all night long
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私がノートに書き込みをしている間、台所からコーヒーの良い薫りが漂う。
「これでも飲んで、一息ついて。」
台所にいた菅原くんが両手にマグカップを持ち、部屋に戻ってきた。
「ありがとう。」
口ではそう言いつつも、あと1ページに差し掛かっていたものだから、コーヒーに見向きもせずにペンを走らせる。
この調子でいけば、あと数分後には終わることが出来るだろう。
「あ……もう最後のページじゃん。
平岩さんって、書くの 早いね……」
「そう?
このページはまだ講義でやってない部分だから、ほとんど丸写しだったし……
結構時間かかったんだけど。」
人に見せる訳じゃないし、自分のノートだからっていうこともあり、文字がおじいちゃん顔負けのミミズの這ったような状態なんだけど。
ま……それもご愛嬌。
「ねぇ……平岩さん。
それ書き終わったらさ、俺 送っていくから。
家って、どの辺り?」
残り数行となったところで菅原くんが私に気を遣って、こんな申し出てくれた。
有り難い話ではあったが、こんな時間までお宅にお邪魔した上、うちの家まで送ってもらうのは申し訳ない。
「え……気にしないで。
ここから駅まで近いし、明るいから一人でも大丈夫。」
商店街からここまで街灯も多く、この時間ならまだ帰宅する人も多いはず。
菅原くんの申し出をやんわりとお断りしていたが、
「あ……それ、却下ね。
女の子は夜の一人歩きなんてしちゃ、いけないんだから!
一人で帰って、もし 何かあったら、どうすんの?!
明るいからって油断なんかしちゃダメ。」
……等と異論を唱える。
「でも……」
そこまで言いかけると、さっきまでの人懐っこい笑顔から一変。
「でも、じゃなくて!
お願い……今夜はそうさせて。」
真剣な表情で必死に懇願してくる。
前の彼氏にもこんな風に大切にされることなんてなかったものだから、私の胸は一気に熱くなる。
「ねっ!
平岩さんに何かあったら、俺……ヤだから。」
ぐはっ!!!!
ただのバイト先の客に対して こんなにまで親切にするなんて、どんだけ人類愛の溢れる人なんだろう……
これ、全米が感動してしまうレベルだ。
店長が彼をいたく買っている理由が何となくわかる。
菅原くんはおそらく、人たらしなんだろう。
「じゃ……お願いしてもいいですか?」
✽✽✽✽✽✽✽
「……じゃ、忘れ物ない?」
「はい。」
ノートも写し終わり、私は菅原くんの部屋から出ようと玄関先へと向かっていると、彼の鞄の外ポケットからバイブ音が聞こえてきた。
だが、彼は気付いてないのか、確認しようとしない。
「……菅原くん、鳴ってるよ。」
「あ……!」
彼は慌ててポケットに手を突っ込み、スマホを取り出して画面を指先でスライドして耳元へ充てる。
どうやら、電話だったらしい。
「あ……大地、どうした?」
ルームシェアをしてる友達の名を口にする。
「これでも飲んで、一息ついて。」
台所にいた菅原くんが両手にマグカップを持ち、部屋に戻ってきた。
「ありがとう。」
口ではそう言いつつも、あと1ページに差し掛かっていたものだから、コーヒーに見向きもせずにペンを走らせる。
この調子でいけば、あと数分後には終わることが出来るだろう。
「あ……もう最後のページじゃん。
平岩さんって、書くの 早いね……」
「そう?
このページはまだ講義でやってない部分だから、ほとんど丸写しだったし……
結構時間かかったんだけど。」
人に見せる訳じゃないし、自分のノートだからっていうこともあり、文字がおじいちゃん顔負けのミミズの這ったような状態なんだけど。
ま……それもご愛嬌。
「ねぇ……平岩さん。
それ書き終わったらさ、俺 送っていくから。
家って、どの辺り?」
残り数行となったところで菅原くんが私に気を遣って、こんな申し出てくれた。
有り難い話ではあったが、こんな時間までお宅にお邪魔した上、うちの家まで送ってもらうのは申し訳ない。
「え……気にしないで。
ここから駅まで近いし、明るいから一人でも大丈夫。」
商店街からここまで街灯も多く、この時間ならまだ帰宅する人も多いはず。
菅原くんの申し出をやんわりとお断りしていたが、
「あ……それ、却下ね。
女の子は夜の一人歩きなんてしちゃ、いけないんだから!
一人で帰って、もし 何かあったら、どうすんの?!
明るいからって油断なんかしちゃダメ。」
……等と異論を唱える。
「でも……」
そこまで言いかけると、さっきまでの人懐っこい笑顔から一変。
「でも、じゃなくて!
お願い……今夜はそうさせて。」
真剣な表情で必死に懇願してくる。
前の彼氏にもこんな風に大切にされることなんてなかったものだから、私の胸は一気に熱くなる。
「ねっ!
平岩さんに何かあったら、俺……ヤだから。」
ぐはっ!!!!
ただのバイト先の客に対して こんなにまで親切にするなんて、どんだけ人類愛の溢れる人なんだろう……
これ、全米が感動してしまうレベルだ。
店長が彼をいたく買っている理由が何となくわかる。
菅原くんはおそらく、人たらしなんだろう。
「じゃ……お願いしてもいいですか?」
✽✽✽✽✽✽✽
「……じゃ、忘れ物ない?」
「はい。」
ノートも写し終わり、私は菅原くんの部屋から出ようと玄関先へと向かっていると、彼の鞄の外ポケットからバイブ音が聞こえてきた。
だが、彼は気付いてないのか、確認しようとしない。
「……菅原くん、鳴ってるよ。」
「あ……!」
彼は慌ててポケットに手を突っ込み、スマホを取り出して画面を指先でスライドして耳元へ充てる。
どうやら、電話だったらしい。
「あ……大地、どうした?」
ルームシェアをしてる友達の名を口にする。