1.
「おまえ、おやがいないんだろ?」
この言葉が、十年以上心に引っかかっている。
わくわくしながら迎えた入学式。そののちスクールカースト上位になった男子は、クラスメイト全員の前で俺のことを指差して嘲笑った。
みんながじっと俺のことを見つめ、そしてそれらは次々に奇異の目に変わっていった。こちらを見つめる冷ややかな眼差しに、血の気が失せていく。その一言は、みんなの視線は、幼い俺から「自信」というものを失くすには十分すぎるほどの攻撃力を持っていた。保護者としてそばにいた、学校を出たばかりの若い施設の女性職員は、俺と彼を見つめておろおろするだけだった。
クラスメイトは親がいないというたったそれだけのことで、俺を標的にした。殴り、蹴り、持ち物を隠し、罵声を浴びせる。性別なんて関係なく、彼らは俺に嫌がらせをする。朝まで新品だったのに、真っ黒な名前ペンのひどい言葉で埋め尽くされた上履きを見て、俺は下駄箱の前で呆然とした。クラスメイトのひそひそ笑う声が背後から聞こえた。
どうしてそれだけのことで、俺はこんな目にあわなくてはいけないのか。親がいないというたったそれだけのことで。
「せんせい、やめるようにいってください! いいこにしてるから! せんせい!」
泣きながら訴えても、大人は困った顔で笑うだけで、俺のために行動しようとする態度すら見せてくれなかった。
「なんでも諦める子になってほしくないの。大神くん、だから、どうかそんなこと言わないで」
学校に行きたくないと打ち明けると、女性職員は泣きそうな顔で俺を叱った。今思えば、社会人一年目の彼女はひどく混乱していたのだろう。担当の子供の一人が引きこもりになんてなったりしたら、キャリアに傷がつく。
「おやのいない子」という大きなレッテルがべったりと貼られているところに、さらにもう一枚「なんでもあきらめる子」というレッテルを貼られてしまう。これ以上レッテルを貼られたくなかった俺は、複雑な気持ちで「わかりました」と彼女の顔ではなく床を見て、言った。
この言葉が、十年以上心に引っかかっている。
わくわくしながら迎えた入学式。そののちスクールカースト上位になった男子は、クラスメイト全員の前で俺のことを指差して嘲笑った。
みんながじっと俺のことを見つめ、そしてそれらは次々に奇異の目に変わっていった。こちらを見つめる冷ややかな眼差しに、血の気が失せていく。その一言は、みんなの視線は、幼い俺から「自信」というものを失くすには十分すぎるほどの攻撃力を持っていた。保護者としてそばにいた、学校を出たばかりの若い施設の女性職員は、俺と彼を見つめておろおろするだけだった。
クラスメイトは親がいないというたったそれだけのことで、俺を標的にした。殴り、蹴り、持ち物を隠し、罵声を浴びせる。性別なんて関係なく、彼らは俺に嫌がらせをする。朝まで新品だったのに、真っ黒な名前ペンのひどい言葉で埋め尽くされた上履きを見て、俺は下駄箱の前で呆然とした。クラスメイトのひそひそ笑う声が背後から聞こえた。
どうしてそれだけのことで、俺はこんな目にあわなくてはいけないのか。親がいないというたったそれだけのことで。
「せんせい、やめるようにいってください! いいこにしてるから! せんせい!」
泣きながら訴えても、大人は困った顔で笑うだけで、俺のために行動しようとする態度すら見せてくれなかった。
「なんでも諦める子になってほしくないの。大神くん、だから、どうかそんなこと言わないで」
学校に行きたくないと打ち明けると、女性職員は泣きそうな顔で俺を叱った。今思えば、社会人一年目の彼女はひどく混乱していたのだろう。担当の子供の一人が引きこもりになんてなったりしたら、キャリアに傷がつく。
「おやのいない子」という大きなレッテルがべったりと貼られているところに、さらにもう一枚「なんでもあきらめる子」というレッテルを貼られてしまう。これ以上レッテルを貼られたくなかった俺は、複雑な気持ちで「わかりました」と彼女の顔ではなく床を見て、言った。
