all night long
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✽✽✽✽✽✽✽
「……ごめんね、店長が暴走しちゃって。」
午後8時過ぎ……
店を出た瞬間、菅原くんは青ざめた表情で謝ってきた。
「ううん、店長さん……面白かったよ。」
話していて悪気はないのはわかったから、笑うしかない。
とりあえず、この菅原くんはあの店(店長を初めとする他の店員さん達)から愛されているのは伝わってきた。
「悪い人じゃないんだけど悪乗りすると、あんな感じになっちゃって……
本当にごめんね。」
あれから店長のお喋り(大半が『うちの菅原、オススメ!』って話だった……)は止まらず、私は長時間 店内に滞在する羽目に。
その詫びとして夕飯(賄いのパスタ)をご馳走になり、バイトから解放された菅原くんと駅に向かって帰ることになった。
✽✽✽✽✽✽✽
「平岩さんってさ、今日のおじいちゃんの講義、ノートとかちゃんと録れてる?」
「うん。
でも、辛うじて……って感じだな。
おじいちゃんって、声も小さいし 板書の文字がミミズだから、書いてる内容が合ってるか わからないけど……」
人も疎らになった夜の商店街を二人で並んで歩きながら、大学の名誉教授(あだ名『おじいちゃん』)の講義話になった。
何故、彼がうちの教授のことを知っているかと言うと……
『夏乃ちゃんも?
うちの菅原くんもそこの学生だよ~』
さっきのカフェで仕事を完全に放棄して、私のことを根掘り葉掘り尋ねる店長のお陰(?)か、私達が同じ大学に通っていた同級生と判明。
学部こそ違うが、必須科目(2教科)は同じ講義を受講していた。
おじいちゃんの講義はいつも200人くらい収容する講堂だから、気付かなくてもおかしくないんだけど……世間は狭いと痛感。
「やっぱり!
皆、そう言ってるね~
単位取る前に文字の解読する方が困難だって。」
「確かに……」
あの講義、必須科目だから単位落とすと厄介なんだよな……
そんなことを考えていたら、隣にいる菅原くんが「フフッ」と笑い出す。
その声に驚いて彼を見ると、肩に掛けていた鞄から一冊の年季の入ったノートを取り出した。
「ジャジャーン、大変お困りの平岩さんに朗報でーす。」
そう言いながら、それを私に差し出す。
手渡されたノートは何処と無く草臥れた感じで、表にはあの講義名が書かれている。
「それ、今 入ってるサークルに代々伝わるノートなんだ。
今日、俺のところに丁度 回ってきて……良かったら、平岩さんも見る?」
「えっ……」
「あの教授、毎年 講義のシラバス変えないらしくて、講義の内容も大体同じなんだって。
だから、板書もそう変わらないらしいよ。
これ、明日には他のヤツに回す約束だから、今日中に確認することになっちゃうんだけど、うち……来る?」
菅原くんの突然の申し出だったが、この講義に不安があった私は後先考えずに大きく頷いた。
✽✽✽✽✽✽✽
「平岩さん、ここでしばらく待っててくれる?
誘っといて何だけど、俺の部屋……今、お客さんが呼べる状態じゃないんだよね。」
菅原くんは困ったような苦笑いを浮かべて、目の前のドアの鍵を音を立て開けた。
ここは商店街から歩いて5分の所にあるアパート、彼の部屋の前にいる。
建物は築 数十年以上 経っていそうだが、大学や駅へのアクセスは徒歩圏内の理想的な場所だ。
「あ……本当に御構い無く。
私、気にしな……」
「俺は気にするのっ!
すぐに片付けるから、ちょっと待って!」
彼はそう言い残して部屋に入ると、目の前の暗かった窓に明かりが灯る。
すると、ガッタガッタと大きな物音がしばらく続き、必死になって中を片付けているようだ。
私が勝手に押し掛けたんだ、少々 部屋が汚くても気にならないんだけど……
彼にとっては重要な問題だったらしい。
「……ごめんね、店長が暴走しちゃって。」
午後8時過ぎ……
店を出た瞬間、菅原くんは青ざめた表情で謝ってきた。
「ううん、店長さん……面白かったよ。」
話していて悪気はないのはわかったから、笑うしかない。
とりあえず、この菅原くんはあの店(店長を初めとする他の店員さん達)から愛されているのは伝わってきた。
「悪い人じゃないんだけど悪乗りすると、あんな感じになっちゃって……
本当にごめんね。」
あれから店長のお喋り(大半が『うちの菅原、オススメ!』って話だった……)は止まらず、私は長時間 店内に滞在する羽目に。
その詫びとして夕飯(賄いのパスタ)をご馳走になり、バイトから解放された菅原くんと駅に向かって帰ることになった。
✽✽✽✽✽✽✽
「平岩さんってさ、今日のおじいちゃんの講義、ノートとかちゃんと録れてる?」
「うん。
でも、辛うじて……って感じだな。
おじいちゃんって、声も小さいし 板書の文字がミミズだから、書いてる内容が合ってるか わからないけど……」
人も疎らになった夜の商店街を二人で並んで歩きながら、大学の名誉教授(あだ名『おじいちゃん』)の講義話になった。
何故、彼がうちの教授のことを知っているかと言うと……
『夏乃ちゃんも?
うちの菅原くんもそこの学生だよ~』
さっきのカフェで仕事を完全に放棄して、私のことを根掘り葉掘り尋ねる店長のお陰(?)か、私達が同じ大学に通っていた同級生と判明。
学部こそ違うが、必須科目(2教科)は同じ講義を受講していた。
おじいちゃんの講義はいつも200人くらい収容する講堂だから、気付かなくてもおかしくないんだけど……世間は狭いと痛感。
「やっぱり!
皆、そう言ってるね~
単位取る前に文字の解読する方が困難だって。」
「確かに……」
あの講義、必須科目だから単位落とすと厄介なんだよな……
そんなことを考えていたら、隣にいる菅原くんが「フフッ」と笑い出す。
その声に驚いて彼を見ると、肩に掛けていた鞄から一冊の年季の入ったノートを取り出した。
「ジャジャーン、大変お困りの平岩さんに朗報でーす。」
そう言いながら、それを私に差し出す。
手渡されたノートは何処と無く草臥れた感じで、表にはあの講義名が書かれている。
「それ、今 入ってるサークルに代々伝わるノートなんだ。
今日、俺のところに丁度 回ってきて……良かったら、平岩さんも見る?」
「えっ……」
「あの教授、毎年 講義のシラバス変えないらしくて、講義の内容も大体同じなんだって。
だから、板書もそう変わらないらしいよ。
これ、明日には他のヤツに回す約束だから、今日中に確認することになっちゃうんだけど、うち……来る?」
菅原くんの突然の申し出だったが、この講義に不安があった私は後先考えずに大きく頷いた。
✽✽✽✽✽✽✽
「平岩さん、ここでしばらく待っててくれる?
誘っといて何だけど、俺の部屋……今、お客さんが呼べる状態じゃないんだよね。」
菅原くんは困ったような苦笑いを浮かべて、目の前のドアの鍵を音を立て開けた。
ここは商店街から歩いて5分の所にあるアパート、彼の部屋の前にいる。
建物は築 数十年以上 経っていそうだが、大学や駅へのアクセスは徒歩圏内の理想的な場所だ。
「あ……本当に御構い無く。
私、気にしな……」
「俺は気にするのっ!
すぐに片付けるから、ちょっと待って!」
彼はそう言い残して部屋に入ると、目の前の暗かった窓に明かりが灯る。
すると、ガッタガッタと大きな物音がしばらく続き、必死になって中を片付けているようだ。
私が勝手に押し掛けたんだ、少々 部屋が汚くても気にならないんだけど……
彼にとっては重要な問題だったらしい。