第17話 パル





今回ターゲットの部屋は最上階



ベルモットとバーボンが控える部屋は2つ隣の部屋だった



入間と共にエレベーターから部屋へと向かう


・・・エレベーターの中でも、色々ベタベタ触られたものの、パルの仮面を被り笑顔で乗り切る


部屋へと続く廊下を歩いていると、前から小さな影が近づいてきた












コ「こんばんは!(ニコッ)」


入「こんばんは(ニコッ)」


『・・・こんばんは』



口元が引きつるのを何とか押さえながら、笑顔で挨拶を交わす






目の前にいる、小さな名探偵くんに・・・





無邪気な子供を装って話しかけてきたのだから、ここで情報を引き抜く、もしくは妨害する、という意思表示だろう







つまり、ここで会話が終わるわけがない







こちらはさっさと任務を完了させてベルモットには早々に退場してもらいたい



地下で待機している風見達のためにも、早く入間から情報を抜き取り、公安へ引き渡さなければならない



そう考え、入間に甘い声で『入間様・・・早く2人でお話ししたいです・・・』と涙目+上目遣いで部屋へと促す



入間には効果抜群だったようで、上機嫌になりながら「私もです。では部屋へ参りましょうか」と足を進めたときだった



コ「お姉さん、下でお姉さんのことを探してる人がいたよ」



『…そう、でも今はこの方との時間が大切だから…
ボクも早く、会場へ戻りなさい(ニコッ)』



コ「うん!そうするよ!」




そう言って今度こそ去っていた



『(…バーボンかベルモットが抑えてくれると信じよう)』



そう決心し、エレベーターを待つコナンの姿を横目に『参りましょう』と入間を誘う









部屋に入ると、言葉の通り窓際に座るよう促し、一度姿を消すとワインを片手に戻ってきた



入間「いやぁ、今日は良い日になりそうです
あなたのような美しい方と、こうして素敵な夜を過ごすことができるとは…!」


『ふふ、お上手ですこと
私も入間様にお声をかけていただけるなんて、夢のようですわ(ニコッ)』



まずは当たり障りのない話しから雑談を続ける



お酒も進み、入間も丁度良く酔ってきたところで仕掛けてみる




『そういえば入間様は海外にも進出されるとか?』



入間「えぇ、海外進出は僕の夢のひとつでもあるんです

そういえば聞いたことはありませんか?


"黒い服に身を包み""お互いを酒の名で呼び合う組織"」



『……まぁ、そんな所があるのですか?
私は存じ上げなくて「嘘は良くない」…嘘だなんて、そんな滅相もないですわ』



入間「またまた、もう調べはついているんですよ



"パル"さん」






『…。






いつから気づいていたのかしら?』






入間「会場にバーボンさんとベルモットさんをお見かけしたときから、ですかね


僕も是非、組織に加入したいのですよ」



『…理由を聞いても?』



入間「言ったでしょう?
僕は海外進出を夢見ているんですよ


ですがその為に資金やルートを何も持っていない


うちの"商品"を、海外にも広めたいのでね」



『? 商品?』



入間「ふふふ、あなたもご存じのモノですよ


なんせうちの商品は




"花のように美しい"万能薬ですから」





『っ!!?

まさか…っ、"バラ"!?』



入間「さすがは公安警察のエースですね


##NAME2####NAME1##さん」




『(!? なんでっ本名まで…っ!?)


…どなたかと勘違いなさっているのでは?


私の名は##NAME4####NAME3##です』




入間「誤魔化さなくて結構ですよ?

うちにも優秀な"警察"がいますから」



『…まるほど、ネズミが入り込んでいるようですね?
(けど、零さんの情報までは掴んでいないようね
大方、バラの件を潰された仕返しに私を調べ上げただけ、って感じかしら?)


それで?
私を脅して、あなたは何をしようと?』



入間「勘違いしないで下さい?
これは"協力"の"お願い"です(ニコッ)


それに言っているでしょう?
僕は組織に入りたい
あなたには、その橋渡しをしていただきたいのです」



『…なら、ここにバーボンとベルモットを呼びましょうか?』



入間「そうしていただけるとありがたい(ニコッ)

しかし、その前に…」



そう言いながらこちらに近づいてくる入間に警戒し、ひとつひとつの動きに注視する




入間「無事組織に入れたら、僕のモノになってください」



『…あなたの言うことを聞いていれば、私がノックであることを黙っていてくださる、と?』



入間「えぇ、そうです
あぁ先に言っておきますが、僕を殺そうとしたら部下が今あなたの頭を打ち抜きますから、あまり下手な行動はとらない方が良いですよ?(ニコッ)」



『…(さて、どうするか…
この様子じゃあ組織に入りたいのは本当だろうけど、組織内に私の正体を知ってる信用できないヤツがいるのは不安要素が多すぎる


かといって、ココでコイツを殺すのもリスクがあるし部下ってヤツに私の正体を言っている可能性もある

そしたら潜入捜査がパアね…)』



##NAME1##が思考している間に、入間に着信が入り電話に出る



今ならやれるか?と構えるが、「何!?どういうことだ!!」という怒声に動きを止める




すると、入間の携帯から漏れる声に##NAME1##は笑った




「<今すぐこの扉を開けろ
貴様の部下というスナイパーは既に捕らえている>」



入間「どういうことだ!?なぜわかった!?」



「<それはこちらでゆっくり聞こう


さっさと出てくるんだ!!>」




『りょーかいっ!!』



そう叫びながら入間に手刀をキメ、気絶させたところで内側から扉を開ける



『えっと…どちら様ですか…?』



風見「警察です
少し中でお話しを聞かせていただけますか?」



そう言って入ってきた風見達に振り向きながら感謝を述べる



『いや~助かりました;
でもどうしてわかったんですか?』



風見「山田が、入間の会社に潜入してましてね
そこであなたのデータを見つけたそうです」



『山田が?そんな任務ありましたっけ?』



思い返してみても、山田はしばらく組織入りする為に下積みをしている最中のはずだ


情報収集兼スナイパーとしてスカウトされるように、暗殺(警察として正規)の任務を主にこなしているはず…



風見「山田が入間の会社に潜入したのは、例の"バラ"を生成し、海外への輸出の準備をしていたのが入間の会社だったからです


表向きはやり手の実業家ということになってますが、裏では密売の大手だったようです」



『うわ~;上手く隠れるヤツの典型的なパターンね;
山田も腕上げたな~…』



後輩の成長にしみじみと喜びを噛みしめていると、遠くない所から悲鳴が上がった







…まだまだ波乱は続く
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