住めば都
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ、お昼ご飯持ってきてないからって、売店に行ってる。
おまけに空井先生に提出した書類の件で呼び出されていたから、遅くなるらしい。
だから、先に食べてって。」
黒髪でみつあみ、眼鏡というこれぞ『委員長』 スタイルの中野森さんは読んでいた本を閉じると、空いている椅子をその子の前に差し出す。
「じゃ、あたしと行き違いか。
知っていたら、売店 一緒に行ったのに!」
「ま、ゆっくり食べていたら、戻るよ。
そのうち……」
これから女子三人でランチタイムといったところだろうか。
……よかった。
あれから日が経つうちに、気心知れた仲間と打ち解けてきたようだ。
「どうした、縁下。」
突然、足を止めた俺がなかなか来ないのを心配したのか、成田が教室の戸口で怪訝な顔をしている。
その声で我に返り、慌てて教室を出た。
「ボーッとして大丈夫かよ。」
「すまん。」
彼女と出会ってから、一週間。
同じクラスになったっていうだけで彼女と親しくなれるはずもなく、
他に接点がある訳もなく……ただ時間だけが過ぎていく。
「なぁ、木下も誘う?」
「そうだな。」
俺達は隣のクラスを覗いて、暇そうにしていた同じバレー部の木下も誘い、男三人 並んで売店へと向かった。
昼食のピークを過ぎた売店は人も疎らで、パンも数えるくらいしか残っていない。
「お……珍しい。」
そんな中、滅多に残っていない焼きそばパンが売られていた。
『残り物には福来る』 って言うけど、何となくそんな気がして……
「すみません、これください。」
パンを選んでいる二人を尻目に俺はそれをひょいと掴むと、店番をしていた売店のおばちゃんに差し出す。
「120円ね。」
支払いを済ませると、
「おい、先に中庭行ってるからな。」
成田と木下に声を掛け、校舎を出た先にある中庭に向かって歩き出した。
廊下の窓は全開で、春の心地よい風が吹き込んでくる。
天気のいい今日は、中庭にも暖かな日射しが当たり、きっとぽかぽかだろうな……
そんな想像をしながら、校舎出口へ向かっていると出会い頭に何かとぶつかった。
「うわっ!」
その衝撃で俺の身体が背後に倒れた途端、
「キャッ!」
俺の上に誰かが勢いよく倒れ込む。
その瞬間、口元に柔らかな感触があることに驚き、思わず両目を開くと 目の前にあの南雲さんの顔があった。
その距離は今までにないほど近く、唇を寄せ合えばキスでも出来るんじゃないかって……
『チュッ……』
俺の唇に彼女の柔らかな唇が一瞬 触れ合う。
それと同時に彼女の顔が一気に赤らみ、俺の身体の上から凄いスピードで飛び起きた。
「ご、ごめんなさ……」
彼女はそう言い残し、教室の方へと逃げるように走っていく。
あ……
バカ、俺。
今、何やった?
無意識に唇を近付けてしまったせいか、俺から彼女の唇にキスをしてしまった。
自分が仕出かしたことに改めて気が付き、慌てて身体を起こすも 既に彼女の姿はどこにもない。
「『ごめんなさい』 は俺の台詞だよ……」
「あ、お昼ご飯持ってきてないからって、売店に行ってる。
おまけに空井先生に提出した書類の件で呼び出されていたから、遅くなるらしい。
だから、先に食べてって。」
黒髪でみつあみ、眼鏡というこれぞ『委員長』 スタイルの中野森さんは読んでいた本を閉じると、空いている椅子をその子の前に差し出す。
「じゃ、あたしと行き違いか。
知っていたら、売店 一緒に行ったのに!」
「ま、ゆっくり食べていたら、戻るよ。
そのうち……」
これから女子三人でランチタイムといったところだろうか。
……よかった。
あれから日が経つうちに、気心知れた仲間と打ち解けてきたようだ。
「どうした、縁下。」
突然、足を止めた俺がなかなか来ないのを心配したのか、成田が教室の戸口で怪訝な顔をしている。
その声で我に返り、慌てて教室を出た。
「ボーッとして大丈夫かよ。」
「すまん。」
彼女と出会ってから、一週間。
同じクラスになったっていうだけで彼女と親しくなれるはずもなく、
他に接点がある訳もなく……ただ時間だけが過ぎていく。
「なぁ、木下も誘う?」
「そうだな。」
俺達は隣のクラスを覗いて、暇そうにしていた同じバレー部の木下も誘い、男三人 並んで売店へと向かった。
昼食のピークを過ぎた売店は人も疎らで、パンも数えるくらいしか残っていない。
「お……珍しい。」
そんな中、滅多に残っていない焼きそばパンが売られていた。
『残り物には福来る』 って言うけど、何となくそんな気がして……
「すみません、これください。」
パンを選んでいる二人を尻目に俺はそれをひょいと掴むと、店番をしていた売店のおばちゃんに差し出す。
「120円ね。」
支払いを済ませると、
「おい、先に中庭行ってるからな。」
成田と木下に声を掛け、校舎を出た先にある中庭に向かって歩き出した。
廊下の窓は全開で、春の心地よい風が吹き込んでくる。
天気のいい今日は、中庭にも暖かな日射しが当たり、きっとぽかぽかだろうな……
そんな想像をしながら、校舎出口へ向かっていると出会い頭に何かとぶつかった。
「うわっ!」
その衝撃で俺の身体が背後に倒れた途端、
「キャッ!」
俺の上に誰かが勢いよく倒れ込む。
その瞬間、口元に柔らかな感触があることに驚き、思わず両目を開くと 目の前にあの南雲さんの顔があった。
その距離は今までにないほど近く、唇を寄せ合えばキスでも出来るんじゃないかって……
『チュッ……』
俺の唇に彼女の柔らかな唇が一瞬 触れ合う。
それと同時に彼女の顔が一気に赤らみ、俺の身体の上から凄いスピードで飛び起きた。
「ご、ごめんなさ……」
彼女はそう言い残し、教室の方へと逃げるように走っていく。
あ……
バカ、俺。
今、何やった?
無意識に唇を近付けてしまったせいか、俺から彼女の唇にキスをしてしまった。
自分が仕出かしたことに改めて気が付き、慌てて身体を起こすも 既に彼女の姿はどこにもない。
「『ごめんなさい』 は俺の台詞だよ……」