天使と悪魔
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「縁下?
何、ぼんやりしてんだよ。」
中庭のベンチに腰掛けたまま、先程やらかしてしまった出来事を思い返している最中、
「焼きそばパン、食べねぇのかよ?
休憩終わるぞ。」
隣に座った木下が声を掛けてきた。
「えっ?」
ポケットに入れていたスマホを出し、時刻を確認すると予鈴が鳴る直前だった。
いつもなら、ペロッと平らげるのだが……今はそれどころではない。
彼女にキスした後……
最後に見た表情が忘れられず、一体何てことをしてしまったのかと自己嫌悪に陥る。
「ああ……何か、胸が一杯で……食べられそうにない。」
どの面 下げて、彼女のいる教室に戻ればいいのだろうか?
「気分でも悪いのか?
顔色も悪いし……保健室、行ってこいよ~」
「先生には俺から言っとくからさ。」
俺が憔悴している原因を知らない成田と木下はそう言うと、教室に戻っていく。
中庭に残った俺は、焼きそばパン片手にノロノロと歩きながら、保健室へと向かう。
……彼女は教室に戻っただろうか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あれ?
南雲……すごい汗だけど、どこまで行ってきたの?」
予鈴が鳴ると同時に教室へ戻った私は本当に酷い顔をしていたらしい。
私を見た瞬間、棒つきキャンディを舐めていた夏目ちゃんの表情が一変した。
「顔 真っ青だけど……大丈夫?」
「空井先生のとこ、行っていたにしては長かったじゃないの。
お昼は何か食べた?」
中野森さんも心配そうな顔をして、ヨレヨレの私を迎えてくれた。
「い、いろいろとありまして……食べてない!」
そう言いながら、自分の席に着くのがやっとだった。
「夏目、あんた 自分のクラスに帰んな。
先生、もう来るよ。」
「えぇっ、でも……私も南雲のこと、心配だよー。」
「私はあんたの成績が心配だよ。
ちゃんと授業受けてくれ。
私がおばさんに怒られる。
お願いだから、高校くらいは赤点無しで頑張ってよ。」
「わかった。
戻ればいいんでしょ?」
心配する夏目ちゃんを中野森さんが説き伏せるやり取りを聞きながら、机に突っ伏していると……
「先生、南雲さんが具合悪そうなんで、保健室で休ませたいんですけど……連れていっていいですか?
いいですよね?
ありがとうございまーす。」
再び、中野森さんの声が聞こえてきた。
どうやら、授業が始まる前に教室に来ていた先生を捕まえ、了承を得るや否や私の腕を掴むと教室を飛び出した。
「大丈夫……
私一人で行くから。
中野森さんは授業に戻っ……」
「あんた、嘘下手だね。
顔は『大丈夫じゃありません』 って書いてある。」
鋭い観察眼をお持ちの彼女には私に何かがあったことは、お見通しのようだ。
廊下を歩くスピードが少しずつゆっくりになり、中野森さんが小さな声で、
「もしかして、空井先生に何かされた?」
私の顔を見つめながら尋ねてきた。
「えっ?」
突然、訳のわからないことを言われ、面食らっていると……
「空井先生の南雲を見る目が他の子とちょっと違うから、気になっていたんだよね……
でも、大丈夫!
誰にも他言するつもりはないから。」
彼女は眼鏡のフレームを指で押さえながら、そうかそうかと頷いている。
どうやら、私と空井先生の間でトンでもないことが起こったと勘違いしているようだ。
「でも、教育委員会に訴えるって言うなら、私も着いていってあげ……」
「ちょっと、待った!」
それって……愛妻の弁当を食べている空井先生に失礼!
彼女は一人盛り上がって、完全に思い違いをしている。
このままじゃ、暴走しかねない(っていうか、してるね……)。
私は中野森さんの手を引き、近くにあった女子トイレへと連れ込んだ。
その妄想、早く止めなくては!
「何々……どうした?
気分でも悪い?」
誰もいないことを確認すると、一番奥の個室へ彼女を連れ込んで、
「そうじゃなくて……」
後ろ手に鍵をかけた。
狭い個室に洋式トイレと彼女と私という組み合わせ。
ミスマッチにも程があるが、今はそんなこと構っていられない。
私は中野森さんの両肩に手を置き、
「落ち着いて聞いてください。
中野森さんの考えてること、全然違うから。
先生とは何もないから……」
出来るだけ小さな声で呟いた。
刺激しないように、そっと……
だが、その瞬間……彼女の目が急に輝き、
「ふーん。
じゃあ、先生『とは』 何もないってことは、他の誰か『とは』 何かあったってこと?」
鋭い眼差しで私を見つめる。
それはまるで狙った獲物を追い詰める獣と同じ……
「南雲、本当のこと言わないとここから出さないからね~」
そう言って、今度は彼女が私の両肩に手を置く。
あっという間に形勢逆転してしまった。
「縁下?
何、ぼんやりしてんだよ。」
中庭のベンチに腰掛けたまま、先程やらかしてしまった出来事を思い返している最中、
「焼きそばパン、食べねぇのかよ?
休憩終わるぞ。」
隣に座った木下が声を掛けてきた。
「えっ?」
ポケットに入れていたスマホを出し、時刻を確認すると予鈴が鳴る直前だった。
いつもなら、ペロッと平らげるのだが……今はそれどころではない。
彼女にキスした後……
最後に見た表情が忘れられず、一体何てことをしてしまったのかと自己嫌悪に陥る。
「ああ……何か、胸が一杯で……食べられそうにない。」
どの面 下げて、彼女のいる教室に戻ればいいのだろうか?
「気分でも悪いのか?
顔色も悪いし……保健室、行ってこいよ~」
「先生には俺から言っとくからさ。」
俺が憔悴している原因を知らない成田と木下はそう言うと、教室に戻っていく。
中庭に残った俺は、焼きそばパン片手にノロノロと歩きながら、保健室へと向かう。
……彼女は教室に戻っただろうか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あれ?
南雲……すごい汗だけど、どこまで行ってきたの?」
予鈴が鳴ると同時に教室へ戻った私は本当に酷い顔をしていたらしい。
私を見た瞬間、棒つきキャンディを舐めていた夏目ちゃんの表情が一変した。
「顔 真っ青だけど……大丈夫?」
「空井先生のとこ、行っていたにしては長かったじゃないの。
お昼は何か食べた?」
中野森さんも心配そうな顔をして、ヨレヨレの私を迎えてくれた。
「い、いろいろとありまして……食べてない!」
そう言いながら、自分の席に着くのがやっとだった。
「夏目、あんた 自分のクラスに帰んな。
先生、もう来るよ。」
「えぇっ、でも……私も南雲のこと、心配だよー。」
「私はあんたの成績が心配だよ。
ちゃんと授業受けてくれ。
私がおばさんに怒られる。
お願いだから、高校くらいは赤点無しで頑張ってよ。」
「わかった。
戻ればいいんでしょ?」
心配する夏目ちゃんを中野森さんが説き伏せるやり取りを聞きながら、机に突っ伏していると……
「先生、南雲さんが具合悪そうなんで、保健室で休ませたいんですけど……連れていっていいですか?
いいですよね?
ありがとうございまーす。」
再び、中野森さんの声が聞こえてきた。
どうやら、授業が始まる前に教室に来ていた先生を捕まえ、了承を得るや否や私の腕を掴むと教室を飛び出した。
「大丈夫……
私一人で行くから。
中野森さんは授業に戻っ……」
「あんた、嘘下手だね。
顔は『大丈夫じゃありません』 って書いてある。」
鋭い観察眼をお持ちの彼女には私に何かがあったことは、お見通しのようだ。
廊下を歩くスピードが少しずつゆっくりになり、中野森さんが小さな声で、
「もしかして、空井先生に何かされた?」
私の顔を見つめながら尋ねてきた。
「えっ?」
突然、訳のわからないことを言われ、面食らっていると……
「空井先生の南雲を見る目が他の子とちょっと違うから、気になっていたんだよね……
でも、大丈夫!
誰にも他言するつもりはないから。」
彼女は眼鏡のフレームを指で押さえながら、そうかそうかと頷いている。
どうやら、私と空井先生の間でトンでもないことが起こったと勘違いしているようだ。
「でも、教育委員会に訴えるって言うなら、私も着いていってあげ……」
「ちょっと、待った!」
それって……愛妻の弁当を食べている空井先生に失礼!
彼女は一人盛り上がって、完全に思い違いをしている。
このままじゃ、暴走しかねない(っていうか、してるね……)。
私は中野森さんの手を引き、近くにあった女子トイレへと連れ込んだ。
その妄想、早く止めなくては!
「何々……どうした?
気分でも悪い?」
誰もいないことを確認すると、一番奥の個室へ彼女を連れ込んで、
「そうじゃなくて……」
後ろ手に鍵をかけた。
狭い個室に洋式トイレと彼女と私という組み合わせ。
ミスマッチにも程があるが、今はそんなこと構っていられない。
私は中野森さんの両肩に手を置き、
「落ち着いて聞いてください。
中野森さんの考えてること、全然違うから。
先生とは何もないから……」
出来るだけ小さな声で呟いた。
刺激しないように、そっと……
だが、その瞬間……彼女の目が急に輝き、
「ふーん。
じゃあ、先生『とは』 何もないってことは、他の誰か『とは』 何かあったってこと?」
鋭い眼差しで私を見つめる。
それはまるで狙った獲物を追い詰める獣と同じ……
「南雲、本当のこと言わないとここから出さないからね~」
そう言って、今度は彼女が私の両肩に手を置く。
あっという間に形勢逆転してしまった。