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急いで部屋着に着替える。風呂場に防水の低い机を設置し、お刺身四パックと生わかめの他にレンチンした白米、レトルトの味噌汁を用意する。箸やお茶も準備していると、室内に食器の触れ合う音が響き渡った。
「ねぇ、もう食べていい?」
ラブがよだれを垂らしながら僕に尋ねる。美人が台無しだ。僕は苦笑いしながら「いいよ」と許可する。
「いただきます!」
ラブはお刺身を一切れ、細い指で持ち上げると口の中に入れた。するっと入っていったマグロの生々しい赤と、彼女の雪のように白い指のコントラストに、僕はなんだか見入ってしまっていた。
「おいしいわ、ナル! ありがとうね」
好きなものを頬張る彼女の笑顔に、こちらまで嬉しくなる。僕は自分が食事に手をつけていないことに気づき、味噌汁をすすった。安い味が口内を満たす。でも、不思議と悪くない。目の前にラブがいるからだ。
「もう一年なのね」
ラブは懐かしむように呟く。僕はお刺身を飲み込んで返事をする。
「そうだね。……長かった?」
「ううん。そんなことないわ。むしろ短いように感じたの」
「っていうことは、楽しいってこと?」
聞くと、ラブはふふ、と笑った。
「そうよ。ナルと一緒にいるのが楽しいの。あのなにもない深海から抜け出して、地上で暮らすだなんて思いもしなかったわ」
イカのお刺身に手を出すラブ。見えた歯列に少しだけぞっとする。
そうだ、この子は深海にいた。連れてきたのは僕だ。人間の僕だ。
あの選択が間違っていなかったのか、僕はふとした瞬間に心配になることがある。お刺身を満面の笑みで食べるラブを見ながら、僕は過去の記憶を思い出していた。
「ねぇ、もう食べていい?」
ラブがよだれを垂らしながら僕に尋ねる。美人が台無しだ。僕は苦笑いしながら「いいよ」と許可する。
「いただきます!」
ラブはお刺身を一切れ、細い指で持ち上げると口の中に入れた。するっと入っていったマグロの生々しい赤と、彼女の雪のように白い指のコントラストに、僕はなんだか見入ってしまっていた。
「おいしいわ、ナル! ありがとうね」
好きなものを頬張る彼女の笑顔に、こちらまで嬉しくなる。僕は自分が食事に手をつけていないことに気づき、味噌汁をすすった。安い味が口内を満たす。でも、不思議と悪くない。目の前にラブがいるからだ。
「もう一年なのね」
ラブは懐かしむように呟く。僕はお刺身を飲み込んで返事をする。
「そうだね。……長かった?」
「ううん。そんなことないわ。むしろ短いように感じたの」
「っていうことは、楽しいってこと?」
聞くと、ラブはふふ、と笑った。
「そうよ。ナルと一緒にいるのが楽しいの。あのなにもない深海から抜け出して、地上で暮らすだなんて思いもしなかったわ」
イカのお刺身に手を出すラブ。見えた歯列に少しだけぞっとする。
そうだ、この子は深海にいた。連れてきたのは僕だ。人間の僕だ。
あの選択が間違っていなかったのか、僕はふとした瞬間に心配になることがある。お刺身を満面の笑みで食べるラブを見ながら、僕は過去の記憶を思い出していた。
