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夜。自分の部屋で僕はベッドに寝転がりながら真剣にスマホを見ている。「人魚 同棲」と打ち込んで結果を見るも、そこには空想の漫画があるだけだった。
違う、こっちは現実なんだって! 僕は頭をかきむしる。
人魚は魚倉に泊まってもらっている。あんな暗くて狭いところ、彼女にとってはつらいだろう。早く引越し先を見つけなくては。
ワードを変えて試してみる。「人魚 共存」「人魚 ラブカ」「ラブカ 飼育」……。
しかし、いいサイトはヒットしない。どこにも人魚はいないとか、ラブカの飼育は難しいとか、そんなことしかわからなかった。
仕方なく賃貸サイトを開く。検索条件に「ペット可」を入れて検索する。いつも探していた物件とは少し違う物件が出てくる。
「つってもなぁ……」
連れていくのは人魚だぞ? 犬や猫じゃない、ましてや熱帯魚でもない。人魚だ。そんな得体の知れない生き物、受け入れてくれる物件なんてあるのかな……。
不安なままスクロールすると、僕の目はある物件を捉えた。
「ヴィラ・オートル 築十年」
家賃はそこそこだ。十分予算の範囲内に入る。少し駅から離れているところがネックか。しかし、驚いたのはその下の小さな文字列だった。そこにはこう書かれていた。
「人でない人たち、大歓迎! どなたでも大家がサポートいたします。まずはお電話ください」
「……お?」
ここなら、もしかしたら。僕は一縷の望みをかけて電話をかけた。コール音が聞こえてくる。僕は緊張しながら相手が出るのを待つ。
「はい、こちらヴィラ・オートルです」
女性の声だった。
「あの、人魚って一緒に住めますか?」
「……人魚、ですか?」
電話の相手は戸惑った声を出した。
そうだよね、人魚なんて普通はいないもんな……。僕は諦めて、断る方向に持って行こうと思考をシフトさせる。
「すみません、人魚と暮らしたいだなんて変な話ですよね」
「いえいえ! 大丈夫ですよ。うちにはいろんな生き物がいますから。人魚がいたところで眉をひそめる人はいません。お引越しされたいんですよね?」
「……えっ?」
急変する事態に驚く僕を置いて、大家の女性は軽やかに笑いながら話を続ける。
「私も旦那が人じゃないんですよ。でも、二人で生きてます。二人でなんとかこの世界に居場所を見出して、なんとかやってるんです」
旦那が人じゃない? この人なに言ってるんだ?
でも、それを言ったら僕もなに電話してるんだ? になってしまう。お互い様か。
仲間がいる。それがわかっただけで、なんだか少しだけ安心した。緊張していた唇が安堵でゆるんだ。
「ぜひ見学に来てください。人魚のお連れ様が快適に暮らせるように、精一杯サポートさせていただきますので」
大家はそう言うと、僕のことを聞いてきた。名前と連絡先を伝えると、ちょうどいい日付を見つけて予約をとってくれた。
僕は電話が終わるとすぐにリビングに行き、父に下見予定日が決まったと伝えた。父は椅子から転げ落ちていた。
その後、活魚運搬車に大金を払って入居に至る。魚を生きたまま運ぶにはお金がたくさん必要なのだ。
違う、こっちは現実なんだって! 僕は頭をかきむしる。
人魚は魚倉に泊まってもらっている。あんな暗くて狭いところ、彼女にとってはつらいだろう。早く引越し先を見つけなくては。
ワードを変えて試してみる。「人魚 共存」「人魚 ラブカ」「ラブカ 飼育」……。
しかし、いいサイトはヒットしない。どこにも人魚はいないとか、ラブカの飼育は難しいとか、そんなことしかわからなかった。
仕方なく賃貸サイトを開く。検索条件に「ペット可」を入れて検索する。いつも探していた物件とは少し違う物件が出てくる。
「つってもなぁ……」
連れていくのは人魚だぞ? 犬や猫じゃない、ましてや熱帯魚でもない。人魚だ。そんな得体の知れない生き物、受け入れてくれる物件なんてあるのかな……。
不安なままスクロールすると、僕の目はある物件を捉えた。
「ヴィラ・オートル 築十年」
家賃はそこそこだ。十分予算の範囲内に入る。少し駅から離れているところがネックか。しかし、驚いたのはその下の小さな文字列だった。そこにはこう書かれていた。
「人でない人たち、大歓迎! どなたでも大家がサポートいたします。まずはお電話ください」
「……お?」
ここなら、もしかしたら。僕は一縷の望みをかけて電話をかけた。コール音が聞こえてくる。僕は緊張しながら相手が出るのを待つ。
「はい、こちらヴィラ・オートルです」
女性の声だった。
「あの、人魚って一緒に住めますか?」
「……人魚、ですか?」
電話の相手は戸惑った声を出した。
そうだよね、人魚なんて普通はいないもんな……。僕は諦めて、断る方向に持って行こうと思考をシフトさせる。
「すみません、人魚と暮らしたいだなんて変な話ですよね」
「いえいえ! 大丈夫ですよ。うちにはいろんな生き物がいますから。人魚がいたところで眉をひそめる人はいません。お引越しされたいんですよね?」
「……えっ?」
急変する事態に驚く僕を置いて、大家の女性は軽やかに笑いながら話を続ける。
「私も旦那が人じゃないんですよ。でも、二人で生きてます。二人でなんとかこの世界に居場所を見出して、なんとかやってるんです」
旦那が人じゃない? この人なに言ってるんだ?
でも、それを言ったら僕もなに電話してるんだ? になってしまう。お互い様か。
仲間がいる。それがわかっただけで、なんだか少しだけ安心した。緊張していた唇が安堵でゆるんだ。
「ぜひ見学に来てください。人魚のお連れ様が快適に暮らせるように、精一杯サポートさせていただきますので」
大家はそう言うと、僕のことを聞いてきた。名前と連絡先を伝えると、ちょうどいい日付を見つけて予約をとってくれた。
僕は電話が終わるとすぐにリビングに行き、父に下見予定日が決まったと伝えた。父は椅子から転げ落ちていた。
その後、活魚運搬車に大金を払って入居に至る。魚を生きたまま運ぶにはお金がたくさん必要なのだ。
