第四話 クスリ




安室side




最近は学校帰りにポアロへ寄ってもいいかと言われたので、問題ないと伝えれば…ほぼ毎日食事を取りにポアロへ寄るようになった



今日も俺が作ったものを美味しそうに食べ終え、食後の紅茶を持って行ってやる


何か考え事をしていたので、登庁がてら愚痴でも聞こうかと帰りを誘った



すると一瞬、おろらく俺にしかわからない程度に顔を引きつらせで了承した



…絶対報告目的だと思ってるな…



そう思いながらカウンターへと戻り、梓さんに「上がります」と声をかけ着替えに行く







言った通りここへ寄るのは、真面目な彼女らしい行動なのだが…





『降谷さんの作るもの美味しすぎるんですもん!

自分で作った味気ないごはんより、降谷さんの美味しいご飯を食べて一日を終えたいです!』





これは反則じゃないか?





このセリフは言い換えれば「毎日お前の味噌汁が飲みたい」というような告白のセリフに変換されなくもない…


が…




恐らくあいつは俺を男としてみていない



今はあいつの上司として接することの方が圧倒的に多いが


良くて良いお兄ちゃんってところだろう



…そいうえば昔松田があいつのことを「可愛い妹」と言っていたな


確かにその表現はしっくりくるが、俺はどこか否定している自分がいた







たぶん、あの頃から好きだったのだ






もしかしたらもっと前、出会ったばかりの事から


努力家で優しい、気配りもでき礼儀正しい奴だった


そして日本の為にと自分の判断で全力で動ける判断力と行動力を兼ね備えていた




警察学校時代…つまりは10代の頃だ



周りはある程度覚悟はあったが、“俺達”程の覚悟を持った奴は数えるほど


その中に彼女も入っていた



…………なるほど、どうやら俺はその頃から##NAME2##に惚れていたらしい



自覚したのはつい最近になってからだったのだが…もっと前から惚れていたとは…


だが、今はお互いに潜入中の身


しかもあいつは俺と違い、高校教師をしつつクスリの情報収集…しつつ組織の任務と公安の仕事…


余計な悩みを与えたくない


だからせめて、あいつの任務が1つカタついたら、この思いを伝えてもいいだろうか


そう結論付けたのはつい数日前だったと思う




そう、思ってはいた









『す、すみません梓さん;

…私なんかが安室さんに好意を寄せた所で、安室さんには梓さんの様な方がお似合いでしょうし…

人としては好きですけど、男性として好意を寄せるつもりはありませんから、ご安心を♡』






ピキッ




こんな効果音がつきそうなくらい、あからさまに動揺した



##NAME4####NAME3##としての演技の為、安室透を守るための言葉かもしれない


だが



安「(もし、本当にそう思っているなら?)」




そう考えたら力が入ってしまっていて

でも扉を開けなければ


身体と思考がちぐはぐに動いていたからだろう








バキッ








右手がガクッと下へ下がる


と同時に刺さる視線



自分の右手を見、ドアノブを握りしめている



…ドアから離れてしまっているが…




安「…あぁ…すみません、つい」



慌てて梓さんが駆け寄り、お叱りを受ける


とりあえず今日はもうすぐ閉店だから明日直してくださいと言われた

今から##NAME2##を送っていくので気を使ってくれたのだろう


お礼と謝罪をし、##NAME2##の会計を待ちポアロを出る


するとコナンくんに呼び止められた





安「やぁコナンくん、今帰りかい?」



コ「う、うん!
安室さんもポアロのお仕事終わったんだね!

…あれ?##NAM3##先生?」



『こんにちは。コナンくん(ニコ)』




##NAME2##へ向ける彼の視線はまさに“警戒心丸出し”だ


安室に対しても警戒しているが、##NAME2##と初めて会った時のあの行動で一気に不審に思われていることだろう


“石橋は適度に叩いて走って渡る”


と言っている##NAME2##にしては性急な行動だと思った


理由を聞いてもはぐらかされてしまうのだが…






コ「最近安室さんと2人で見ることが多いけど…
付き合ってるの?」







…今日は何なんだ







『違うよ;
安室さんとお話ししてたら、またまた共通の友人がいるってわかってね?

それで仲良くはさせてもらってるけど、私なんかが安室さんと付き合っているって噂立っちゃったら安室さん可哀そうだから

コナンくん、今度そう言ってる人いたら違う!って言っておいてくれるかなぁ?』






…本気だ。こいつは本気で俺の事を男として見ていないようだ…



思わず目つきが鋭くなってしまった


気づいた時には遅かったようで、コナンくんが俺の顔を見て冷や汗をかいていた



コ「え;…う、うん!わかった!」



『うん!ありがとう!』



困ったようにこちらをちらっと見られてしまった


…多分、俺の気持ちに気づいていることだろう


同じ男として



何を思ったのか「無理にとは言わないから!」とコナンに焦ったように言うが、俺は何を念押している!?という気持ちでいっぱいだ



…またコナンくんに気づかれてしまった…




コナンと別れ、##NAME2##を車へ誘導する
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