つくばねの
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梅雨の終わりかけ、夏が始まる季節ーーー
「カカシ先生!久しぶりだってばよ!」
「ナルト!あんた失礼でしょいきなり!」
「ナルトにサクラ。二人とも、任務無事終了したみたいダネ」
「せんせー、なんか疲れてねぇ?」
「ま、慣れないことも多いからな…」
火影邸。机の書類にかじりついて数日。
なかなか終わらない事務処理に頭痛が始まりだした頃、扉が勢いよく開き、教え子達が遠慮なく入ってきた。
これ幸いとグッと伸びをすると、至る所がポキポキと音を鳴らす。その時、
「帰ったぞ!カカシはいるな!話がある!」
外遊に諸国を巡っていたはずの綱手様まで勢いよく執務室へ入ってきた。ひと休憩して、今日は少し早めにあがろうという企みは瓦解する。
「カカシ、お前も良い年だし、そろそろ伴侶を迎えてもいい頃だと思わないか?就任前は火影になって慣れるまでは結婚はせんと言っていたが、もう就任してしばらく経ったし構わんだろ?」
「いや、でもほら…木の葉のみんなが家族みたいなものですし。今はその、ねぇ?」
チラリとナルトとサクラの方を見る。これだけで弟子達の前でしたくない話だと言うのは伝わったはずだ。
はずだったが、すでに遅かった。
恋に生きるくのいちサクラの目が光っている。
「そういえばカカシ先生の私生活というか、好みのタイプすら聞いたことないですよね!今お相手はいないんですか?!」
「昔は来るもの拒まず、去るもの追わずで取っ替え引っ替えだったそうだが…最近は相手もいないことはすでに確認済みだ」
んんー、と唸っていると、綱手様に追い討ちをかけられる。
この人、自分は伴侶なしで火影をこなしてたわけだし…いきなりこんな話をしてくるのは何か訳ありか?
「綱手様、もしかして上からそろそろ身を固めろと迫られてますね?」
組んだ手に顎を乗せてジロリと睨みつけると、綱手様は分かりやすいくらいに肩を揺らした。
つまり、年寄りのお節介を肩代わりさせるべく、カカシを身代わりに差し出すつもりなのだろう。だが、こうと決めたらテコでも動かないのが五代目火影だ。諦めてため息をつくカカシを見て、取り繕うように咳払いをした。
「おほっん。…あー、お前の好みもわからんかったこともあって、木の葉以外の各里から、一人ずつ候補を連れてきた。入れっ!」
つまり、各里とのパイプ役も担う政略結婚ってことね。
自分には愛だの恋だのは似合わないとわかっていたので、まぁ妥当な提案だなと再度ため息をつきながら席を立った。
*
えー!何この面白い展開!
と、サクラはニヤニヤしながら成り行きを見守る。ナルトはすでに興味をなくしたのか、「一楽のラーメンが食いてぇってばよ」とコッソリ抜け出そうとしていたが、自慢の怪力で首根っこを引き止める。
「わっ!」
4人の女性が入って来て、美しさについ声が漏れてしまった。それぞれ各里の衣装を纏い、雰囲気が違うが、好みがわからない中でここまで綺麗どころを呼び込むとは。さすが師匠。
「最初は砂隠れのミア。27歳だ。特技は織物」
一番最初に入ってきたおとなしそうな女性が前に一歩出てお辞儀した。それから顔を真っ赤にしながら何かモソモソ喋っている。茶髪でふわりと緩いカール、目は明るい緑色で可愛らしい。
「え?何って?」
「あっ、あの。お会いできて光栄ですっ」
「次は雲隠れのトノイ、こっちも27。とにかく元気だな。3番目が霧隠れのキイで、29歳」
2番目に入った金髪碧眼の女性は白い肌で透明感がすごい。しかし口を開けば元気爆発で、「よろしくお願いします!私も火影様の噂は聞いてたんで、こんな機会に恵まれて幸せです!」とぴょんぴょん飛び跳ねそうな勢いだ。
対照的に3番目の美人は落ち着いていて、大人の色香が漂う紅先生タイプ。赤に近い茶髪で、豊満なボディをアピールすべく露出の多い格好でこちらの目のやり場に困る。
サクラとしては自分の胸を一度見下ろさずにはいられなかった。
「最後は岩隠れの千歌だ。最年少の22歳で、三代目土影オオノキのお孫さんだ。黒ツチの姉だな」
「えー?火影様って写輪眼のカカシでしょ?普通の目じゃーん…つまんなーい」
黒ツチと同じくチャイナ服を着こなした小柄な女性がカカシの前に近寄る。黒いチャイナから伸びる白い足が眩しい。小柄だがメリハリのついた体型で、長い黒髪はツインテールにしてある。
カカシは少し困ったように眉根をさげて笑ってた。それを見た千歌は足を止める。
「ちょっとあなた。大戦にも参加してない青二才が偉そうなこと言わないでくれる?」
「は?里を守る任務が重要じゃないって言いたいワケ?戦場にいたことがそんなにもご自慢なの?あなたは大して戦力にもなってなさそうだよね?そんな爪して…身だしなみ気遣う余裕あるなら修行したら?オバサン」
「なんですって?」
きっつ!と以前聞いたことあるセリフがより心に刺さるサクラは、霧隠れのキイにつっかかる千歌をヒヤヒヤして見る。
早速修羅場になるとは思ってなかったが、見た目も性格も含めて春夏秋冬、季節をイメージしてしまう4人だ。
「うるっさい!」
ゴチッ
前のめりに睨み合っていた二人の頭を掴んだ綱手が、喧嘩両成敗とばかりに互いのおでこをぶつけた。
一瞬にして静かになる二人。めちゃくちゃ痛そうだ。綱手がしっしと4人を外に出した。
「じゃあそう言うわけだ。4人は木の葉旅館に泊まるよう手配してある。何日か時間をやるから、お前なりのやり方で人となりをみることだ」
「はぁ…」
師匠ってば相変わらず無茶振りがすぎるとサクラはカカシに同情したのだった。
*
「…で、4人の様子はどう?」
「いや、六代目。ちったー自分で会いに行ったらどうすか?」
「んー、それができたら苦労しないと言うか…」
ここ数日、ナルトとサクラを筆頭に護衛という名目で4人に見張りをつけた。関わっても良いと伝えているので、どういった人物か総合的に知りたかった。
すっと机に置かれた紫陽花の花に目を向ける。シズネあたりが飾ってくれたのだろうか。
「誰とくっついても良いってゆーんなら、六代目の好みでいったらどーなんすか?」
「俺はそーゆーのいいよ…」
「そうすか?じゃあ、報告します」
*
報告者 シカマル
砂隠れのミア。彼女は全く部屋から出てこず。ご飯はどうかと声をかけるも部屋で取りたいとのことで出前を取って渡す。
雲隠れトノイ。里内を動き回っており、捕まらず。目撃情報から飲み屋を渡り歩いていることを確認。
霧隠れキイ。旅館で美容系サービスを受けまくっている。護衛として声をかけると、召し使いと考えているのか雑用を申し付けてくる。
「最後に岩隠れの千歌ですが…面白い人っすね」
「?」
「いや、飯に声かけたら嬉しそうにのってきて、チョウジといのと焼肉いったんすけど…めちゃ食べてました。それから、薬になる鉱物について色々教えてくれて…結構博識なんすね」
博識…この前の振る舞いからはあまり想像できないが、土影の親族ということは勉学にも励んでいるのだろう。
「そう、ありがと。他の人にも聞いてみるよ」
報告者 サイ
ミア、トノイ、キイについては上記報告と変わらず。
「千歌さんですが、僕が絵を書くことが趣味だと伝えると、岩絵具について教えてくれました。オススメのお店も」
少しソワソワしているサイ。もしかして買いに行きたいのだろうか。
「岩隠れ行きの任務あるけど、やる?」
「行きます」
報告者 キバ
ミア、トノイ、キイとは関わりなし。
昼間に赤丸と散歩をしていたところ、滝壺で遊んでいる数名の女性を発見。
突然叫び声がしたため、よくみると一人の女性が足がつったのか流されかけていた。
助けに行こうと近づいたところ、キバの頭上を何かが通り過ぎた。
「あれって土影さまの土遁の術と同じっすね。空飛んで、女性にあっという間にタッチして浮かせてました。お礼言ってた女性に準備体操しっかりするようにって笑顔で颯爽と去っていきました」
「笑顔…」
報告者 ヒナタ
商店街で買い物をしていたヒナタは、ナルトとサクラが話しながら歩いているところを目撃。眩しすぎるナルトの笑顔に動悸が治らず、うずくまっていると声をかけられた。
「どーしたの?体調悪い?」
見上げると逆光で見えにくかったが、特徴的なツインテールとチャイナ服で渦中の女性千歌だとすぐにわかった。
手を差し出してくれていたので、恐る恐る握ると
「ひゃっ!」
浮いた。
「あははっ!ごめんごめん!ビックリした?」
手は千歌の手に添えたままだったのを、くいっと引いて下ろしてくれる。
「何か悩み事?」
「あっ!…い、いえ…」
さすがに同期に見惚れていたことを言うのは忍びなかったため、慌てて誤魔化すと千歌は「そう?なんかあったら吐き出しなよ。他人の方が言いやすいこともあるし」と笑って手を振り去っていった。
去り際に、重そうに持っている老婦人の荷物に触れて軽くしながら。
「んー…そっか」
どうにもとらえどころのない子だなと顎に手を当てる。それを見たヒナタは心配そうにしている。
「あ、あの… 千歌さん、優しい方、ですね」
「ん?あぁ」
そう言われて、初日のバトルを思い出したカカシは、今度はナルトとサクラにも聞いてみるかと腰をあげた。
*
二人は一楽で一杯やっているところだった。相変わらず予想がしやすいやつだなとナルトの横に腰を下ろす。
さすがに火影の服は脱いで来た。
「あれ、カカシ先生。なんだってばよ?」
「報告待ってたの。二人ともなかなか来ないから」
「えへへ、ごめんなさい。ちょっと慎重に調査してたので」
「まぁそれならいいけど」
カカシもチャーシューを一杯頼み、サクラから報告をきいた。
報告者 サクラ
砂隠れのミアのもとに行くと、他のみんなと同じように一度門前払いをくらった。しかし、根気よく声をかけているとドアを開けて中に招き入れてくれた。
机の上には編み物途中の物が置かれていた。
お茶を出されて飲みながら、サクラが編み物について褒めると、ミアは突然喋り出す。
「やっぱりわかりますか?そのがらは六代目火影様をイメージして編んでみたんです!できれば織り機とかを貸してもらえたらもっとたくさん作れたんですけど、さすがにこの旅館には置けれなくて…。でもちょうど良かったです!他にも私が作ってきた作品を何点かお見せするので、良かったら感想をもらえませんか?火影様の教え子で、世界を救われたお二人のご意見をぜひ聞かせてもらいたいんです!まず一作目がこれなんですが」
こんな感じで2時間、とうとうと語られてナルトもサクラも何もしていないにも関わらず疲労困憊となった。
続いて雲隠れのトノイについては、噂を聞いて居酒屋を数軒探すもつかまらず、ついにはナルトの仙忍モードでなんとか見つけ出す。
「あれー?ナルトくんにサクラちゃん!へへへ〜何してるのー?」
「わ!トノイのねーちゃんめっちゃ酒くせぇってばよ!」
酒瓶片手に近づいてこられ、ナルトはつい鼻をつまんだ。サクラは何とかこらえながら話をしたい旨を伝える。
「いーよーん!」
「あの、もしかして毎日飲まれてます?」
「?うん!だって綱手様が自分の気の向くままに過ごすようにって!私、もともと忍ってあんまりむいてないんだよねぇー…こうやってお酒の席で色んな人の話きいて、グチ吐き出してもらったりするような今の時間が幸せです!」
「あの、でもカカシ先生…六代目火影の妻にって言われて来てるんですよね?アピールしようとかないんですか?」
「こっちから接触するなって綱手様から言われてるしぃ…私はなれたらラッキーくらいにしか思ってないかなぁ」
あははと笑いながら、つまみを食べるトノイにサクラはなるほどと心の中で頷く。観光旅行気分でいるんだろうなぁとぐったりしているナルトを引っ張ってその場を後にした。
「サクラちゃん、俺ってばなんか不安になってきたってばよ…ミアねーちゃんは思い込み激しすぎるし、トノイのねーちゃんはなんつーか…」
「わかってる。それでも状況を報告することが任務でしょ」
割り切って行った三人目、霧隠れのキイのもとで、サクラは自分がブチギレなかっただけ褒めて欲しいと思った。
「失礼しまーす…」
「どうぞ」
「うっ」
部屋の中はお香がたかれており、咽せ返るような匂いで充満していた。一刻も早く換気したい衝動に駆られた二人は、顔色を真っ青にしながら中に入った。
「カカシ様に言われて来たの?」
「はい、まぁ」
旅館の中に勝手にソファを持ち込んだようで、キイは優雅にしなだれかかった。勘は鋭いようだ。
「それなら、伝えてくださる?残りの3人をみるに、火影の妻なんて絶対に無理だわ。私を選ぶべきですって」
「…それはどうしてですか?」
「そんなのみたらわかるじゃない?ミアは人前に出るタイプじゃないし、トノイは人をまとめ上げるタイプじゃない。火影の妻になるのであれば、自分に自信を持って、周りを良くみることができなければね」
「あの、千歌さんは…」
サクラが恐る恐る聞くと、キイは突然立ち上がり、鬼の形相で机の上にあった飴が入った菓子入れを投げつけてきた。勿論当たりはしないが、大量の飴が地面に落ちる。ナルトは女性がキレる姿に恐怖し、ドン引いている。
「あのクソ女の話なんてやめてくれる!?あんなに失礼な態度取っておいて、旅館に移るなり部屋訪ねてくるような女よ!カッとなって言い過ぎたゴメンナサイって…謝れば済むと思って腹立たしい!人の性根ってのはそう簡単に変わるもんじゃないのよ!若いだけの女が、カカシ様の妻にだなんて分不相応だってわかるでしょ!?」
「あ、はい…あの」
「はぁ、もういいわ。出てってちょうだい」
二人が立ち上がると、「あ、飴片付けてね」とだけ声をかけてきた。サクラは笑顔で握り拳を作り、ナルトが慌てて止めに入った。
