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「……おそらくラブカなんだが、この人魚をどうしようか迷っていてな。朝陽、どう思う?」
「うーん……」
そう言われても、すぐに答えは出てこない。ただ、この子を逃がしてあげたいという気持ちしか出てこない。
「逃がしちゃえば?」
「そうだよな。でも、それは嫌なんだとさ」
「そうよ! どうせ帰ったところで食われるだけだわ!」
腕を組んでそっぽを見つめたままの人魚。その首筋から血が一筋流れていることに気がついた。
「ねぇ、怪我してるよね?」
「なによ、このくらいすぐ治るわよ! 人間風情が私の怪我を治そうだなんて、そんなこと……」
「今、絆創膏持ってるから貼ろうか?」
提案すると、人魚は不思議そうな顔をした。
「ばんそうこうってなに? 毒薬じゃないでしょうね」
あぁ、そっか。今まで深海で生活していたから、絆創膏なんて知らないよね。
僕はいつも持ってるポーチからそれを取り出して、人魚に見せる。人魚は体をくねらせるように泳ぐと、こちらに近づいた。
「へぇ……これで血を止めるってわけね?」
「人間の世界じゃ子供も使ってるよ。安心して、毒なんてないから」
「それなら……」
人魚はクイッと顎を上げる。貼れ、ということか。
傷の部分を軽くティッシュで拭く。小さく人魚の体が震えた。なにかに噛まれたような跡があり、そこから血が流れている。フィルムを剥がし、絆創膏を貼る。一瞬指先に触れた肌は、氷に触れたときのようにひんやりとしていて、目の前の相手は本当に深海の生き物であるということを実感させられた。
「はい、これでオーケー」
人魚は貼った部分を指でいじろうと指を伸ばす。
「あっ、水に濡れると剥がれちゃうかも」
「それじゃあ潜れないじゃない。まぁいいけど」
僕は満足して後ろに下がる。やりとりを見ていた父はため息をついた。
「まったく、これから別れるというのに一体何を……」
「別れる?」
「あぁ。水族館に寄贈しようと思って……」
「イヤ!」
叫び声が聞こえた。
「うーん……」
そう言われても、すぐに答えは出てこない。ただ、この子を逃がしてあげたいという気持ちしか出てこない。
「逃がしちゃえば?」
「そうだよな。でも、それは嫌なんだとさ」
「そうよ! どうせ帰ったところで食われるだけだわ!」
腕を組んでそっぽを見つめたままの人魚。その首筋から血が一筋流れていることに気がついた。
「ねぇ、怪我してるよね?」
「なによ、このくらいすぐ治るわよ! 人間風情が私の怪我を治そうだなんて、そんなこと……」
「今、絆創膏持ってるから貼ろうか?」
提案すると、人魚は不思議そうな顔をした。
「ばんそうこうってなに? 毒薬じゃないでしょうね」
あぁ、そっか。今まで深海で生活していたから、絆創膏なんて知らないよね。
僕はいつも持ってるポーチからそれを取り出して、人魚に見せる。人魚は体をくねらせるように泳ぐと、こちらに近づいた。
「へぇ……これで血を止めるってわけね?」
「人間の世界じゃ子供も使ってるよ。安心して、毒なんてないから」
「それなら……」
人魚はクイッと顎を上げる。貼れ、ということか。
傷の部分を軽くティッシュで拭く。小さく人魚の体が震えた。なにかに噛まれたような跡があり、そこから血が流れている。フィルムを剥がし、絆創膏を貼る。一瞬指先に触れた肌は、氷に触れたときのようにひんやりとしていて、目の前の相手は本当に深海の生き物であるということを実感させられた。
「はい、これでオーケー」
人魚は貼った部分を指でいじろうと指を伸ばす。
「あっ、水に濡れると剥がれちゃうかも」
「それじゃあ潜れないじゃない。まぁいいけど」
僕は満足して後ろに下がる。やりとりを見ていた父はため息をついた。
「まったく、これから別れるというのに一体何を……」
「別れる?」
「あぁ。水族館に寄贈しようと思って……」
「イヤ!」
叫び声が聞こえた。
