ちはやぶる
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千歌は本日、調理師の専門学校の日だ。
朝早く起きて、何やら支度をし始めたので、カカシも同じように起きる。
「あ!起こしちゃった!?ごめんねぇ、もっと寝てて良いのに…」
「いや、平気。いつも早めに起きてるし」
職業柄、この物音の中寝続けるのは難しいということは黙っておいた。
ご飯の用意をするというので、昨日と同じように手伝う。千歌は実に手際よくおかずを作ってはお弁当に詰めていた。カカシのお昼も同じようにお弁当をしてくれた。
昼は学校で、晩は普段はバイトなのだそうだが、今日までバイトは休みのため、夜ご飯は一緒に作る約束をする。
「それじゃ、これ合鍵だよ。冷蔵庫の中のものは好きに食べてもらっていいからね!あと近所ならお散歩大丈夫だから、日中は好きに過ごして」
「わかった」
「…」
「?」
玄関まで見送りに行くと、千歌が靴を履いて振り返った。注意事項に返事をしたものの、何やら黙ってしまったので、どうしたのだろうと小首を傾げる。
「あのね、カカシくん。行ってきます!」
「い、いってらっしゃい」
「!…えへへー」
どうやらいってらっしゃい待ちだったようだ。なんかこの人、オレより子供っぽい…と手を振り返す。
さて、ひとまず掃除をして、それから散歩にでも出かけよう。
昨日道具の場所は聞いておいたので、お風呂、トイレ、リビング、台所とすすめていく。
すると、
「あ」
台所の冷蔵庫横に、お弁当が二つ並べておいてある。
「千歌さん、これ忘れ物…」
良い大人だし、ご飯は買ってたべても良いだろうと持ち上げた弁当を元の位置に戻す。
しかし、先程嬉しそうに「こっちがカカシくんのね!おかずおそろいだよー!」と笑っていた姿を思い出す。
「仕方ないか」
口寄せができるか疑問だったが、やってみるとできた。パックンがカカシの姿と部屋を見て仰天している。
「こりゃどーゆーこっちゃ!?」
「んー、説明すると長くなるんだけど」
かいつまんで事情を説明。ついで、弁当を家主に届けたい旨も伝えると、パックンは何やら嬉しそうに了承してくれた。
時間を見て(昨日教えてもらった)、自分の弁当も一緒に持っていく。
パックンはあっという間ににおいをたどり、学校についた。カカシは、玄関から入るには大人への説明が面倒そうだと考え、窓越しに千歌の姿を探す。
千歌は三階の窓近くにいたので、顔を覗かせる。
ちょうどお弁当が無いことに気がついたのか、手提げの中を探って水筒だけを机に置いた。
友人二人に「あー、お弁当せっかく作ったのにぃ」と愚痴りながら水筒に口をつけた。
その瞬間に少し動いて見せると、こちらに気づいたようだ。
「ブッバーー!」
「ぎゃ!ちょっと!千歌!!」
「ごごごごご、ごめーん!」
流石に逆さになったカカシに驚いたのか、お茶を吹き出した千歌。カカシは苦笑いしつつ、隣の空き教室を指差した。
意図は伝わったようで、すぐに駆けつけた千歌が窓を開けてくれる。
「ちょ、ちょっと!カカシくん!今さかさ、さかさまにっ」
「ん?あぁ、チャクラ使ったらこーやって壁歩きとかもできる」
「ぉおおおお、おりてー!あぶあぶあぶ、危ないよぉ!!」
あまりに慌てるので、少し面白くなってからかってしまった。千歌は目を白黒させながら、おりてきたカカシを抱きしめた。
「ちょ!千歌さん?!」
「びっくりしたぁ!落ちちゃうかと」
「へ、平気だよ…」
照れ臭いけど、無理に離れたいとは思えず、カカシはじっと固まる。
すると、教室の外から足音がして、先程千歌と机を合わせていた二人が現れた。
「千歌ー?どした?」
「あれ?その子は?」
千歌はビクッとなって慌てて身体をはなし、カカシを隠すように立ち上がった。「あ、えっと、この子はぁ」と思考がまとまらないようだ。
守ってもらえる嬉しさもあるけど、子ども扱いを受けた気もするからモヤっともする。そんな複雑な感情を吐き出すようにふぅと小さくため息をつき、千歌の身体から顔だけを覗かせる。
「こんにちは。オレ、千歌さんの遠縁のカカシって言います。千歌さんがお弁当忘れたから届けにきたんです。一人で来たから驚いたみたいで」
「え、そーなの!てか可愛い!千歌似てないね」
「ほんと!美少年ー!ね、ボクも一緒にお弁当食べる?」
「こら!ちょっと!二人とも!」
「じゃあせっかくだから」
千歌が困っていたが、勇気を出してキュッと手を繋ぐ。
「いこ、千歌さん」
「うっ!くぅう!…わかった…」
*
手を握られ、ついキュンとしてしまう。
いこって、こんなに破壊力ある言葉だったっけ?
「カカシくんってお兄さんいる?」
友人二人が席をセッティングしてくれる間、カカシくんにこっそり聞いてみる。
「?…一人っ子だけど」
「そぉなの?」
こんなに可愛い甘え方ができるから、もしかして兄弟でもいたのではと推察したが、全く当てはまらなかった。
「千歌さんは?」
「私も一人っ子だよ」
「そっか…一緒だね」
フワリと微笑むカカシくんにドキッとしてしまう。これで7歳児とは、将来が末恐ろしい。
「はーい!準備オッケーだよー!」
「千歌、こっちでいい?」
「ありがと!」
席についてお弁当を皆で食べる。なぜか千歌のドジをふんだ話で盛り上がり、カカシくんが楽しそうに笑っているので止めるに止められず、とにかく恥をかき続ける昼休みになった。
食べ終わり、少し雑談をした後、「それじゃ、オレは帰ります」とカカシくんが立ち上がるので、千歌一人で出入り口まで送っていく。
「もー、窓からカカシくん見えた時は本当に心臓止まるかと思ったぁ」
「ごめん、あれが手っ取り早いかなって」
「もー…あ、そうだ。学校あと2時限で終わりなんだ。帰りに買い出しして帰るから、それまでには家に戻っててね」
ここまで迷いなくこれたカカシくんのことだ。結構遠くまで散歩と称して出掛けてしまいそうだ。念のためクギをさすと、「わーかってるよ」と嬉しそうだ。
「ね、リクエストある?食べたいもの」
「ん?んー、魚料理とか」
「わかった!じゃあ美味しいの一緒に作ろっ」
「ん、じゃああとで」
カカシくんはスッと手をあげると、いきなり消えた。またビックリしたが、忍ってすごいなと感心してしまう。
「(…あれ、てかさっきの会話、カップルみたい…)」
いやいやいや、私ってば一体何を考えて…相手はいくら大人びてても7歳児!7歳児なんだから!
慌てて自分の頬をぶった千歌だった。
