黒づくめ
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式が終わり、教室へと戻る途中、
「ねぇ、さっき怒られていたのって、どんな人なの?
逆光だったし、人もたくさん居て 全然見えなくて……」
俺の少し前を行く女子達の会話が聞こえてきた。
別に聞くつもりはなかったが、どんな人物だったのか興味があって 歩く速度を弛めてしまった。
「そうだねぇ……
アンタの嫌いなあのホラー映画の幽霊みたいな長髪で、前髪も顔にかかっていて……」
「そうそう、顔がわかんなかったよね?
ねぇ、あの人って男?
それとも女?」
「さぁ、わかんない。
そういえば、身長はアンタくらいだったよ。」
「マジで?
っていうか、実はそれ私……」
「バーカ。
ヘタレはそんなこと出来ないでしょ?」
女子達はゲラゲラと笑いながら、互いを小突き合う。
指を指された女子の身長は165センチ前後だろうか?
高校一年生の男子もざらにいる身長だけど、長髪ってことは女子か?
俺は彼女達の洞察力に感心しながら、再び聞き耳を立てる。
「あと、髪の色もすごかったよね。
プリン頭って言うの?
あそこまで放置してるの、初めて見た。」
「そうそう!
毛先から30センチぐらいが金色で、そこから頭へ向かうにつれて黒くて……」
はぁ?
何だ、それ……
長髪の上半分は黒、そこから下半分は金……ってことか?
黙って話を聞いていたが、思わず声が出そうになるのを必死で堪える。
だが、前方を歩く彼女達はそれに全く気付くことなく 話し続ける。
「受験が終わって染めたのはいいけど、元に戻すお金は無かったってこと?」
「かもね……
私なら、とりあえず金髪の所だけでも切るなぁ……。」
確かに……俺もそうするな。
っていうか、それ以前に金髪なんかにしない!
「あと、あの格好も何なの?
黒いロングコート、黒のパンツ……黒づくめ。
うちの学校 受験したなら、制服あるのくらい わかるでしょうに。」
「だよね~
あと、足元はどこで借りたのか、来客用のスリッパ履いてたし。
で、そのまま校庭歩いて行っちゃうし。」
「えっ……」
今まで聞き耳を立てていたが、思わず声をあげていた。
しまった!
そう思ったが、時既に遅し。
前に居た女子三人組が怪訝そうに俺の方を振り返っていた。
「あ……す、すみません。」
顔が一気に熱くなるのを感じながら、足早に教室へ向かった。
##IMAGE_DATA_26##
「ねぇ、力。
入学式のとき、3組から後ろがなかなか入場して来なかったけど、どうしたの?」
自宅に戻る車中、いつもよりめかし込んだ母親がミラー越し、後部座席にいる俺の様子を窺う。
「お母さん、力がいつ来るかってずーっとビデオ回しっぱなしで待っていたのに!」
そうおどけたように笑う母親はゆっくりとハンドルを左にきる。
入場が十分程度途切れ、館内で待ちぼうけを食らったのだ。
母親じゃなくとも、その理由を知りたいはず……
「ん、校則違反したヤツがいたみたいでさ……
隣のクラスの担任がソイツに説教してて、遅くなったんだ。」
「ねぇ、さっき怒られていたのって、どんな人なの?
逆光だったし、人もたくさん居て 全然見えなくて……」
俺の少し前を行く女子達の会話が聞こえてきた。
別に聞くつもりはなかったが、どんな人物だったのか興味があって 歩く速度を弛めてしまった。
「そうだねぇ……
アンタの嫌いなあのホラー映画の幽霊みたいな長髪で、前髪も顔にかかっていて……」
「そうそう、顔がわかんなかったよね?
ねぇ、あの人って男?
それとも女?」
「さぁ、わかんない。
そういえば、身長はアンタくらいだったよ。」
「マジで?
っていうか、実はそれ私……」
「バーカ。
ヘタレはそんなこと出来ないでしょ?」
女子達はゲラゲラと笑いながら、互いを小突き合う。
指を指された女子の身長は165センチ前後だろうか?
高校一年生の男子もざらにいる身長だけど、長髪ってことは女子か?
俺は彼女達の洞察力に感心しながら、再び聞き耳を立てる。
「あと、髪の色もすごかったよね。
プリン頭って言うの?
あそこまで放置してるの、初めて見た。」
「そうそう!
毛先から30センチぐらいが金色で、そこから頭へ向かうにつれて黒くて……」
はぁ?
何だ、それ……
長髪の上半分は黒、そこから下半分は金……ってことか?
黙って話を聞いていたが、思わず声が出そうになるのを必死で堪える。
だが、前方を歩く彼女達はそれに全く気付くことなく 話し続ける。
「受験が終わって染めたのはいいけど、元に戻すお金は無かったってこと?」
「かもね……
私なら、とりあえず金髪の所だけでも切るなぁ……。」
確かに……俺もそうするな。
っていうか、それ以前に金髪なんかにしない!
「あと、あの格好も何なの?
黒いロングコート、黒のパンツ……黒づくめ。
うちの学校 受験したなら、制服あるのくらい わかるでしょうに。」
「だよね~
あと、足元はどこで借りたのか、来客用のスリッパ履いてたし。
で、そのまま校庭歩いて行っちゃうし。」
「えっ……」
今まで聞き耳を立てていたが、思わず声をあげていた。
しまった!
そう思ったが、時既に遅し。
前に居た女子三人組が怪訝そうに俺の方を振り返っていた。
「あ……す、すみません。」
顔が一気に熱くなるのを感じながら、足早に教室へ向かった。
##IMAGE_DATA_26##
「ねぇ、力。
入学式のとき、3組から後ろがなかなか入場して来なかったけど、どうしたの?」
自宅に戻る車中、いつもよりめかし込んだ母親がミラー越し、後部座席にいる俺の様子を窺う。
「お母さん、力がいつ来るかってずーっとビデオ回しっぱなしで待っていたのに!」
そうおどけたように笑う母親はゆっくりとハンドルを左にきる。
入場が十分程度途切れ、館内で待ちぼうけを食らったのだ。
母親じゃなくとも、その理由を知りたいはず……
「ん、校則違反したヤツがいたみたいでさ……
隣のクラスの担任がソイツに説教してて、遅くなったんだ。」