1.

 数週間が経ち、その月の満月の日、足が変わってしまって怯えていた。
 立てない。動けない。ひとりぼっちの夜は静かで、苦しい。恐怖が俺の頭を支配していく。頭の中に先日会った大家さんがよぎり、藁にもすがる思いで電話をかけた。
「はい、ヴィラ・オートルです」
 電話越しの声はあのときと同じで温かく、俺は震える声で名前を口にした。
「大神くん? どうしたの?」
「ごめんなさい、あの、足が……変わって、しまって……怖いです」
「大変だね……わかった、電話でよければお話聞いてあげる。電話代かかるからかけなおすね。番号教えてもらえる?」
 一度切れ、もう一度繋がった電話で、俺は自分の体の変化が怖いことを伝えた。数分話していくうちに涙声も収まり、思考は少し冷静さを取り戻す。すると迫っている問題が一つ浮上した。それはずしりと重く、いつだって頭の中から離れないものだった。
「来月は十二月なので……本当にどうしたらいいのか」
「うちくる?」
「……え?」
「つらいなら、うちにきたらいいじゃない! 職員さんに許可もらえたら、泊まりに来なよ」
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