◆第二章◆『レベル1のプラグイン』
黄色い光の道を真珠さんに引かれながら、俺は周囲を流動していくプログラミングの文字列に視線を這わせた。
やっぱり解析能力をわざわざ意識して起動しなくても、このソケットケーブルのコードが何を意味しているのかが手に取るように分かった。
(……なるほど。この軌道、長さ、それから……)
ソケットケーブルのコードは、この道を利用する者に対して、一種の
通りで、さっきから息苦しさを一瞬たりとも感じないわけだ。自分の体の構造や端末の役割にプログラマーと言われた
「着いたよ、侑李君!」
真珠さんが浮遊する身体を止め、繋いでいた手をそっと離した。
そこは、
ここが、あらゆる異世界へと繋がる分岐点なのだろう。
真珠さんは自分のイヤホン型端末に指先で触れ、目の前に複数のホログラム画面を展開した。
「さてさて、今日はどの異世界に冒険に行こうかなー?」
画面に映し出される未知の世界のデータを、真珠さんは本当に楽しそうに眺めている。だけど、俺の脳裏にはさっき廊下で塁さんから言われた絶対ルールがこびりついていた。
「あの、真珠さん。さっき塁さんが、異世界の住人と必要以上に交流しちゃダメって…上の許可なく勝手に異世界に行くなって……」
「大丈夫!これは戦闘員の『特訓』だもの!」
真珠さんは振り返り、悪びれもしない笑顔で言い切った。
「いろんな世界の魔物と戦って経験を積まなきゃ戦闘員として仕事にならないでしょ?だからこれは護衛としての正当なスキルアップ業務なのです!」
ユイさんからはただ「侑李の護衛」としか頼まれていない真珠さんにとって、この外出は彼女なりのルーティンであり、戦闘員としての訓練の
「んー、決めた!今回は『初心者コース』のここにしようかっ!」
真珠さんがホログラムの画面を
「楽しんでくれると嬉しいな。行こっか!」
「うわ、ちょっと――!」
真珠さんは躊躇うことなく、無重力空間を滑るようにして、新しくできた道の奥へと体を押し進めた。引っ張られる俺たちの体が、光の筒の中を加速していく。進むにつれて、道の
だけど、その先はあまりにも強烈な純白の光に満たされていて、向こう側に何があるのかは全く見えない。
真珠さんはその光の壁の前でスピードを緩めるどころか、むしろ楽しそうに、さらに速度を上げた。抵抗する間もなく、俺は彼女に手を引かれるまま、眩い光の渦の中へと勢いよく飛び込んだ――。