及川の偽装工作
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✜✜✜✜✜✜✜
「監督、お疲れ様です。」
「あ、岩泉さん、お久しぶりです。」
正月の時代劇ドラマ『光源氏』の撮影現場、休憩中 縁下監督に声を掛ける。
「ご無沙汰してます。
うちの及川がいつもお世話になってます。
皆さんにご迷惑お掛けしてないですか?」
俺はイケメン(←と、つけたくないが……) 俳優 及川徹の所属するSEIJYOプロダクションの主任マネージャー 岩泉 一。
ここの所 担当していた及川を放置し、売り出し中の新人俳優・国見に着いていたこともあり、久々 抜き打ちでヤツの現場を覗きにきた。
ちゃんとやってなかったら、今夜きっちり絞めてやる!
「迷惑だなんて、そんな!
今回、主役ってこともあって、しっかりやってくれてますよ。
及川さんの存在自体、リアル『光源氏』ですからね。
現場もそれに引っ張られて、撮影も順調。
うちの女性スタッフ達も夢中になっちゃって、これから正月の放送が楽しみですよ。」
とりあえず、縁下監督の受けも上々。
必要以上に女性スタッフに愛嬌振り撒くのは余計だが……
「ありがとうございます。」
俳優として10年以上やってる中堅なんだ。
ま、俺が着いてなくてもきちっと仕事してるってことか。
今夜は事務所で説教せずに済みそうだ……
ホッと胸を撫で下ろす。
今後はアイツに新入社員の金田一を同行させ、俺は国見メインでマネージメントしていけばいいか。
一人で今後の計画を立てながら、楽屋へと向かう。
すると、楽屋のドアが少し開き、中から及川の声が漏れてきた。
誰かと話をしているらしい。
「えぇ?
どこの製品か、わかんないのぉ?!
ちょっと……何年この業界にいるのさ。
マッキーがわかんなかったら、知ってそうなヤツに聞いてよ。」
相手の声が聞こえないってことは電話か……
電話の相手は恐らく スタイリストの花巻だろう。
また入手困難なブランドの商品でも手配してくれと、無茶振りしているのは手に取るようにわかった。
「ん?
週刊誌の画像が不鮮明で確認しにくい?
じゃ、トーク番組の録画 見直してよ。
それでも難しいなら、彼女のスタイリストにそれとなく聞いてみるとかさ。
うん、うん……頼むよ~
今度、美味しいシュークリーム奢るから!」
『週刊誌』?
そのキーワードでピンときた。
及川が10年間 片想いしてる烏野事務所 所属女優 平岩 夏乃を取り上げた今日発売の週刊誌の記事を思い出す。
仕事でもあまりアクセサリーを身に付けない 平岩 夏乃が珍しくトーク番組に出演していた際、
右手薬指にしていたシルバーのデザインリングが話題になっていた。
記事の最後は『彼氏からのプレゼントでは?』なんて言葉で締め括られていたな……
単純なアイツの事だ。
自分も同じ物を手に入れて……
『平岩 夏乃の噂の彼は俺なんだよ~』
と世間に見せつけたいのだろう。
考えただけでも虫酸が走る。
っていうか、アイツも10年間もアタックしても脈ねぇんだから、いい加減気付けっての。
そんなくだらない事に付き合わされる花巻にマジで同情する。
どんなに美味いシュークリーム奢られるとしても、到底 割に合わねぇ雑用……クソ雑用だ。
「うん、うん……
俺、マッキーの事 信じてるから。
うん、良い報告 待ってる!
じゃあねっ★」
話が終わったのだろう。
及川は御機嫌なのか、軽やかな鼻歌が聞こえてくる。
それにしてもアイツ、自分でそんな偽装工作に走るなんて虚しくならねぇのか?
あまりにも女々し過ぎる。
そんなだから、 平岩 夏乃に振り向いてもらえねぇんだろうが!
アイツのファンには申し訳ないが、本当にクソ野郎……
いや、うんこ野郎だ。
「仕事に集中出来てない、たるんでる証拠だな……
やっぱ、今夜は正座させて説教だ。」
こうなったら、アイツの性根を叩き直してやる。
そう心に決め、俺は楽屋のドアノブを握り締めた。
2018.12.11
Web拍手お礼小話として公開
「監督、お疲れ様です。」
「あ、岩泉さん、お久しぶりです。」
正月の時代劇ドラマ『光源氏』の撮影現場、休憩中 縁下監督に声を掛ける。
「ご無沙汰してます。
うちの及川がいつもお世話になってます。
皆さんにご迷惑お掛けしてないですか?」
俺はイケメン(←と、つけたくないが……) 俳優 及川徹の所属するSEIJYOプロダクションの主任マネージャー 岩泉 一。
ここの所 担当していた及川を放置し、売り出し中の新人俳優・国見に着いていたこともあり、久々 抜き打ちでヤツの現場を覗きにきた。
ちゃんとやってなかったら、今夜きっちり絞めてやる!
「迷惑だなんて、そんな!
今回、主役ってこともあって、しっかりやってくれてますよ。
及川さんの存在自体、リアル『光源氏』ですからね。
現場もそれに引っ張られて、撮影も順調。
うちの女性スタッフ達も夢中になっちゃって、これから正月の放送が楽しみですよ。」
とりあえず、縁下監督の受けも上々。
必要以上に女性スタッフに愛嬌振り撒くのは余計だが……
「ありがとうございます。」
俳優として10年以上やってる中堅なんだ。
ま、俺が着いてなくてもきちっと仕事してるってことか。
今夜は事務所で説教せずに済みそうだ……
ホッと胸を撫で下ろす。
今後はアイツに新入社員の金田一を同行させ、俺は国見メインでマネージメントしていけばいいか。
一人で今後の計画を立てながら、楽屋へと向かう。
すると、楽屋のドアが少し開き、中から及川の声が漏れてきた。
誰かと話をしているらしい。
「えぇ?
どこの製品か、わかんないのぉ?!
ちょっと……何年この業界にいるのさ。
マッキーがわかんなかったら、知ってそうなヤツに聞いてよ。」
相手の声が聞こえないってことは電話か……
電話の相手は恐らく スタイリストの花巻だろう。
また入手困難なブランドの商品でも手配してくれと、無茶振りしているのは手に取るようにわかった。
「ん?
週刊誌の画像が不鮮明で確認しにくい?
じゃ、トーク番組の録画 見直してよ。
それでも難しいなら、彼女のスタイリストにそれとなく聞いてみるとかさ。
うん、うん……頼むよ~
今度、美味しいシュークリーム奢るから!」
『週刊誌』?
そのキーワードでピンときた。
及川が10年間 片想いしてる烏野事務所 所属女優 平岩 夏乃を取り上げた今日発売の週刊誌の記事を思い出す。
仕事でもあまりアクセサリーを身に付けない 平岩 夏乃が珍しくトーク番組に出演していた際、
右手薬指にしていたシルバーのデザインリングが話題になっていた。
記事の最後は『彼氏からのプレゼントでは?』なんて言葉で締め括られていたな……
単純なアイツの事だ。
自分も同じ物を手に入れて……
『平岩 夏乃の噂の彼は俺なんだよ~』
と世間に見せつけたいのだろう。
考えただけでも虫酸が走る。
っていうか、アイツも10年間もアタックしても脈ねぇんだから、いい加減気付けっての。
そんなくだらない事に付き合わされる花巻にマジで同情する。
どんなに美味いシュークリーム奢られるとしても、到底 割に合わねぇ雑用……クソ雑用だ。
「うん、うん……
俺、マッキーの事 信じてるから。
うん、良い報告 待ってる!
じゃあねっ★」
話が終わったのだろう。
及川は御機嫌なのか、軽やかな鼻歌が聞こえてくる。
それにしてもアイツ、自分でそんな偽装工作に走るなんて虚しくならねぇのか?
あまりにも女々し過ぎる。
そんなだから、 平岩 夏乃に振り向いてもらえねぇんだろうが!
アイツのファンには申し訳ないが、本当にクソ野郎……
いや、うんこ野郎だ。
「仕事に集中出来てない、たるんでる証拠だな……
やっぱ、今夜は正座させて説教だ。」
こうなったら、アイツの性根を叩き直してやる。
そう心に決め、俺は楽屋のドアノブを握り締めた。
2018.12.11
Web拍手お礼小話として公開
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