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「やっぱ小西さんの作品最高......」
「小西さん何食べたらあんなの思いつくんだろう」
「待ってた」
 黒い画面に表示された無機質な文字は、読み手の感情を抱えてきらきらと光る。リポスト先の空リプを見て、小西は一人「……ふふ」と微笑む。
 小西は長編「氷解」を完成させたのだった。あのバッドエンド騒動から数か月、追加五万字を書ききって、推敲もしっかりと数周し、興奮する気持ちを抑えて寝かせ、またチェックした。達成感で熱を持っていると、冷静に自作を見ることは難しい。しっかりクールダウンの時間もとって、満を持しての形で投稿した。
 数字は少ないが確かにある、変わらぬ評価、読み手の喜びに安堵する。
 もう怖くなかった。バッドエンドを書いている行為を否定されることに、怯えることはない。たとえ悪意を持ったメッセージが来たとしても、それはあくまでその人の感想であって、小西が作品を書くことをやめる理由にはならない。当たり前の正論さえ、あのときは見えなくなってしまっていた。憧れの人との交流という目先のものに足をとられて、転んで立ち上がれなくなってもそのことばかりを気にしていた。
 スマホを閉じる。日曜の夜はいつも小西を憂鬱にさせるのに、この日は穏やかな気分で眠りにつくことができた。
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