早朝の訪問者
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◆◆◆◆◆◆◆◆
あぁ……やってしまった。
彼女にとって触れてはいけないデリケートな話題だったようだ。
とりあえず、気を紛らわせようと湯呑みを手に彼女へ近付く。
「そうでしたか。
それは大変でしたね……荷物は片付きましたか?」
湯呑みを机に置くと、空いている椅子を引き寄せ、彼女に座るように促した。
「あ、はい。
こちらにはあまり荷物を持って来ていなかったので、昨夜には粗方終わりました。」
「そうですか。
冷めないうちにお茶をどうぞ。」
気まずい雰囲気の中、茶をすすめると彼女は礼を言い、徐に湯呑みに口をつけた。
だが、猫舌なのか……
彼女はすぐに湯呑みから口を離すと、
「実は熱いの苦手なんです」 と苦笑いをして見せた。
先程までの大人びた表情を崩した彼女を横目に、私も茶を口にする。
こうして見たら、普通の女子高生。
だが、彼女の今までの状況や環境 全てが、彼女の言動や雰囲気を年齢以上にさせてしまったのかもしれない。
昨日の電話を保護者が掛けてこなかった訳も、さっきの話で合点がいく。
「南雲さんは入学式に出たかったですか?」
少し酷な質問を投げかけると、彼女は私の顔をまじまじと眺めて口を開く。
「はい。
高校に入って一番初めの行事ですから。
間違えて覚えていた自分が本当に許せなくて……」
そう言い終えると、悔しげな表情で手にしていた湯呑みに視線を落とす。
まるで入学式に出席出来なかったことで、高校生活自体 終わってしまったと言わんばかりに。
大人びているように見えても、まだまだ子ども……
割り切れるほどのメンタルはないようだ。
「南雲さん、大丈夫ですよ。
たかだか、一日過ぎただけ。
私からしてみたら、みんな同じスタートラインに並んだばかりですよ。」
君にはまだ三年、いや長い人生が待っているというのに。
「入学式に出席出来なかった君にはわかるでしょう?
ちょっとしたことでも悔いが残ってしまうことを。
大事なのはこれからをどう大切にして、有効に生かすか……それだけですよ。
だから、この世の終わりみたいな顔はよしなさい。」
私の言葉を聞いた途端、彼女は顔を上げ、頬を一瞬にして赤らめた。
「そ、空井先生!
わ、私……そんな顔をしてましたか?」
自覚していなかったのだろう。
彼女は口をパクパクさせて慌てふためく。
その様子に思わず笑ってしまう。
「ええ。
顔に『もうおしまいです』 ってデカデカと書いてありましたよ。
さ、お茶でも飲んで落ち着いて。」
「は、はい。」
こんなに若いのに些細なことで、深刻に受け止め過ぎだ。
そして……簡単に絶望しないでほしい。
気持ちの切り替え次第でいくらでも立て直せるのだから。
「朝のホームルームがあるので、教室へは一緒に行きましょう。
私はこの後、職員朝礼があるので、君はそれまで校内を散策してみてはどうです?」
昨日、出席した生徒に配布した冊子の校内案内図の『社会科準備室』 に赤丸をして、彼女に手渡した。
「迷子にならない程度に回って見てください。」
「はい。
そうします!」
南雲 つばささんと話してみて、今の時点でわかったこと、彼女は純粋で真面目。
その反面、自分のミスすら許せないほどの完璧主義者……といったところだろうか。
あぁ……やってしまった。
彼女にとって触れてはいけないデリケートな話題だったようだ。
とりあえず、気を紛らわせようと湯呑みを手に彼女へ近付く。
「そうでしたか。
それは大変でしたね……荷物は片付きましたか?」
湯呑みを机に置くと、空いている椅子を引き寄せ、彼女に座るように促した。
「あ、はい。
こちらにはあまり荷物を持って来ていなかったので、昨夜には粗方終わりました。」
「そうですか。
冷めないうちにお茶をどうぞ。」
気まずい雰囲気の中、茶をすすめると彼女は礼を言い、徐に湯呑みに口をつけた。
だが、猫舌なのか……
彼女はすぐに湯呑みから口を離すと、
「実は熱いの苦手なんです」 と苦笑いをして見せた。
先程までの大人びた表情を崩した彼女を横目に、私も茶を口にする。
こうして見たら、普通の女子高生。
だが、彼女の今までの状況や環境 全てが、彼女の言動や雰囲気を年齢以上にさせてしまったのかもしれない。
昨日の電話を保護者が掛けてこなかった訳も、さっきの話で合点がいく。
「南雲さんは入学式に出たかったですか?」
少し酷な質問を投げかけると、彼女は私の顔をまじまじと眺めて口を開く。
「はい。
高校に入って一番初めの行事ですから。
間違えて覚えていた自分が本当に許せなくて……」
そう言い終えると、悔しげな表情で手にしていた湯呑みに視線を落とす。
まるで入学式に出席出来なかったことで、高校生活自体 終わってしまったと言わんばかりに。
大人びているように見えても、まだまだ子ども……
割り切れるほどのメンタルはないようだ。
「南雲さん、大丈夫ですよ。
たかだか、一日過ぎただけ。
私からしてみたら、みんな同じスタートラインに並んだばかりですよ。」
君にはまだ三年、いや長い人生が待っているというのに。
「入学式に出席出来なかった君にはわかるでしょう?
ちょっとしたことでも悔いが残ってしまうことを。
大事なのはこれからをどう大切にして、有効に生かすか……それだけですよ。
だから、この世の終わりみたいな顔はよしなさい。」
私の言葉を聞いた途端、彼女は顔を上げ、頬を一瞬にして赤らめた。
「そ、空井先生!
わ、私……そんな顔をしてましたか?」
自覚していなかったのだろう。
彼女は口をパクパクさせて慌てふためく。
その様子に思わず笑ってしまう。
「ええ。
顔に『もうおしまいです』 ってデカデカと書いてありましたよ。
さ、お茶でも飲んで落ち着いて。」
「は、はい。」
こんなに若いのに些細なことで、深刻に受け止め過ぎだ。
そして……簡単に絶望しないでほしい。
気持ちの切り替え次第でいくらでも立て直せるのだから。
「朝のホームルームがあるので、教室へは一緒に行きましょう。
私はこの後、職員朝礼があるので、君はそれまで校内を散策してみてはどうです?」
昨日、出席した生徒に配布した冊子の校内案内図の『社会科準備室』 に赤丸をして、彼女に手渡した。
「迷子にならない程度に回って見てください。」
「はい。
そうします!」
南雲 つばささんと話してみて、今の時点でわかったこと、彼女は純粋で真面目。
その反面、自分のミスすら許せないほどの完璧主義者……といったところだろうか。