消えた風鈴、あの子の行方
「どうにかしてやりてぇな」
人のやはりいない電車の座席に座って、内田がつぶやく。
「また、来ような」
「おう」
山の景色は窓の外をどんどん流れていく。ゆるく冷房の効いた車内。一時間ほど歩き回ったためか、疲労が東の頭と体を侵食していく。
「内田、すまん。寝るかもしれん……着いたら起こしてくれ」
「おやすみ。疲れたよなー」
車窓の緑を見つめながら、心地いい揺れに体を預け、まどろみに落ちる。
気づくと、教室にいた。風鳴村には学校がなかったから、わざわざ隣の村まで歩いて行っていた。
木造の校舎、ぎぃぎぃ鳴る机と椅子。落書きしては怒られていた、大きな黒板。わいわい騒ぐ子供たち。
あの頃はなんだって自由で、なんでもできるような気がしていた。
出席番号順で最初だった東は当然一番前の席だったから、後ろの方の席の子供たちがうらやましかった。そんな後ろの席に座っていた中で、気になる子供がいた。
星村だ。妙に大人びた子供だった。流行りのものに興味を示さなかったし、遊びに誘っても承諾の返事が返ってきたことはない。彼女の両親と同じく、ガラス細工の話のときだけは黒い目を輝かせていた。確か、風鈴のように涼やかな声をしていた——
人のやはりいない電車の座席に座って、内田がつぶやく。
「また、来ような」
「おう」
山の景色は窓の外をどんどん流れていく。ゆるく冷房の効いた車内。一時間ほど歩き回ったためか、疲労が東の頭と体を侵食していく。
「内田、すまん。寝るかもしれん……着いたら起こしてくれ」
「おやすみ。疲れたよなー」
車窓の緑を見つめながら、心地いい揺れに体を預け、まどろみに落ちる。
気づくと、教室にいた。風鳴村には学校がなかったから、わざわざ隣の村まで歩いて行っていた。
木造の校舎、ぎぃぎぃ鳴る机と椅子。落書きしては怒られていた、大きな黒板。わいわい騒ぐ子供たち。
あの頃はなんだって自由で、なんでもできるような気がしていた。
出席番号順で最初だった東は当然一番前の席だったから、後ろの方の席の子供たちがうらやましかった。そんな後ろの席に座っていた中で、気になる子供がいた。
星村だ。妙に大人びた子供だった。流行りのものに興味を示さなかったし、遊びに誘っても承諾の返事が返ってきたことはない。彼女の両親と同じく、ガラス細工の話のときだけは黒い目を輝かせていた。確か、風鈴のように涼やかな声をしていた——
