視線
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そういえば、昨夜 一緒に帰るときも「家まで送る」って言ってくれていたけど……
私、社交辞令だと思っていた。
だけど、黒尾くんはそんなつもりじゃなくて、本当に本心から「送る」って言ってくれていたってこと?
「はい。
変質者に出くわすこともなく、無事に……」
そのことに一人 戸惑っていると、
「そう……そりゃよかった。
ところで、さ……」
彼は本当に安堵した様子で再び微笑む。
黒尾くんって、こんな人だったっけ?
彼の顔をぼんやり見上げていると、大きな右手が私の顔へと向かってくる。
突然のことに驚いて、近付くその手を見つめたまま身動き出来ず……
「あ……」
情けない声を挙げるだけで精一杯。
彼の手は直立不動で固まっている私の前髪に軽く触れた後、さっきぶつけた箇所を指先でちょんとつつく。
「いっ……」
その瞬間、額にジンと痺れるような痛みが走る。
「あ、ごめん。
結構 派手にぶつけたから腫れてるな……」
どうやら、彼はホームルームでの光景を目撃していたようだ。
「ま、生きてるって証拠だな……」
「……はぁ。」
恥ずかしさと痛みで居たたまれない気分の中、両目を閉じると、
「神谷……そのハンカチ、貸して。」
そう言いながら、私が掴んでいたハンカチを奪い取った。
ソッと目を開くと同時に額に湿らせたハンカチで押さえ込まれ、さっきよりも強い激痛に襲われる。
「いたっ!」
無意識に押さえ込まれた黒尾くんの手を掴むが、男の子に敵うはずもなく……
「はいはい、無駄な抵抗しなーい。
痛いけど、ちょい我慢な。
ちゃんと冷やしとかないと……」
その言葉と共に抵抗を試みた私の手は簡単に剥がされてしまった。
「く……黒尾くん!
じ、自分でするからっ!!」
それでもジタバタハンカチを奪おうとしていると、ムッとした黒尾くんが更にハンカチを押さえ付け、
「だーめ。
神谷のことだから、『痛みが無くなってから冷やそう』とか思ってるだろ?」
私の行動がわかるのか、予言者の如く言い当てた。
「えっ?」
何故、わかった?
思わず、彼の顔を見つめると、
「図星だろー?
神谷ってば、わかり易いの。」
得意気にニッと笑う。
「わ、わかり易い?」
「わかり易い(笑)」
「………………」
ショック。
私、そんなにわかりやすいの?
顔がすぐ赤くなるから?
その言葉に動揺していると、おでこのハンカチをひっくり返される。
痛いけど、ハンカチのひんやりとした湿り気が火照る熱を奪う。
……気持ちいい。
再び、両目を閉じて感じ入っていると、どこからともなくチャイムの音が聞こえてくる。
授業、始まるな……
ソッと目蓋を開くと、数センチ目の前に黒尾くんの顔。
驚きのあまり、声も出ず……
そのまま彼の顔を凝視していると、
「まだ、痛む?」
その視線の先は私の額に向かう。
黒尾くんは……ただ心配してくれただけなのに、私ってば何 意識してんだか!!
バカッ。
「だ、大丈夫です!」
私は慌てて、彼の手からハンカチを奪い、チャイムの鳴り止まない内に教室へと駆け込んだ。
私、社交辞令だと思っていた。
だけど、黒尾くんはそんなつもりじゃなくて、本当に本心から「送る」って言ってくれていたってこと?
「はい。
変質者に出くわすこともなく、無事に……」
そのことに一人 戸惑っていると、
「そう……そりゃよかった。
ところで、さ……」
彼は本当に安堵した様子で再び微笑む。
黒尾くんって、こんな人だったっけ?
彼の顔をぼんやり見上げていると、大きな右手が私の顔へと向かってくる。
突然のことに驚いて、近付くその手を見つめたまま身動き出来ず……
「あ……」
情けない声を挙げるだけで精一杯。
彼の手は直立不動で固まっている私の前髪に軽く触れた後、さっきぶつけた箇所を指先でちょんとつつく。
「いっ……」
その瞬間、額にジンと痺れるような痛みが走る。
「あ、ごめん。
結構 派手にぶつけたから腫れてるな……」
どうやら、彼はホームルームでの光景を目撃していたようだ。
「ま、生きてるって証拠だな……」
「……はぁ。」
恥ずかしさと痛みで居たたまれない気分の中、両目を閉じると、
「神谷……そのハンカチ、貸して。」
そう言いながら、私が掴んでいたハンカチを奪い取った。
ソッと目を開くと同時に額に湿らせたハンカチで押さえ込まれ、さっきよりも強い激痛に襲われる。
「いたっ!」
無意識に押さえ込まれた黒尾くんの手を掴むが、男の子に敵うはずもなく……
「はいはい、無駄な抵抗しなーい。
痛いけど、ちょい我慢な。
ちゃんと冷やしとかないと……」
その言葉と共に抵抗を試みた私の手は簡単に剥がされてしまった。
「く……黒尾くん!
じ、自分でするからっ!!」
それでもジタバタハンカチを奪おうとしていると、ムッとした黒尾くんが更にハンカチを押さえ付け、
「だーめ。
神谷のことだから、『痛みが無くなってから冷やそう』とか思ってるだろ?」
私の行動がわかるのか、予言者の如く言い当てた。
「えっ?」
何故、わかった?
思わず、彼の顔を見つめると、
「図星だろー?
神谷ってば、わかり易いの。」
得意気にニッと笑う。
「わ、わかり易い?」
「わかり易い(笑)」
「………………」
ショック。
私、そんなにわかりやすいの?
顔がすぐ赤くなるから?
その言葉に動揺していると、おでこのハンカチをひっくり返される。
痛いけど、ハンカチのひんやりとした湿り気が火照る熱を奪う。
……気持ちいい。
再び、両目を閉じて感じ入っていると、どこからともなくチャイムの音が聞こえてくる。
授業、始まるな……
ソッと目蓋を開くと、数センチ目の前に黒尾くんの顔。
驚きのあまり、声も出ず……
そのまま彼の顔を凝視していると、
「まだ、痛む?」
その視線の先は私の額に向かう。
黒尾くんは……ただ心配してくれただけなのに、私ってば何 意識してんだか!!
バカッ。
「だ、大丈夫です!」
私は慌てて、彼の手からハンカチを奪い、チャイムの鳴り止まない内に教室へと駆け込んだ。