第17話 パル
悲鳴に驚き、慌てて廊下へ出ると
2つ隣の部屋の前で固まっているバーボン、コナンくんを見つける
振り返って背後を見れば、2つ隣の部屋から出て険しい顔を向けるベルモット(先程の変装した姿のまま)と目が合った
風見達はバーボンの元へ「どうしましたか!?」と向かって言ったので、そっとベルモットに報告する
ベル「あなたの通信機、途中で壊されたみたいだけど大丈夫だったの?警察も入っていったみたいだし…」
『えぇ、なんとか…
組織に入りたかったようなんですけど、私を脅してきたのでどー始末してやろうかなぁと思っていたらなぜか警察が来ましてね?
私の正体を警察にバラしてやるって言ってきたので、とりあえず気絶させて睡眠薬を飲ませました
あとで毒でも飲ませてやれば簡単に始末はつくでしょう』
ベル「そう…それにしても、面倒なことになりそうね…」
『えぇ…
このフロアにいた私達も、容疑者とされるでしょう…』
バーボンとコナンの険しい表情に、##NAME1##は文字通り頭を抱えた
事件の内容はこうだ
死亡推定時刻は20:14頃、被害者である横山恵美さん(42歳)が何者かに刃物で首(頸動脈)を切られて死亡
部屋は横山恵美さんが止まる予定の部屋で、1人での予約となっていた
しかしグラスが2つあることから、誰かといたことは明らか
だが悲鳴を聞いてすぐに部屋を出て駆けつけた安室は部屋から出て行く人物は見ていない
"たまたま"部屋の近くにいて、安室と反対側から来たコナンも誰とも会っていない
部屋に駆けつけた時、扉は開かれたままだった
つまり…
目暮「犯人と思われる人物と一緒にいたにも関わらず、悲鳴が上がってすぐに駆けつけてきた安室君やコナンくんですら犯人の姿をみていない
かといって、部屋の中に怪しい人物も隠れる場所もない、か…
で、まぁた君たちか…」
目暮が呆れた視線を向ける先には、眠りの小五郎の団体
そして安室となったバーボンとコナンも苦笑を漏らす
目「しかも、第1発見者である安室くんは少し前からこの階にいたと…」
安室「はい…
僕は少しあの女性とお話しさせていただいてて…」
そう言って安室が視線を向ける先には、ベルモットことアンリー・ベルツがいた
目暮「彼女は?」
安室「先程、下のパーティー会場でコナンくんにぶつかってしまった女性なのですが、顔から首にかけて赤くなっていたので、お酒に酔ったのではと思い、部屋に戻れるようにエスコートしたんです
そしたら、少し付き合ってくれとお酒を勧められたので、もうやめておいた方が良いと説得してた所だったんです(苦笑)」
目暮「なるほど…
彼女の横にいる女性は?」
安室「彼女は「僕さっき廊下で会ったよ!」…(おっと)」
目暮「会ったって…事件の後にかい?」
コナン「ううん!事件の前に、男の人と2つ隣の部屋に入っていくのを見たんだ!
パーティー会場で男の人に誘われたんだって言ってたよ!
あれれ~?でも男の人がいないね?どうしたのかな?(ニコニコ)」
目暮「んん?確かに…男性はいないな…
失礼ですが、あなたが一緒にいたという男性の方は?」
『あ…部屋で一緒に飲んでいたのですが…飲み過ぎてしまったようで寝ていらして…
起こそうとしたのですが全然起きてこないので、私だけ先にここに…』
目暮「そうでしたか…そういえば彼らはあなたの部屋から出てきたという証言があるのですが、なぜ彼らがあなたの部屋に?」
『さぁ…?
私も突然で驚いたんです…"あの男とどういう関係か"と聞かれて先程お会いしたばかりだとお話しをしていた時に悲鳴が聞こえて…(カタカタカタ)』
突然楽しんで飲んでいた部屋に公安警察が来て、わけもわからず事情を話していたら今度は殺人事件の容疑者…
恐怖、混乱、不安から身体が震えているのだろうと判断した目暮が「大丈夫ですよ。お話しいただき、ありがとうございます」と声をかけてそのまま背を向けた
コソッ
ベル「…さすがね」
コソッ
『警察の事情聴取とかめんどくさいもの…実際、彼女をやったのは私達じゃないしね
それに、早く解放してくれないと男が起きるわ…』
コソッ
ベル「一応ウォッカに連絡は入れておいたわ
勝手に回収してくれるとは思うけど…
男がいなくなったら、あなたのアリバイを証明できなくなるかしら…」
##NAME3##を宥めるフリをして小声で話し合う2人をコナンは鋭い視線で見つめていた
その視線に気づかないフリをする2人だが、この場をどう切り抜けるかが難しく頭を悩ます…
するとそこへ安室が近づいてきた
安室「大丈夫ですか?あちらにお水があるので、座って少し落ち着かれた方が…」
『…はい…では、お言葉に甘えて…』
そう言って安室とアンリーに支えられ、リビングの奥にあるキッチンスペースへと向かう3人
オープンになっているので、声を控えないと会話をコナンに聞かれる可能性がある
3人とも、コナンに注意しながらヒソヒソと話し合いながら歩を進める
ヒソッ
安室「パル、男は?」
コソッ
『私達のことを知った上で組織に入りたがってたけど、脅してきたから始末の方法を考えてたら警察が来て有耶無耶に
睡眠薬を飲ませてきたから大丈夫だとは思うけど、目を覚まされたら厄介です
ウォッカが回収に向かってきてるけど、私のアリバイ証人がいなくなるのと、男自体いなくなるのはマズイのでは?』
ヒソッ
ベル「ほんとめんどうね」
『同感です』
ヒソッ
安室「でも、我々の事を警察の前で話されても困りますね…」
コソッ
『ですね…
ウォッカがもう少しスリムだったら身代わりができたのに…!!』
悔しがるパルに2人は苦笑も漏らす
それが一番綺麗に片付く方法だと思っていたからだ
だが如何せん、コナンに男の姿を見られてしまっているし、パーティー会場でも毛利達に一緒にいるところを見られている
さすがにウォッカを身代わりにするのは無理だ
『…(くそ~ベルモットがいなかったら風見さんを身代わりにするのにぃ…っ
入間がスリムすぎるのが悪いのよっ
しかも程よく筋肉もついてたから、ただ細いだけじゃ洞察眼が鋭い新一には気づかれるし…
身代わりにできる男なんて…
…………いた)
ベルモット、バーボン、相談です』
「「?」」