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 ラブを若者に活魚運搬車で運んでもらい、僕と大家さんは父の運転するワゴン車で駅まで向かうことにした。助手席に僕、後ろに大家さんといった具合で座っている。ワゴン車は駅の近くで借りたそうで、今レンタカーの店舗まで向かっているところだ。

 波の音が遠ざかっていく。海の街は静かで、他の車とはあまりすれ違わない。落ち着いたドライブだった。
 交差点で信号が赤になる。車が止まる。

「朝陽。ラブとの生活は楽しそうだな」
 父は前を向いたまま、僕に話しかける。

「そうだね。まぁ、なんとかやってるって感じだよ」
「……そうか」

 運転中は絶対に前しか見ない父の姿はそのままで、僕は懐かしさを覚えた。

「あのときの選択、正しかったんだな。最後まで反対してしまってすまなかった」
「あはは……いいよ。僕もその立場だったらそうなるもん」

 答えると、父は「また困ったときはいつでも力になるからな。いつでも帰ってきていいんだぞ」と静かに笑った。
 一言二言交わすうちに、僕は置いてきたゼリーのことを思い出した。

「あっ……」
「どうしたの、鳴瀬くん?」
「ラブに買ってきたお土産、びっくりして落として置いてきたままだなって思って……」
「あらら! そうだったんだね?」
「なら、ラブが帰るまでになんとかしておかないとな」

 きっと帰るころにはゼリーはダメになっているだろう。
 でも、それでもいい。また買ってくればいいんだから。買いなおしてもいいという相手がいるから。

 また、海に行こう。大切な人魚がホームシックにならないように。
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