苛立ち
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◆◆◆◆◆◆◆
「じゃ、今日の授業はこれで終わる。
お前ら、さっさと着替えて 次の授業遅れんなよ!」
体育教師はそう言うと、タイミングよくチャイムが鳴った。
「誰だよ、1時間目 体育にしたの……」
「あっちぃーーー。」
サッカーでグランドを走り回り、皆 汗だく状態で昇降口へと向かう。
「あ……」
俺もその集団の中にいたが、朝練の時にタオルを置き忘れていたのを思い出した。
今日に限って予備のタオルを入れ忘れるという致命的なミスもしていて、今のうちに取りに行くしかない。
急げば、次の授業に間に合うはず。
「黒尾、どうした?」
突然 立ち止まった俺に驚いたクラスメイトが声を掛けてきた。
「体育館に忘れ物。
わりぃ……先、行っててくれ。」
そう言いながら、体育館へ向かう。
放課後まで放置なんかしてたら、何されるか わかったもんじゃない。
◆◆◆◆◆◆◆
「おっ……」
体育館の下駄箱の上に無造作に置かれたタオルは、今朝 置いたままの状態。
俺が来るのを大人しく待っていた。
「あった、あった。」
一人 ホッとしながら、それを掴んで流れ落ちる汗を拭っていると、体育館の中から誰かの声が聞こえてくる。
この時間、女子も授業が終わっているはず。
中をそっと覗くと、そこにはバドミントンのラケットを片付ける神谷の姿があった。
今日の片付け担当なのだろうか?
それにしても、今朝の電車の件といい、今の状況といい……
今日の俺、ツキまくりだな。
神様は俺の味方をしてくれているのか?!
一人でそんなことを考えていると、再び 神谷がブツブツ呟いている。
その声はとても小さく、何を言っているのかはわからない。
だが、何となく怒っている様子。
日頃、怒ることのない彼女……珍しいこともあるもんだ。
その光景をぼんやりと眺めていた俺の目の前で神谷は何十本ものラケットが入った籠を持った。
あらら。
ちょっと、あんなの 一人で持つなんて無謀なことしちゃって……
相変わらず、意地っ張りだこと。
俺は入り口でスニーカーを脱ぎ、足音を忍ばせて館内へと入り込む。
だが、彼女はそんな俺に気付く様子もない。
背を向けたまま、重そうな籠を手によろよろと歩き始める。
ここで俺が手伝ったら、どんな顔するだろう?
ちょっと驚かせてやろう!
イタズラするつもりで息を殺し、彼女の真後ろに近付いた瞬間、
「重過ぎ。
あーぁ……こんなとき、誰かが手伝ってくれたらいいのに。」
こんな呟きを漏らした。
……うわぁ。
ちょい、これ どうよ。
もう 運命としか、言い様がねぇだろ。
その瞬間、考えるよりも先に身体が動いていた。
彼女が手にしていた籠の持ち手を掴んでやると、ずっしりとした重みを感じる。
「ホントだよなー。
これ、女子が持つには重過ぎだわ。」
思ったことをそのまま口にした途端、彼女が凄い勢いでこっちを見上げた。
「俺のこと、呼んだ?」
その顔は今にも『どうして、ここにいるの?!』と言わんばかりの表情のまま、俺を凝視している。
「ど、どうして……ここに?」
想像した通りのことを呟く彼女が愛らしくて、思わず笑ってしまった。
「じゃ、今日の授業はこれで終わる。
お前ら、さっさと着替えて 次の授業遅れんなよ!」
体育教師はそう言うと、タイミングよくチャイムが鳴った。
「誰だよ、1時間目 体育にしたの……」
「あっちぃーーー。」
サッカーでグランドを走り回り、皆 汗だく状態で昇降口へと向かう。
「あ……」
俺もその集団の中にいたが、朝練の時にタオルを置き忘れていたのを思い出した。
今日に限って予備のタオルを入れ忘れるという致命的なミスもしていて、今のうちに取りに行くしかない。
急げば、次の授業に間に合うはず。
「黒尾、どうした?」
突然 立ち止まった俺に驚いたクラスメイトが声を掛けてきた。
「体育館に忘れ物。
わりぃ……先、行っててくれ。」
そう言いながら、体育館へ向かう。
放課後まで放置なんかしてたら、何されるか わかったもんじゃない。
◆◆◆◆◆◆◆
「おっ……」
体育館の下駄箱の上に無造作に置かれたタオルは、今朝 置いたままの状態。
俺が来るのを大人しく待っていた。
「あった、あった。」
一人 ホッとしながら、それを掴んで流れ落ちる汗を拭っていると、体育館の中から誰かの声が聞こえてくる。
この時間、女子も授業が終わっているはず。
中をそっと覗くと、そこにはバドミントンのラケットを片付ける神谷の姿があった。
今日の片付け担当なのだろうか?
それにしても、今朝の電車の件といい、今の状況といい……
今日の俺、ツキまくりだな。
神様は俺の味方をしてくれているのか?!
一人でそんなことを考えていると、再び 神谷がブツブツ呟いている。
その声はとても小さく、何を言っているのかはわからない。
だが、何となく怒っている様子。
日頃、怒ることのない彼女……珍しいこともあるもんだ。
その光景をぼんやりと眺めていた俺の目の前で神谷は何十本ものラケットが入った籠を持った。
あらら。
ちょっと、あんなの 一人で持つなんて無謀なことしちゃって……
相変わらず、意地っ張りだこと。
俺は入り口でスニーカーを脱ぎ、足音を忍ばせて館内へと入り込む。
だが、彼女はそんな俺に気付く様子もない。
背を向けたまま、重そうな籠を手によろよろと歩き始める。
ここで俺が手伝ったら、どんな顔するだろう?
ちょっと驚かせてやろう!
イタズラするつもりで息を殺し、彼女の真後ろに近付いた瞬間、
「重過ぎ。
あーぁ……こんなとき、誰かが手伝ってくれたらいいのに。」
こんな呟きを漏らした。
……うわぁ。
ちょい、これ どうよ。
もう 運命としか、言い様がねぇだろ。
その瞬間、考えるよりも先に身体が動いていた。
彼女が手にしていた籠の持ち手を掴んでやると、ずっしりとした重みを感じる。
「ホントだよなー。
これ、女子が持つには重過ぎだわ。」
思ったことをそのまま口にした途端、彼女が凄い勢いでこっちを見上げた。
「俺のこと、呼んだ?」
その顔は今にも『どうして、ここにいるの?!』と言わんばかりの表情のまま、俺を凝視している。
「ど、どうして……ここに?」
想像した通りのことを呟く彼女が愛らしくて、思わず笑ってしまった。