◆第二章◆『レベル1のプラグイン』
無事にバグの修正を終え、クリーチャーの脅威が去った俺たちは、再びあの黄色いソケットケーブルを潜り、アスタリスクへと戻ってきた。
ゲートを跨いで床の感触が足の裏に戻ってきた瞬間、正面の壁に寄りかかってタバコを吹かしている見慣れた人影が目に入った。
「やっと戻ったか」
塁さんだった。
彼はイヤホン型の端末を耳に引っ掛けたまま、気怠げに俺たちを見下ろしている。勝手に出歩いた俺たちを待ち伏せしていたのだろう。
「る、塁さん……あの、これは……」
ルール違反を犯した自覚がある俺は、思わず身構えて言葉を詰まらせた。だけど、塁さんは怒る風でもなく、ふぅ、と煙を吐き出す。
「どうせ真珠の『
塁さんの口調には、心配の色のカケラもなければ、お咎めをしようという気配すら一切なかった。あまりの拍子抜けさに、俺は首を傾げて思わず問いかける。
「……あの、塁さん。勝手に出歩いたことに怒りにきたんじゃ…」
「いいや?今回の外出はただ護衛に付いて行っただけだろ?俺は渡し忘れたコレを渡しに来ただけ」
塁さんは白衣のポケットから、透明なカプセル型のケースを放り投げてきた。慌てて両手でキャッチして中を見ると、そこには真珠さんがさっきくれたのと同じ、食事代わりのタブレットが入ったカプセル型の入れ物。
「頭使って腹減ってんだろ。じゃ、俺は戻るから」
それだけ言うと、塁さんは背中を向けてひらひらと手を振り、自分の
どこまでも
俺は手元のカプセルを見つめながら、ぽつりと呟いた。
「真珠さんの仕事ってさっき言ってたあのクリーチャーを倒すことだったんだな」
「そうだよ!アスタリスクの安全を守る戦闘員の大事なお仕事!」
真珠さんは胸を張り、それから俺に一歩近づいて、声を弾ませて悪戯っぽく囁いた。
「だからね、私と一緒なら、いつでも異世界に遊びに――あっ!違う違う!お仕事と、トレーニングのための魔物討伐に行けるからね!」
(……本音が漏れてるなぁ)
どうやら彼女にとって、異世界への外出は密かな
でも、彼女が一緒なら、この未知だらけの世界でも退屈することだけは絶対になさそうだ。
「分かった。……じゃあ、明日からもよろしく、真珠さん」
俺は真珠さんに向けて右手を差し出した。
真珠さんは一瞬だけ嬉しそうに目を見開くと、その両手で、俺の手を包み込むようにギュッと握り締めた。
「うん!こちらこそよろしくね、侑李君!」
繋いだ手から伝わってくる、優しくて温かい体温。
この