早朝の訪問者
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「南雲 つばさです。
どうぞ、よろしくお願いたします。」
まるで別人にでもなれるスイッチが入ってしまったかのよう……
動揺する様子もなく、堂々とした挨拶に一部の生徒は魅了されたようだ。
これで皆、『不審者』 捜しなど止めるはず……
何とか凌げたのではないか?
「では……
昨日も自己紹介は行いましたが、本日も再度 行いま……」
そう言いかけた次の瞬間、廊下側の列 前方に座る男子生徒が挙手をしながら、
「先生っ、南雲さんに質問があるのですが……」
好戦的な表情を浮かべ、ゆっくりと立ち上がった。
……恐らく、職員朝礼で言っていた探偵気取りで『不審者』 捜しに躍起になっている生徒だろう。
質問を『受け付けない』 ことも出来るが、下手に庇い立てすれば益々怪しむに違いない。
……ここは彼女に任せてみよう。
「南雲さん、彼がそう言ってますが、質問 聞いてみますか?」
「はい。
じゃ……どうぞ。」
一応、形式上そう尋ねると、彼女は頷きながら了承した。
すると、その男子生徒は口元をニヤリと笑わせ、周囲の生徒達に目配せをする。
「南雲さんは何故、昨日の入学式に出席してなかったのですか?
まさか、忘れていたんじゃないですよねぇ?」
質問された内容に、今まで静かだった生徒達がざわつき始めた。
とうとう始まってしまったか……
静かにするように注意をしようとしたが、
「私は……」
彼女は質問した男子生徒の方へ視線を向け、ゆっくりと口を開いた。
「忘れていた訳ではありません。
ただ、入学式の日付を間違えて覚えていて、入学式は今日だと思っていました。」
彼女の話を聞き、皆 ぽかんと口を開いた状態で呆気にとられている。
だが、質問した男子生徒だけは納得出来ない様子で、
「間違えていたって……
有り得なくないですか?
親が入学の手続きしたなら、間違うはずないんじゃないかと思うんだけど。」
食い下がるように質問を続けた。
マズい。
これ以上、彼女に複雑な家庭の話をさせる訳にはいかない。
もう答えなくていいと彼女に伝えようとしたが、既に遅かった。
「母は仕事で忙しくしていたので、入学の手続きは全て私が自分で行いました。
こちらに入学する前は東京にいたので、引っ越しの準備と重なってしまい、間違えて覚えてしまったようです。」
「でも、昨日 こっちにいたなら、入学式には出れたんじゃ……」
「昨日の朝、新幹線で東京からこちらに来まして、入学式だったことは着いてから知りました。」
動揺する男子生徒とは対称的に彼女は怯むことなく、質問に答え続けた。
その様子を見ていた何人かの生徒が口々に、「彼女が黒づくめなはずないじゃん」、「南雲さんがかわいそう……」 等と騒ぎ出し、
中には彼の動揺振りがおかしかったのか、クスクスと笑いを漏らす生徒の姿も見える。
「石野くん、もう止めなよ。
南雲さんがビックリしてるから。」
二人のやり取りを見ていられなくなったのか、窓際に座っていた女子生徒が割って入る。
昨日、クラス委員になった中野森さんが笑いながら立ち上がった。
「空井先生、ホームルームの時間がなくなりそうなんで、私から自己紹介してもいいですか?」
勝手に話を進めてくれてもよかったのだが、一応、私に許可を得ようと思ったのだろう。
こういうしっかりした子がうちのクラス委員で助かった!
胸をホッと撫で下ろし、微笑みながら頷いた。
どうぞ、よろしくお願いたします。」
まるで別人にでもなれるスイッチが入ってしまったかのよう……
動揺する様子もなく、堂々とした挨拶に一部の生徒は魅了されたようだ。
これで皆、『不審者』 捜しなど止めるはず……
何とか凌げたのではないか?
「では……
昨日も自己紹介は行いましたが、本日も再度 行いま……」
そう言いかけた次の瞬間、廊下側の列 前方に座る男子生徒が挙手をしながら、
「先生っ、南雲さんに質問があるのですが……」
好戦的な表情を浮かべ、ゆっくりと立ち上がった。
……恐らく、職員朝礼で言っていた探偵気取りで『不審者』 捜しに躍起になっている生徒だろう。
質問を『受け付けない』 ことも出来るが、下手に庇い立てすれば益々怪しむに違いない。
……ここは彼女に任せてみよう。
「南雲さん、彼がそう言ってますが、質問 聞いてみますか?」
「はい。
じゃ……どうぞ。」
一応、形式上そう尋ねると、彼女は頷きながら了承した。
すると、その男子生徒は口元をニヤリと笑わせ、周囲の生徒達に目配せをする。
「南雲さんは何故、昨日の入学式に出席してなかったのですか?
まさか、忘れていたんじゃないですよねぇ?」
質問された内容に、今まで静かだった生徒達がざわつき始めた。
とうとう始まってしまったか……
静かにするように注意をしようとしたが、
「私は……」
彼女は質問した男子生徒の方へ視線を向け、ゆっくりと口を開いた。
「忘れていた訳ではありません。
ただ、入学式の日付を間違えて覚えていて、入学式は今日だと思っていました。」
彼女の話を聞き、皆 ぽかんと口を開いた状態で呆気にとられている。
だが、質問した男子生徒だけは納得出来ない様子で、
「間違えていたって……
有り得なくないですか?
親が入学の手続きしたなら、間違うはずないんじゃないかと思うんだけど。」
食い下がるように質問を続けた。
マズい。
これ以上、彼女に複雑な家庭の話をさせる訳にはいかない。
もう答えなくていいと彼女に伝えようとしたが、既に遅かった。
「母は仕事で忙しくしていたので、入学の手続きは全て私が自分で行いました。
こちらに入学する前は東京にいたので、引っ越しの準備と重なってしまい、間違えて覚えてしまったようです。」
「でも、昨日 こっちにいたなら、入学式には出れたんじゃ……」
「昨日の朝、新幹線で東京からこちらに来まして、入学式だったことは着いてから知りました。」
動揺する男子生徒とは対称的に彼女は怯むことなく、質問に答え続けた。
その様子を見ていた何人かの生徒が口々に、「彼女が黒づくめなはずないじゃん」、「南雲さんがかわいそう……」 等と騒ぎ出し、
中には彼の動揺振りがおかしかったのか、クスクスと笑いを漏らす生徒の姿も見える。
「石野くん、もう止めなよ。
南雲さんがビックリしてるから。」
二人のやり取りを見ていられなくなったのか、窓際に座っていた女子生徒が割って入る。
昨日、クラス委員になった中野森さんが笑いながら立ち上がった。
「空井先生、ホームルームの時間がなくなりそうなんで、私から自己紹介してもいいですか?」
勝手に話を進めてくれてもよかったのだが、一応、私に許可を得ようと思ったのだろう。
こういうしっかりした子がうちのクラス委員で助かった!
胸をホッと撫で下ろし、微笑みながら頷いた。