瀬をはやみ
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ーーー鳥か?
ふと空を見上げたサスケがそう思ったと同時に、間違いだとわかった。
「きぃゃぁあーーー!」
あれは、ヒトだ。
*
それは数分前に遡る。
今日もカカシは全くやってくる気配を感じない。サスケはできるだけあうんの門の影になっている壁に背を預けていた。
「また、遅刻だってばよ…」
「そうね…もう私たち、集合時間ぴったりに来る意味なくない?1時間か2時間後に集まるってどうかしら」
「それ、いいってばよ…」
先程までぎゃーぎゃーと喚いていた二人も、暑さにやられたのかぐったりしていた。全く体力の無駄遣いだと最初の方に警告したのだが、憤った二人は耳を貸さなかった。
「そういや、もらったロールキャベツ、もう食べきっちまったってば…カカシ先生また作ってくんねーかなぁ」
「あー、美味しかったわねー…てか結局レシピくれなかったんだけど。どうなってんのよ」
二人ともはぁとため息をつき、がっくりと項垂れている。
待っているこの時間を修行に当てた方が建設的だったとイライラし始めたサスケの耳に、甲高い音が届いた。
ーーーぁぁああー
どこから?と周りを見渡すが、音の出所は分からず。
野生的勘が鋭いナルトが空を見上げているので、サスケも釣られて空を見る。
「サ、スケぇ!上だってばよ!」
「わかってる!下で受け取れ!」
「おぅ!多重影分身の術!」
サスケは門の壁を駆け上り、頭から落ちてきている人物に向かって飛び出す。
パシッ
タイミングよくキャッチ出来、勢いを和らげることに成功したが、いかんせん落ちてきた力の方が強く、予想よりズレて落下していく。
「(くそ!このままじゃナルトの上には…)」
そう思った瞬間、シャルルっと身体に何かが巻き付く感覚。
「(巻物?)」
くんっと引っ張られ、勢いは弱まったため、そのままナルトの分身の上に落ちた。
「ぐっ!」
「だぁ!」
「きゃ!」がしゃんっ
ボブっとあんなにたくさんいたナルトは、サスケと女性を受け止めて消えた。サスケが何とか身体を起こしていると、サクラが女性に近づくのが見える。
「大丈夫ですか!?」
「う、あり、がと…」
見たところ一般人のようだったが、あの高さから落ちて気を失わない所をみると、随分図太い神経の持ち主に違いない。
サスケはナルトに「おい、起きろ」と声をかけ、立ち上がった。
すると彼女ははっと顔をあげる。遠目でみても綺麗な人だとわかる。サスケは一瞬動作を止めた。
「ここ、ここは木の葉の里?だったらカカシくん…はたけカカシくんはいる!?」
「え?カカシ先生ですか?」
サクラに掴みかからんばかりに聞く女性のもとに、瞬身の術でそばに現れたカカシ。
やはりさっきの巻物はこいつだったか…普段は遅刻ばかりのくせに、こういう時に限って外さないのがカカシだと少しイライラした。
「あれ、そのネックレス…」
サクラが何か言いかけた時、カカシがポツリと呟いた。
「千歌、さん?」
あのカカシが、隙だらけで突っ立っている。今なら鈴が10個は取れそうだと傍観していると、千歌と呼ばれた女性は立ち上がってゆっくりカカシに近づいた。
「カカシ…くん?」
見開かれた目から驚きが伝わる。その目に突然怒りの火が灯った。瞬間、
「カカシくんの、ばかぁ!」
「ぐっ!」がこっ!
彼女が持っていたリュックがカカシの頭にクリティカルヒットした。普段なら絶対に避けられるに違いない動きだったが、カカシはわざと動かなかったように見えた。
それにしても何か鈍器でも入っているのか?物凄い音がした。
予想外の衝撃に片膝を着いたカカシの前に、仁王立ちになった千歌が叫んだ。
「私がどれだけ心配して、さみしかったと思ってるのっ!…このネックレスめっちゃ大事にして毎日つけてるんだからっ!料理も美味しかったけど、一緒に、食べたかったのに!」
「ご、ごめん。でも待って千歌さん。甘んじて受けたソレ、何入ってるの?」
「え、これ?本が二冊……!…ま、まさかケガしちゃった!?どどどどど、どーしよ!ちょっと見せて!」
「え?ちょ」
慌ててかがみ込んだ千歌は、ぶった左側を確認している。カカシの額当てをずらして、何ともないことを確認したあと、マスクもずらそうと手をかけた。
「(何!?)」
「(え!?ついに!?)」
「(まさかこのタイミングでカカシ先生の素顔が見れんのか?)」
第七班の三人に緊張が走ったが、勿論その手はカカシによって阻まれた。
手首を掴まれた千歌は、一瞬キョトンとし、改めてまじまじとカカシを見ていた。
「…あれ、カカシくん何か、大きくない?えっと、今って確か…12歳くらいだよね?」
「んー、いや。ごめんね、千歌さん。こっちの世界はそっちの4倍早く時間が過ぎるから、オレは今27だよ」
「にじゅう、なな?」
カカシの年齢が初めて判明。こんなことでわかるとは。
千歌はもう一度丁寧に「にじゅうなな?」と聞き返していたが、ようやく頭が追いついたのか目の焦点が合う。
「じゃあ私より年上じゃない!」
真っ赤になった千歌はカカシから飛び退いた。カカシは安堵するかのようにホッと息を吐き、立ち上がった。
「さてと、千歌さん。ちょっと事情を聞きたいんだけど…ここじゃ何だから、火影様の所に一緒に来てもらえる?」
「あ、うん!里の偉い人だよね?」
自然に手を出すカカシに、流れるように手を握る千歌。サスケ達は狐につままれた気分でその様子を見る。
手を繋ぐ必要はあるか?別に火影邸までは険しい道のりというわけでもない。カカシのやつニヤニヤしてないか?
「は!そうだ!私、壺を抱きかかえて来ちゃったんだけど…」
「壺ってこれですか?」
「てか、壺だったもの、だってばよ」
「えっ!?」
そこには、かつて壺だったであろう破片が散らばっていた。千歌はそれをみて顔面蒼白になる。
「ナルト、サスケ、サクラ。お前らその破片を払って火影邸まで持って来い。一欠片も見逃すなよ」
語尾にハートがつきそうな笑顔。面倒なことはこっちに押し付けて、自分は美女とデートって訳か。
「おい、とっとと終わらせるぞ」
「あの、よろしくお願いしますっ!」
単純なもので、頼られるのは悪くないと思った。
