でないことに安堵覚える



ここには私と降谷さんの単車と車がある




見ればNOCだと一瞬でバレてしまうところだった





だが加美崎警視は警視庁公安上がりで今は警視庁刑事部の…三課?二課?にいたはず…




なんで警察庁に…?




加「ふっ、なぜここに…という顔だな?」




顔に出ていた様で気取られてしまったが、本心なのでいいことにしよう



会ったのも数回だけのはずだ…






『いえ…こちらでお会いするのは今日が初めてでしたので…不快にさせてしまったのでしたら、申し訳ありません』



姿勢を正し、頭を下げる


すると「あはは、気にしないでくれ」と笑いながら近づいてくる


顔を上げると、肩に手をつき微笑む顔がドアップで映る


思わず身を引くが、腰に手を回され引き寄せられる


抱きしめられる形となってしまった




『っか、加美崎警視!?;』



焦って顔を上げると、顎を掬われより顔を近づけられる



今すぐ蹴り上げたい気持ちに支配されるが、相手は警視、しかも公安上がりなのでこちらの内部情報も知っている男



下手にここで機嫌を損なわれて、今度公安に不利な状況にもっていかれるかもしれない







…………………我慢だ…………(怒)













『…あの…?;』



加「…君はいつ見てもきれいだね」


















…………………何を言っているのだろう…?

















『…え、っと…;』





どうしようかと迷っていると、急に右肩を捕まれ後ろに引っ張られる




『ひゃ!?』となんとも可愛げのない悲鳴を上げてしまったが、それどころではない





















『…降谷さん…?』




降「…お久しぶりです。加美崎警視

うちの##NAME1##が…何か?」




右肩に手を置き、降谷の身体にもたれかかったまま見上げて固まってしまった…



身体が密着し、いつもより顔が近いのに絡まない視線


そして何より、笑ってはいるが内心穏やかではないとわかる表情



加美崎警視は両手をポケットにつっこみ、苦笑いをする



加「いや、むしろ私が悪いんだ…

すまないね##NAME2##くん」



『い、いえ…っ』



加「今日は退散するよ

また、機会があれば…ね」





何かを含んだ笑みを浮かべながらそのまま私たちの横を通り過ぎ警察庁へと入っていった



ほっとしたところで、今の自分の状態を思い出し慌ててしゃんと立つ





『す、すみません!降谷さんにもたれかかってしまって……………っ!』




顔を見て謝ろうと振り返り、おもわず固まってしまった


なんて顔をするのだろうと…見惚れたのと、戸惑いと疑問…様々な感情がぐるぐるとうずまく




『…なんて、顔…してるんですか…』



思わず降谷の頬に手を添える


少し驚いた表情をした降谷だったが、すぐその手に甘えるようにすり寄った


疲れているんだろうなぁと好きにさせると、急に手を捕まれ引き寄せられる



ポスッと優しく降谷の胸に収まった




『…降谷さん…?』



降谷とはたまにふざけてハニトラを仕掛けあったりするので、この人に抱きしめられるのは慣れてる





…むしろ安心する…



相当疲れてるんだろうなぁという思いと、自分も少し疲れたので降谷の胸に寄りかかり抱きしめ合う




降「……………だっ」



『? 降谷さん?なんて…?』





耳元で、か細い声で何かを呟いたと判断できたくらいの声で、何を言ったのかわからなかった


降谷に問いかけると、ゆっくりと身体を離す


その時にはいつもの降谷さんに戻っていた





降「なんでもない

…ほら、これから任務だろう?

ケガ、するなよ」




ポンポンと頭を撫でると、そのまま降谷もエレベーターへと背を向けた



しばらくその背中を見つめてから、##NAME2##も愛車へと走った
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