天使と悪魔
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◇◇◇◇◇◇◇◇
初めて見る光景に完全に引いてしまっている私とは対照的に、
「ねぇ、ちょっと聞くんだけど、どうしてチューしちゃったのかな?
謝るより前に南雲は理由が知りたいんだって。」
中野森さんは彼の前にしゃがみ込むと、私の代わりに理由を尋ね始めた。
すると、彼はゆっくりと頭を上げ、しばらく考え込んでいる。
「ねぇ、ただチューしたかっただけなの?
怒らないから、教えてもらえる?」
彼女の優しい口調で更に怖くなる。
私以上に怒っているのを知っているから余計にそう感じた。
彼の答える内容次第で彼女の態度は急変するだろう。
すると、彼は大きく首を振り、不安そうな表情で私を見上げた。
「違います。」
彼の目には薄っすらと涙が浮かび、それが何とも可哀想で……
思わず、彼から目を背けてしまった。
何だか、弱い者いじめしているみたいで、この状況が嫌だ。
「ん……
何がどう違うの?
でも、南雲としたじゃない。
誰でも良かったんでしょ?」
彼女は彼をどんどん追い詰めていく。
「だから、違います!
誰でも良かった訳じゃないです……」
「じゃ、その理由……聞かせてもらえる?
私達が納得出来るまで。」
「わかりました。
……お話します。」
理由を知りたいと言ったのは私だけど、もうこれ以上、彼の話を聞きたくなかった。
思わず、保健室から出ようかと後退りをしようとした瞬間、
「信じてもらえないかもしれないけど、俺……南雲さんのこと、初めて見たときから好きで……」
突然、告白された。
反らしていた視線は再び、顔を真っ赤に染める彼に向けてしまう。
「今日、ぶつかったとき……南雲さんの顔を見ていたら、つい……顔が近付いちゃって……」
私……
生まれて初めて、誰かから好きって言われた。
途端に全身がカッと熱くなる。
多分、顔も耳も彼と同じように真っ赤になっているに違いない。
「それでチューしちゃったんだ。
でもさ、君 順序 間違ってるよね?
普通 告白して、お互いのことを知り合ってからじゃない?」
「ですよね……」
彼は苦笑いしながら、私を見つめると、
「南雲さん、本当にごめん。」
姿勢を正して一礼した。
「謝って済むことじゃないとは思うけど、俺……君が好きなんだ。
こんなときにどうかしてるって思うかもしれないけど、俺と付き合ってください!」
真剣な表情の彼は、再び 私に向けて土下座をしてきた。
だが、いつまで経っても彼は頭を上げる様子がない。
恐らく、私からの答えを聞くまでは上げるつもりがないのだろう。
中野森さんはさっきまでの冷たい態度から一変。
仕方ないな……と言わんばかりに苦笑して、私に視線を送ってきた。
「ねぇ、南雲。
理由はわかったけど、アンタはどうすんの?
彼は謝ったし、告白もした。
今度はアンタが答える番だよ。」
私はその言葉に頷くと、彼の前に座り込んだ。
「頭を上げてください。」
彼の肩に手をやり、ゆっくりと上体を起こすと、赤面する彼が俯いたまま固まっていた。
額からはダラダラと汗を流し、緊張しているのが伝わる。
その様子が何だか可愛く思えて、つい微笑んでしまう。
「あの、名前……聞いてもいいですか?」
私は彼のことを知らない。
「縁下、力です……」
彼は更に顔を赤くして、掠れた声で名乗った。
「縁下くん……
まずはお友達から始めませんか?」
ここから始めよう。
彼は私を『好き』 と言ってくれたから……
私も彼のことを理解して、人として『好き』 になれるか、努めたい。
「多分、私達……いきなり付き合っても お互いのこと知らないから、すぐダメになると思うんだ。
私を『好き』 って言ってくれたけど……
私のこと、知ったら幻滅しちゃうかもしれな……」
「俺……幻滅なんてしない。」
私の言葉を遮るように彼はこちらを真っ直ぐ見据えて、そう言った。
「その反対に南雲さんのこと、どんどん好きになると思うから。」
その瞬間、私の心臓は生きてきた中で一番ドキドキと鼓動した。
単純と笑われるかもしれないが、この時点で私は縁下くんにときめいてしまっていた。
「もう……ここ熱い!」
それを聞いていた中野森さんは、自分の頭をガシガシと掻きながら、
「私は教室に戻るから、後は若いお二人でよろしくやってちょうだい。」
悪態をついて保健室を出ていく。
「中野森さん!」
その後を追うように、保健室から出て彼女に声を掛けた。
「ありがとう。」
私は礼を言うとゆっくり頭を下げる。
保健室に来るまで いろいろとあったけど、彼女がいなかったら、こんな展開にならなかっただろう。
「私がいないからって、ベッドでチュー以上のこととか止めてよね~」
「大丈夫。
しませんから。」
「またまた……
南雲は情に絆されそうなタイプだからな……」
「その勝手な決め付け止めてください!
私達、始まりはこんな感じですけど、まだお友達ですから。
勢いに乗ったりしませんから。」
「またまた……」
今日一日でいろんな中野森さんを見た気がする。
クールで落ち着いていたり、
姉御のように面倒見てくれたり、
突然 オジサンみたいに怒ったり、
人が変わったみたいに暴走したり、
天使と悪魔の両極が混在する不思議なあなたと友達になれて……
私は幸せです。
初めて見る光景に完全に引いてしまっている私とは対照的に、
「ねぇ、ちょっと聞くんだけど、どうしてチューしちゃったのかな?
謝るより前に南雲は理由が知りたいんだって。」
中野森さんは彼の前にしゃがみ込むと、私の代わりに理由を尋ね始めた。
すると、彼はゆっくりと頭を上げ、しばらく考え込んでいる。
「ねぇ、ただチューしたかっただけなの?
怒らないから、教えてもらえる?」
彼女の優しい口調で更に怖くなる。
私以上に怒っているのを知っているから余計にそう感じた。
彼の答える内容次第で彼女の態度は急変するだろう。
すると、彼は大きく首を振り、不安そうな表情で私を見上げた。
「違います。」
彼の目には薄っすらと涙が浮かび、それが何とも可哀想で……
思わず、彼から目を背けてしまった。
何だか、弱い者いじめしているみたいで、この状況が嫌だ。
「ん……
何がどう違うの?
でも、南雲としたじゃない。
誰でも良かったんでしょ?」
彼女は彼をどんどん追い詰めていく。
「だから、違います!
誰でも良かった訳じゃないです……」
「じゃ、その理由……聞かせてもらえる?
私達が納得出来るまで。」
「わかりました。
……お話します。」
理由を知りたいと言ったのは私だけど、もうこれ以上、彼の話を聞きたくなかった。
思わず、保健室から出ようかと後退りをしようとした瞬間、
「信じてもらえないかもしれないけど、俺……南雲さんのこと、初めて見たときから好きで……」
突然、告白された。
反らしていた視線は再び、顔を真っ赤に染める彼に向けてしまう。
「今日、ぶつかったとき……南雲さんの顔を見ていたら、つい……顔が近付いちゃって……」
私……
生まれて初めて、誰かから好きって言われた。
途端に全身がカッと熱くなる。
多分、顔も耳も彼と同じように真っ赤になっているに違いない。
「それでチューしちゃったんだ。
でもさ、君 順序 間違ってるよね?
普通 告白して、お互いのことを知り合ってからじゃない?」
「ですよね……」
彼は苦笑いしながら、私を見つめると、
「南雲さん、本当にごめん。」
姿勢を正して一礼した。
「謝って済むことじゃないとは思うけど、俺……君が好きなんだ。
こんなときにどうかしてるって思うかもしれないけど、俺と付き合ってください!」
真剣な表情の彼は、再び 私に向けて土下座をしてきた。
だが、いつまで経っても彼は頭を上げる様子がない。
恐らく、私からの答えを聞くまでは上げるつもりがないのだろう。
中野森さんはさっきまでの冷たい態度から一変。
仕方ないな……と言わんばかりに苦笑して、私に視線を送ってきた。
「ねぇ、南雲。
理由はわかったけど、アンタはどうすんの?
彼は謝ったし、告白もした。
今度はアンタが答える番だよ。」
私はその言葉に頷くと、彼の前に座り込んだ。
「頭を上げてください。」
彼の肩に手をやり、ゆっくりと上体を起こすと、赤面する彼が俯いたまま固まっていた。
額からはダラダラと汗を流し、緊張しているのが伝わる。
その様子が何だか可愛く思えて、つい微笑んでしまう。
「あの、名前……聞いてもいいですか?」
私は彼のことを知らない。
「縁下、力です……」
彼は更に顔を赤くして、掠れた声で名乗った。
「縁下くん……
まずはお友達から始めませんか?」
ここから始めよう。
彼は私を『好き』 と言ってくれたから……
私も彼のことを理解して、人として『好き』 になれるか、努めたい。
「多分、私達……いきなり付き合っても お互いのこと知らないから、すぐダメになると思うんだ。
私を『好き』 って言ってくれたけど……
私のこと、知ったら幻滅しちゃうかもしれな……」
「俺……幻滅なんてしない。」
私の言葉を遮るように彼はこちらを真っ直ぐ見据えて、そう言った。
「その反対に南雲さんのこと、どんどん好きになると思うから。」
その瞬間、私の心臓は生きてきた中で一番ドキドキと鼓動した。
単純と笑われるかもしれないが、この時点で私は縁下くんにときめいてしまっていた。
「もう……ここ熱い!」
それを聞いていた中野森さんは、自分の頭をガシガシと掻きながら、
「私は教室に戻るから、後は若いお二人でよろしくやってちょうだい。」
悪態をついて保健室を出ていく。
「中野森さん!」
その後を追うように、保健室から出て彼女に声を掛けた。
「ありがとう。」
私は礼を言うとゆっくり頭を下げる。
保健室に来るまで いろいろとあったけど、彼女がいなかったら、こんな展開にならなかっただろう。
「私がいないからって、ベッドでチュー以上のこととか止めてよね~」
「大丈夫。
しませんから。」
「またまた……
南雲は情に絆されそうなタイプだからな……」
「その勝手な決め付け止めてください!
私達、始まりはこんな感じですけど、まだお友達ですから。
勢いに乗ったりしませんから。」
「またまた……」
今日一日でいろんな中野森さんを見た気がする。
クールで落ち着いていたり、
姉御のように面倒見てくれたり、
突然 オジサンみたいに怒ったり、
人が変わったみたいに暴走したり、
天使と悪魔の両極が混在する不思議なあなたと友達になれて……
私は幸せです。